地元観光協会主催の宝さがしイベント「九頭龍秘宝伝」を中心となって準備した 杉山 寿生さん 元箱根在住 50歳
湖尻の”お宝”案内人
○…湖尻は大型レジャー施設や美術館もない場所だが、この秋は親子連れが増えそうだ。地元活性を目指す同志と「九頭龍秘宝伝」を企画した。湖尻に謎と「宝箱」をちりばめたイベントで「子どもたちに来てほしい。楽しかった記憶は大人になっても思い出してくれるはず」と期待をこめる。
○…湖畔に生まれ育ち、遊び場も芦ノ湖。昔の湖尻っ子は他の小学生と少し違った。遊覧船で登下校。「クワガタは木から獲るんじゃなく、湖に落ちて浮いたものを拾うんですよ」。アケビを獲って観光客に売った思い出も。思い切り遊んでお腹が減ると、父・秀男さんがキャベツサンドを作ってくれた。
○…仙石原中、相洋高校を経て神奈川工科大へ。セラミックを研究し卒業後は大手自動車メーカーのシステム化に関する職場で働いた。硬派な理系男子だったかと思いきや、社内の釣りイベントやゴルフの企画・立案に奔走していたという。10年ほど前、旅館の経営を継ぐため帰郷した。父の背中は見ていたが、ゼロからスタート。掃除から料理まで一から経験を積み、今ではほぼ一人で旅館を切り盛りする”おもてなしのプロフェッショナル”だ。
○…ワカサギ漁が解禁すると朝もやの中を漁に出る。真一文字にむすんだ口元をゆるめ「趣味の時が定休日」。海釣りにも出かけ、お手製の塩辛は仲間からも絶品と評判。宝物は父の実家から伝わる年代物の糠床で、手入れは欠かさない。「家の味は絶やさないようにしないと」とつぶやいた。
○…受け継いだものを伝える熱意は、郷土愛にも通じているようだ。湖畔の住所はほとんど「箱根町元箱根」だが「箱根町湖尻になったらいいなぁ」と目線を遠くへ。数年前に、仲間を誘って手作り散策マップも作った。「ここはどこより紅葉が美しい。手つかずの浜辺も…」と語らずにはいられない。受け継がれた宝物。そのありかはこの人が一番知っている。
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