古刹の活性化に取り組む元エンジニア 加藤 宥教(ゆうきょう)さん 大井町 最明寺住職 39歳
役立つことに違いなし
○…お寺に往来する人々を見守り続けたケヤキで「ホタルのポスト」をつくった。亡くなった家族や先祖に宛てて手紙を書くことを呼び掛け、6月9日に初めての催しを開いた。参加者を前に「いつ書いても、いつ投函しても大丈夫です。大切な人やご先祖を思い一文字一文字書き綴ることは、お経をあげることと同じような供養になる」。ポストをつくった本意をそう話していた。
○…福岡県大牟田市の出身。三井三池炭鉱の町で生まれ育った。「子どもの頃は人が大勢いましたが、どこに行ったか分からない友達がたくさんいる」という。そんな子どもの頃にF1レースに憧れ、エンジニアを志した。九州大学工学部を卒業し日産自動車の入社を機に上京。鶴見工場からテクニカルセンター(厚木市)へ移り、憧れのエンジン開発に没頭した。
○…当時、派遣社員として勤務していた奥さんと知り合い、2年間の交際を経て入籍。新婚3カ月で、世間と1年間隔離される東寺での修行に入った。奥さんの実家は大井町の最明寺で、4姉妹を残して先々代住職が早世。姉2人が嫁いでいたため「会社を辞めてお寺に入ることを考えるようになった」。1年間悩み、「ひとの役に立つことに違いはない」と決心し、28歳の誕生日に先代住職である妻の叔父を訪ねた。
○…4年前、寺の未来に悩む僧侶が全国にいることを知り勉強会の門戸を叩き、情報発信と活性化、供養のあり方と向き合い始めた。広報紙の発行やフェイスブックページ・ホームページ開設、4月の花まつりや仏像彫刻のワークショップ、貧困問題に取り組む「おてらおやつクラブ」にも参加した。「考えて、何かをすることの積み重ね」。僧侶として10年、住職として8年が経った今、その真っただ中にいる。
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