10月開催「宮ノ下さんぽ」の準備をしている 元波 英敏さん 箱根町在住 59歳
宮ノ下の懐に抱かれて
○…地域の力を集めて来月9日から開催する「宮ノ下さんぽ」。現地で配っているマップは地元目線で選んだ見どころを紹介、宝探し気分で歩きたくなる出来だ。昨年は宮ノ下の半日ツアーの案内役を担当した。会場の寺院境内では紙芝居なども披露され、100人以上の来場者で賑わったという。今年は仲間とともに企画を進化させ、様々なアーティストとのコラボイベントを開く。路地を使ったライブやジオラマ展示など、初の試みばかりで、喋りだすと笑窪が消えない。
○…生まれは新潟県の上越、雪が降れば2階が玄関口になる豪雪地帯だ。「あそこに比べたら箱根で降る雪なんてへっちゃら」と涼し気な顔。高校卒業後に美術系の学校に入り、カーテンやクッションのデザインを研究。今も若手芸術家と接点が多いのは、通じるものが多いからだろう。20代はスキーに没頭しライセンスも取得、働きながらひたすら滑り続けた。スキー関連で独立する方法を考え、日光市の一角でペンション経営を始めた。レトロな街角に名門・金谷ホテルや老舗の酒屋などが軒を連ねており交流を深めたという。今も時折帰って観光集客のアイデアを出し合って盛り上がる。昨年の震災後に日光市は苦難に見舞われた。前向きに立ち向かう仲間の姿がまぶたに焼き付いている。
○…エキゾチックな風景に惹かれ、箱根に移ったのは20年ほど前のこと。当時箱根湯本にアトリエを構えていた画家の故・平賀敬さんと交流し、酒を酌み交わし、色塗りも手伝った。ある日平賀氏から言われた事がある。「箱根は外から入ってくる人でも大切に受け入れてくれる街だ。だからお前は一生かけて町を盛り上げろ。その責任があるんだ」。10年前、富士屋ホテル前の薬屋だった古い建物を改装して、カフェを開いた。根を下ろした一角はおそらく国道一号線沿いで最も異国情緒漂う場所。きょうも珈琲を運びながら、隠れた魅力を探している。
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