観光圏に開く新たな玄関 「にっぽん丸」が熱海に寄港、箱根・河口湖へオプショナルツアーを実施
街へいざなうあの手、この手
熱海市が航路による集客に力を注いでいる。先月23日には大型客船「にっぽん丸」が寄港したほか、同28・29日には千葉港発・三崎港経由のジェット船が初入港。県境を越えた観光圏の新たな玄関口として注目を集めている。
「にっぽん丸」(全長166メートル、定員532名)が23日に接岸した場所は、深さが7メートルを超える通称「ナナハン岸壁」。カメラを手にした船舶ファンが見守る中、団地のような巨体が横付けされ、歓迎の網代太鼓が港に響き渡った。4度目の寄港となった今回の航路は、前日の夕方に神戸を出発し翌朝熱海に到着、夜の海上花火を船上で楽しんだ後に神戸へ帰るというもので、この往復ツアーに約300人が参加した。また熱海港から乗船して、神戸到着後に新幹線で戻るパックには30人が申し込んだ。
下船した観光客からは「熱海という名前は知っていたが来るのは初めて」「新幹線で通り過ぎる駅だった」といった感想が多く、子連れ客からは「電車や飛行機より負担が軽い」といった声もあった。
熱海市観光課によると乗客はバスなどに乗り込み市内を散策、熱海芸妓見番で開催された「華の舞」には70人が訪れた。また25人が箱根や河口湖への日帰りツアーに参加したという。親水公園には「イカメンチ」などの地場産名物のブースを並べ、大鍋で海鮮チゲを無料配布。舞台も設置して寄航を「祭り」へと盛り上げた。一方で下船せずに船内で過ごす「船ファン」も多く、いかに乗客を外にいざなうか、新たなアイデアが求められそうだ。同課では「1人でも多く街を歩いて欲しいが、時間的な余裕なども限られている。次回は街歩きコースを更に工夫したい」と話す。
熱海市ではさらに千葉港からの提案を受け、三浦港経由のジェット船を迎えるなど、新たなルートを開拓にも意欲を見せている。千葉港の先には成田空港があり、外国人観光客の誘客ルートとしての可能性もある。
歓迎イベントを視察に訪れた斉藤栄市長は「船上から見た雪化粧の富士山、そして熱海市の光景は絶景だったと聞いた。今後も船の上からの景観をPRしなければ」と意気込みを語っていた。
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