ジオパーク候補地をゆく 新崎川の白い貴婦人
湯河原の滝といえば、町の西側・千歳川にそそぐ不動滝が有名だが、東側・新崎川の上流でも数々の無名の滝が渓谷美を成している。「スダレのような滝や、トコロテンのような石の滝もある」――。町民の方から教えられ、早速現地を訪ねてみた。
幕山公園の背後を目指し歩く事50分、白銀林道にたどり着く。林道と川の交差点が沢への入口だ。滝は未開の地で遊歩道も案内図もなく、ハイカーが来る事はない。巨岩の間を新崎の源流が縫っている。スタート地点から50mほど進むと岩壁がホールのように取り囲み、それらを裂くように水が落ちている【1】。轟音が腹に響いて心地よい。底も見えないほどの滝つぼ。これを沢登りの世界では「釜」と呼ぶらしい。滝の脇を滑りつつ這うように乗り越えて進むと、こぢんまりした「なめ滝」が出迎えてくれた【2】。レース状に流れる様は人の目を釘付けにする美しさ。ジオパーク(候補)の名所はこんな山奥にも隠れていた。(つづく)
※現地を訪問する場合は万全の装備で経験者と一緒に