南足柄市矢倉沢の白山神社の登り口付近にある蚕神の祠(かいこがみのほこら)の損傷が激しく、このほど建て替えが完了した。矢倉沢自治会の有志が建造費の寄付金を集めて実施した。
2年前の2月、自治会の有志が老朽化した旧祠の内部を確認したところ、真綿にくるまれた像高約13cmの金属製の御神体(右写真)と、寄贈者の名入りの札を発見した。
建設世話人代表の植田勇次さんは「かつて矢倉沢は養蚕が盛んで、数十件の養蚕農家が存在したが、年の初め繭ができると、この祠に吊るし、養蚕農家が集まって手を合わせた、と聞いていた」と話す。
植田さんは、寄付者の持田初治郎氏の盛進社が横浜市にあった製糸会社だと知り、同じ御神体が相模原市、厚木市にも現存することを突きとめた。「持田氏が県の農林技師とともに県内各地を訪ね、養蚕の指導をした際に、その地区にこの像を祀るように奨めたと思われる」と植田さんは推測する。
こうした歴史的な背景からも意義のある祠だとし、歴史遺産として管理し、後世に残すことを決定。寄付金を募り、祠を建て替えることになった。地元出身の宮大工・勝又公二氏が代表を務める櫻乃勝工務店(御殿場市)に発注し、屋根は地元の杉山工業・杉山誠一氏が受け持った。「2人が利益度外視で請け負ってくれたおかげ」と植田さんら世話人が感謝の気持ちを表した。
御神体は現在、旧祠に存在するが、近日中に新祠に移設されることに。扉には南京錠をかけて、厳重に守られることになる。
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