12月22日付けで大井町長に就任した 小田 眞一さん 大井町金手在住 65歳
心に残る「ありがとう」
○…「なんでこんなに応援してくれるのか」―。日に日に増えた支持者の数に驚かされた。12月9日午後10時過ぎ、開票結果の第一報で当選を確実にした。その瞬間「ホントかな?」と耳を疑った。出馬の決意から10カ月、早朝の駅立ちやチラシの全戸配布など、自らの政治信念を伝える活動が続いた。「夏の暑い時期にも朝から晩までいろいろな人が助けてくれた。感謝の気持ちしかない」といい、投票まで5日間の選挙運動は「意外にも楽しくできた」。「大井町のシンフォニーを奏でたい」と、これから担う行政運営を音楽にたとえた。
○…松田町寄で商店を営む両親の長男に生まれた。高校までは剣道に没頭。明治大学では、OBで作曲家の古賀政男さんが奏でる音色に魅せられマンドリン倶楽部の門を叩いた。歌手のドサ回りや演奏会で全国を飛び回っていたが、父の体調がすぐれず家業のアイスクリーム卸売業を手伝い始めた。「やり始めると自分なりの課題も出てきてやりがいを感じるようになった」といい、飛び込み営業で販路を開拓して事業を拡大し、交通の便がいい金手に移転した。
○…政治の原点は「ありがとう」。長男が中学2年で突然失明する病を患った。平塚盲学校への通学に利用する相模金子駅で、息子が「坂が怖い」と口にしたため勇気を出して役場に相談するとすぐに手すりをつけてくれ、社会福祉協議会が親身に家族を支援してくれた。その感謝の気持ちが今も心にある。地元の町議が引退の折、三度参りで後継を託され町議選に出馬。議長だった昨年末に周囲から出馬要請を受け、2月に腹を決め間宮町長に決意を伝えた。直後に手洗いで隣り合わせた町長が「すっとしたなぁ」とこぼした。その言葉が今も忘れられない。座右の銘は「至誠無息」。