県下初の徘徊者捜索訓練
「行方不明の女性は赤いジャンパー姿、見かけたら連絡を―」 雨の真鶴町で19日、不明者の特徴を伝える声が響いた。町ではありふれた放送だが、今回は認知症の理解を深め、徘徊者のSOSに気付くための捜索訓練だった。
真鶴の高齢化率は36%。県内(平均22%)の中で最も数字が高い。小田原署によると1市3町では精神疾患や泥酔なども含め、年間430人が行方不明になり、うち170人を高齢者が占めるなど、町全体で徘徊者を見守る環境づくりが欠かせなくなっている。県外の不明者が真鶴で発見されたり、真鶴で行方不明になった人が、北陸で発見されたケースもあるという。
声掛け15件通報は6件
訓練は町内放送で始まり、3人の町職員は徘徊者に扮して町内3地域をゆっくりとした足取りで歩く。時折、商店街のベンチに座り、店を覗きこむ。これだけの規模の訓練は県内でも初で、小田原保健福祉事務所の提案に町が応じて実現したという。「どうしたの」と近寄ってきた町民には「ありがとうカード」を手渡していった。
約1時間の訓練で、町役場への通報は6件。終了後の会議では訓練後に分かった課題が挙がった。「普通の恰好で歩いていると、逆に声がかけづらい」「放送を聞いても家の外を気に掛ける人は少ないのでは」。この日は雨で、住宅地を歩く人も少なく、駅前では行き交う車の音に音声がよく聞こえなかった。しかし実際は「雨の日にも行方不明者が出る」(県職員)。
模擬徘徊の間はバスやタクシー、配達のバイクなどともすれ違ったものの、声かけはなかった。民間企業や町内団体のネットワークを含めて、いかに不明者情報を共有すべきか――。
町では今回あぶりだされた課題を生かし「ネットワークの枝を増やす」という。
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