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ハタチで誓う更生の道 小田原少年院で成人式

公開:2015年2月13日

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緊張感が漂った会場
緊張感が漂った会場

 真新しいスーツや色鮮やかな晴れ着姿の若者があふれ、街が華やいだ雰囲気に包まれた成人式から遅れること11日。扇町の小田原少年院で、院生たちの成人式が執り行われた。

 更生保護女性会から贈られたコサージュを胸にさし、大きな手拍子が鳴り響く講堂に入場してきた新成人は16人。全員が丸刈りで、表情にはどこかあどけなさも残る。 

 「家族や被害者を悲しませ、多くの人生に影響を与えてしまった。しかし、君たちは未来を切り開いていく若者。困難に立ち向かう忍耐と感謝の気持ちを忘れずに」とエールを送った宮崎誠院長。次々続く来賓のあいさつに耳を傾ける新成人の真剣な姿に、会場には清々しい緊張感が漂った。

 同じく、微動だにせず式を見守った62人の在院生。代表として登壇した少年は、「社会の同世代と比べると、失敗も数多かったと思う。しかし、そんな皆さんだからできることも多くあると信じている。今日まで無事に生きてこられたこと、私はすばらしいと思う」と祝辞を述べた。

 その後、新成人は一人ずつ壇上で「成人の誓い」を発表。「このような場所で成人を迎え、今後の人生が不安」「社会で大切な友人と成人式を迎えたかった」と、のぞかせた不安や悔しさ。一方、「大人になったからには弱い自分でいられない。大切な人を悲しませず生きる」「周りからの期待を原動力に、次こそは輝ける人間になる」と、希望に満ちた言葉を堂々と述べていた。

就業が更生への近道

 だが、退院後の少年を待ち受ける現実は甘くない。

 刑務所と異なり、少年院ではひと通りの教育を終えても、身元引受人が決まっていないと仮退院手続きができない。しかし、親が引き受けを拒否するケースもあり、更生に懸命だった少年が自暴自棄になることもあるという。また、親自身の素行等の理由から、保護観察所が戻すべきでないと判断を下す場合もある。

 小田原少年院では、2014年に新たに収容された76人の少年のうち、実父母と共に暮らしていた者は0人。法務教官の吉田勝夫さんは「親が食事を作らず、日常的に弁当を盗み弟や妹に与えていた少年もいた。家庭を省みない親など、複雑な家庭環境で育った少年は少なくない」と指摘する。

 さらに、退院後の就業が更生の成功率を大きく左右するため、院内では可能な資格取得に力を入れているが、その経歴ゆえに就職が決まりづらいのも事実だ。

 保護司として30年以上にわたり退院後の少年らの更生を支える志村宗男さんも、就業についての悩み相談を受けるという。「家庭をもつことが自立への近道。そのためにも仕事が必要。彼らを見守る周囲の理解も必要だが、本人達も感謝の気持ちをもち、困難に打ち勝ってほしい」と激励のメッセージを送った。

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