湯河原文学賞の工藤哲さん 作詞家の横顔、SMAPの曲も
135作品が寄せられた第12回湯河原文学賞小説の部で、工藤哲さん(藤沢市在住・50歳)の「お客さん、どちらまで?」が最優秀賞に選ばれた。作品は小説NON(祥伝社)6月号に掲載される。
▼あらすじの一部…最愛の息子をひき逃げ事件で亡くしたタクシー運転手が、犯人逮捕を心待ちにしながら仕事に向かった日、6番目に乗せた青年が犯人であることに気付く。自首するために警察署まで連れて行ってほしいという彼の自白に動揺する運転手。自首で刑が軽くなることを思い出し、警察が犯人を特定するまで彼を逃さないと決める―。 3月21日に役場で表彰式が行われ、ミステリー作家の西村京太郎さん(湯河原町在住)などが出席。西村さんは「全体的にうまくなり、楽しく読めた」とし、「どの候補作も偶然が重なりすぎる部分が引っ掛かった。短編ゆえの難しさだと思う」と振り返った。工藤さんは中学生の頃から創作を始め、これまでに作詞家としてSMAPの「僕は君をつれてゆく」なども手掛けた。受賞作はタクシーに乗った際に着想したという。「一番になることは初めてなのでとても嬉しい。自信にもなったし、これから小説を書き続ける勇気をもらった」とコメントした。