任期満了に伴う大井町長選挙が9日に実施され、前市議会議長で新人の小田真一氏(66)=無所属=が初当選した。投票率は過去最低の48・37%だった。選挙戦の軌跡を振り返る。
大井町長選は、現職で5期目の間宮恒行氏(70)の去就に注目が集まるなか、昨年末から年始を境に議会周辺から新人の出馬が取りざたされるようになった。
本紙が今年4月、町長選に向けて動きのあった町議会の小田真一議長(当時)と諸星光浩議員(当時)を取材したところ、小田氏が立候補の意向を明言。議長の慣例任期(2年)が満了する9月をめどに議員辞職する考えも述べていた。同時期の取材で諸星氏は「出馬の意向はあるが検討段階」としていた。
諸星氏はこの時すでに出馬の意向を固めていたが、地元の支持基盤が小田氏と近接していることなどから慎重を期して準備を整えていた。
その後、今年9月13日の議会定例会で間宮氏が今期限りの引退を表明すると、翌14日に鈴木武夫町議(当時)が会見を開き、町長選への出馬を表明。その後、10月1日に小田氏が最初に議員辞職して、町長選挙に向けた政策を発表した。
その後、諸星氏は11月5日、鈴木氏は11月27日に議員辞職して、事実上の選挙戦が本格化することとなった。
公開討論会
11月29日にあしがら青年会議所(山口貴弘理事長)が大井町で開催した公開討論会には立候補予定者の3氏が顔をそろえ、人口減少社会への対応やまちづくりの手法、町の将来像や近隣市町との連携などで主張を交わしたが、決定打となり得る政策の違いを打ち出すまでには至らなかった。
人口減少社会への対応では小田氏と鈴木氏が、子育て支援の重要性を前面に打ち出し、小田氏は産官学民の連携、諸星氏は「共創」を柱とした町民との連携強化を強く主張した。
近隣市町との連携では諸星氏が観光行政、小田氏は福祉教育での連携強化を訴えるなか、鈴木氏は「小さな町よりも小田原市や南足柄市との連携を考えるべき」と主張していた。
開票前の陣営
投票が締め切られた9日午後8時過ぎから開票結果が分かるまでの間に各陣営をまわった。
小田陣営の幹部は「戦略通りにできたやり残したことはない。結果を待つだけだ」と述べ、鈴木氏は「思った以上に現状への不満の声があった。実績と経験を前面に出した」と話した。諸星陣営の幹部は投票率(48・37%)の一報に一瞬表情を曇らせたが「若い人たちへの訴えは浸透したと思う」とした。
人柄の小田氏
午後10時の開票結果を受けて小田陣営には近隣首長や県議らが続々と駆け付けた。万歳三唱を前に小田氏は「信じられない」と右往左往したが、支持者へのあいさつでは「重責をしみじみ感じている。まじめな町政、まじめな町長でありたい。敗れた候補者の方々にもいい政策があったのでできれば協力してともにやっていきたい」と他候補を気遣った。
小田氏の任期は12月22日から2022年12月までの4年間。初登庁は12月25日(火)午前8時30分で、役場正面玄関前に到着する新町長に職員が花束を贈呈して出迎える。
元職の神保氏議席返り咲き
選挙と同日で実施された大井町議会議員補欠選挙は、町長選挙の前に相次いで辞職した元議員3氏の欠員に伴い定数3で選挙が行われた。
2012年から1期4年、町議を務め前回16年の通常選挙で落選した元町議の神保京子氏(64)=上大井が議席に返り咲いたほか、元小田原市消防職員で鈴木磯美氏(62)=柳と元大手コンビニ幹部で前金手自治会長の田中正彦氏(71)=金手の新人2人が当選した。
3人の任期は辞職した議員の任期と同じ20年9月30日まで。補選での補充により、11人まで減っていた大井町議会の議員数が定数の14に戻った。
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