内閣府から社会参加章を受章した「シニアネットワークおだわら&あしがら」で代表理事を務める 安藤 和幸さん 小田原市城山在住 69歳
輝くシニアの世話人
○…東京都職員として、往復4時間かけて都内へ通勤していた現役時代。定年退職後、「寝るために帰る場所」と化していた小田原で過ごす時間が増えると、ふと寂しさを覚えた。地元とのつながりがない――。2015年に同窓会で再会した小田原高校の旧友らも、抱く思いは同じ。セカンドライフを迎えた世代が地元でいきいきと過ごせる機会を提供しようと動き出し、「シニアネットワークおだわら&あしがら」(SNOA)を設立した。
○…メンバーは現在150人で平均年齢70代。学生の学習支援や酒匂川土手の芝桜の手入れなど、仕事で培った経験や趣味を生かして活動に精を出す。早川の耕作放棄地でミカンを育てる「みかん農園プロジェクト」では、摘果した果実で横浜の業者がドレッシングを製造するなど活動の幅は広がる。人生100年時代と言われる昨今。「現役と老後の長さは今や同じ。だからこそ生きがいをもつことは大事」。活動を通じ、独居高齢者に外出を促すのが目下の目標だ。
○…30代の頃、富士山を撮りたい一心で始めたカメラ。週末になれば関東甲信を中心とした撮影スポットに向け、夜通し車を走らせた。「早めに到着したら、朝日が昇るまで静かに待つのも楽しみ」。都会の喧騒を離れた大自然で迎える夜明けに、心が解き放たれる思いがした。被写体は主に自然風景。脳裏に焼き付くのは、長野県の栗の原生林で遭遇した雨氷だ。
○…「あの頃は仕事に生きるのが当然の世の中。子育ても日曜しか関われなくて」。多忙を極めた現役時代を振り返るが、SNOAの代表理事を1月に継ぎ、忙しい日々は相変わらず。「ミカン畑は手入れしても、自宅の庭は草ぼうぼう。妻に何と思われていることか…」。苦笑しながらも、その横顔には充実ぶりが伺えた。