小田原市を拠点に被災ペットの問題に取り組む特定非営利活動法人(NPO)防災総合ペット育成協会の関係者が5日、開成町役場を訪れ、クラウドファンディングを活用して制作した絵本「君とずっと一緒にいたいから」12冊を町内の幼保・小中学校へ寄贈した。今後、町役場と連携し、ペット防災の取り組みを広めていく。
絵本の著者は昨年5月にNPOを立ち上げた理事長で主婦の中川都子さん(45)=小田原市。福祉車両の販売などを手掛ける夫の自営業を手伝う傍ら、東日本大震災をきっかけにペット防災への関心が高まり、NPOを立ち上げた。「障害者の夫と犬2匹、猫1匹のペットも同じ災害弱者」という。
仙台市内の避難所で見た飼い犬や飼い猫の実態を題材に「犬にも感情があること」を、絵本を通じて伝え、絵本を読んだ子どもたちが大人になった時に「ペット防災が当たり前になっていてほしい」と願いを込めた。
中川さんがめざすのはペットと人間が一緒に避難する「同行避難」と、避難所でもペットと一緒に過ごせる「同伴避難」の普及。そのためには飼い主がしつけや健康管理、マナー、非常時の持ち出し品、準備など、ペット防災の意識を高める必要があるといい、絵本にはその手ほどきも記した。
「犬にも感情」
インターネットで活動資金を募るクラウドファンディングを今年3月に開始。千冊分の制作費60万円を目標に募集を始めると、趣旨に賛同した愛犬家や企業などからから続々と資金が寄せられた。地元の小田原市では県議、開成町では町議の協力も得て行政を巻き込んだ普及活動を加速させている。
中川さんは「人と同様に犬にも感情と命がある。被災時には常に一緒にいることを前提に備えてほしい」と訴え、絵本1冊1296円(税込)の販売益を基に増刷を繰り返し、県西地域から全国へ啓発を展開させたい考え。
11月にイベント
中川さんによると、ペットを飼う世帯は5世帯に1世帯といい、未登録のペットを含めると3世帯に1世帯に及ぶという。
環境省が今年2月に発表した「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」では、飼い主とペットの「同行避難」を推奨しているが自治体による対策は進んでいないのが実態だ。こうした中で民間による取り組みに注目したのが開成町役場だった。
同NPOは11月18日(日)午後1時から、開成町福祉会館で絵本出版記念イベントを催す。絵本を題材にした演劇やコンサート、朗読、講演などを予定している。(問)NPO事務局【電話】0465・39・1313。
開成町は、11月24日(土)に開催する環境防災フェアでも同NPOと連携した「ペット防災」に関する企画を予定している。
町は今後、ペット防災の取り組みを強化する方針という。
足柄版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|