タウンレポート 上空210mの制震装置 設置に向け小田原から新宿へ
超高層ビルの長周期地震動を低減する「超大型制震装置」が、小田原市羽根尾の西湘テクノパーク内に機械技術センターを構える鹿島建設(株)の社屋前にある。来年4月までに新宿三井ビルディングに設置される装置の性能検査の現場に潜入した。
「超大型制震装置D3SKY」は、鹿島建設が独自開発した同調質量ダンパ(TMD)を三井不動産と協同で技術発展、応用したもの。TMDは錘(おもり)とワイヤ、ダンパ(減衰器)を使い、揺れの周期を建物に同調させて動く錘が、建物の振動エネルギーを吸収し、振子式で揺れ幅を低減する装置。従来、超高層ビルの風揺れ対策に使用されてきたが、2011年の東日本大震災を受け、地震対策用の制震装置として実用化された。
TMDは既存ビルの屋上に設置可能。屋上に設置することで眺望の阻害や、有効床面積の減少、テナントへの影響を低減できる。初の設置となる新宿三井ビルディングは1974(昭和49)年に鹿島建設が施工した地下3階、地上55階の高さ210mの超高層ビルだ。羽根尾の機械技術センターで行われた性能検査では、ダンパが想定通りに動くかなどの試験が行われ、検査が終わったものから随時、新宿三井ビルディングへ搬入、本設置される。建物の形状や重量、高さなどからビルが持つ固有の揺れの周期を算出。同調させる錘の重量や、ダンパの可動範囲などを最適なものに調整する。
新宿三井ビルディングでは300tの錘と可動範囲±2mのダンパ4台を搭載したTMD6基を設置する。工事は昨年8月にスタート、2015年4月に設置完了の予定となっている。制震装置の導入効果は、東日本大震災時における長周期地震動による揺れを半分以下に低減し、揺れを早期に収束できるという。
同社広報担当者は「超高層ビル内で働く方に安全、安心を提供し、快適で便利に働けるオフィスづくりのお役に立てればうれしい」と語った。