中山泰次郎さん(湯河原)が作品公開中 新種続々...鍛冶屋の"文字職人"
湯河原町鍛冶屋のギャラリー「スペース楠樟」で、ユニークなアルファベットが展示されている。歩き出すような文字や、空気で膨らませたような文字など、キーボードで打ちたくなるものばかり。作ったのは、ギャラリーの主・中山泰次郎さん(76)だ。中山さんは中学生の頃からポスター作りに目覚め、武蔵美術学校(現大学)を卒業後、デザイン会社に就職。「タイポグラファー」として様々な広告などを手がけ、曽野綾子さんの小説「神の汚れた手」(朝日新聞連載)の表題デザインも担当した。シンボルマークの公募にも挑戦し、大鰐町(青森県)や東神楽町(北海道)などでは今も中山さんデザインの町章が使われている。
この20年で作った字体は250種を超えた。「思いを込めるためにはアナログが良い」と仕事場では愛用の雲形定規やコンパスを片手に鉛筆を走らせる。パソコンは作品に色を載せたり、保存に使う程度。アイデアの種は外から飛び込んでくるらしく、博物館で見た縄文土器の模様に刺激されて生まれた字体(左上)、デモ行進に参加したのを機に、放射能が体の内側に入り込む恐怖を表現した作品(左上2番目)も。どれもA〜Z、a〜z、記号まで備えるれっきとした製品だ。創作の苦労については「あまり覚えていない」「頑張らなかったからここまでこれたのかも」とあっさり。インターネットなどで公開していないせいか、商用でほとんど使われていないという。公開は6月末までの金・土・日曜日、10時〜午後4時。詳しくはスペース楠樟【電話】0465・62・0691まで。
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