海の「厄介者」として県沿岸部で問題になっているウニが、小田原市漁業協同組合青年部の手によって「宝」へと変化しようとしている。今年4月から畜養を始めたウニが、出荷間近まで成長。県内初のウニの出荷となるか期待される。
畜養するのはナガウニ科ムラサキウニ。2017年に県水産技術センターがキャベツなどの野菜をエサに、ウニの養殖技術を開発している。
温暖化の影響で市沿岸海域にウニが増加。海藻類を食べ尽くし、藻場が減少する「磯焼け」の原因のひとつにもなっている。そこで青年部は今年の3月、厄介者となっているウニを地元の資源に変えようと同センターを視察し、畜養技術を習得した。畜養は同センター相模湾試験場(市内早川)の専門家も協力し、4月から開始。新港で約430匹を専用のケースで飼育している。
通常ウニは4月から6月にかけて身が大きく成長し、最も畜養に適している。青年部が畜養したウニも、開始から2カ月で食用となる5房の生殖巣を持つまでに成長した。
ウニの畜養で最も重要なのが水質の管理。10日に1回水を入れ替え、飼育ケースは常に水を循環させている。同センターによると、水質の管理が不十分だと死ぬこともあるという。そのため、糞やエサの残りを食べて水質をきれいにするナマコもケース内で育てている。
県内ではこれまでに各地で畜養試験が行われたが、いずれも出荷まで至っていない。関係者らとの間で商談が決まれば、早ければ今月中に県内初の出荷となる。
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