「風待ちの湊」というキャッチフレーズ打ち出した真鶴の「宿浜通り会」会長 青木 雄四郎さん 真鶴在住 66歳
いつまでも吸収し続ける
○…新たな観光拠点・里海BASEのオープンなど真鶴港周辺が賑やかになりつつある。ちょい飲みイベントやライブ、湊BARなど、新しいイベントを打ち上げて界隈を盛り上げているのがこの商店街。「会長といっても名前ばっかりだよ」と豪快に笑う。旅館の主として商店会長として、両肩はずっしり、だろう。「この地域を存続させないと。人に来てもらわないと始まらない」。気さくな口調で、小さな港町が生きる道を繰り返し説いた。
○…真鶴中学校を卒業後、日大三島高、駒大へと進学し、青春時代は家業だった薬局の営業や配送に駆け回った。得意先回りだけでは納得いかず、新規開拓のため遠く山中湖まで足を伸ばした事も。「仕事以外の事でも嫌な顔をしないで引き受けた。今でも仕事はその積み重ねだと思う」。
○…29歳の時に港の正面に立つ入船旅館に婿入りした。外回りの営業から飛び込んだのは厳しい板前の世界。まずは魚の名前から憶え、先輩の技を見て学び取った。「魚市場に行くとキリとかソクとか、競り言葉が飛び交っていた。優しく教えてくれる人もいた。嘘を教えられた事もあったな」。包丁を握って30年。手を見せてもらうと、利き手の指は太く重々しい。苦労の説明はいらない。
○…1年ほど前までは地域の消防団長だった。人を助けた事も、山火事の現場に向かった事も。「普段の生活から離れた奉仕活動がイイんだ」としみじみ。そこで出会った仲間たちが宝物で、ほかに趣味を語らない。「しいて言えば、日なたぼっこが好き」。
○…小さな漁師町の風情を強みにすべく冠した「風待ちの湊」は、かつてこの港が風待ちの漁師で賑わったエピソードが元になっている。月1の会合はアイデアのるつぼ。調理場で鍛えられたせいか、まとめ役が板についた。吸収し続けるスタンスは変わらない。街角には若手のアイデアの種が続々と花開いている。
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