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真鶴で絵画展「渦の焦点」を開いた 鍋島 遥さん 湯河原町在住 25歳

公開:2012年1月27日

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妖しい空気を描きこむ

 ○…重々しい質感の妖しい空気を黒一色で描かせたら、この画家に勝る人はいないだろう。「こんな画家が地元にいるんだね」と驚いた様子の来場者もいた。作品はどれも嵐のように描きこまれているせいか、ついキャンバスの隅々まで見入ってしまう。「SFが好きなので、これからもいろんな世界観を、異物を混ぜ合わせたいですね」。どうやら今後の方向性も渦がまいているようだ。

 ○…まさご保育園に通っていたころ、姉が描く絵に刺激されて筆を握ったらしい。時は「セーラームーン」全盛期。リボンをつけた女の子を熱心に描いた。吉浜小、湯河原中学校と進むうちに漫画コミックの模写に没頭し始め、友人からも頼まれる腕前に。そして思春期に出逢ったのが「水戸黄門」。あおい輝彦の熱演に心を奪われ、録画しては模写したという。両親が時代小説好きだったせいか、自宅には山本周五郎や池波正太郎がずらり。こうした活字が頭の中で容赦なく世界を広げたのだろう、今も江戸の人物像を好んで描く。

 ○…小田原高校を経て進学した筑波大を卒業。中学校の美術教員として半年間250人の生徒を担当した。そこで美術への扉を開く「教育の美」と自身が掘り下げてきた「芸術」との隔たりを感じたという。携帯やデジカメが当たり前になり、自己表現ツールはあまりにも増えた。遠い風景を眺めるように「何というか…学校は世の中の縮図でしたね」とくちびるをかむ。

 ○…頼まれて似顔絵を描いたり地元紙に挿絵が載ることもある。完成度の高い絵からは信じ難いが、苦手分野があるという。「人体が描けてない。だから描く。不器用だけど頑張った分の迫力はある、とか言われます」。不器用・失敗・塗り重ねだと厳しい自己分析。これまでの創作数を聞くと、表情は呆然――そもそも足跡を数えて歩く人ではなかった。画家か、イラストレーターか。いや「絵師」の二文字がよく似合う。
 

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