印刷機器の修理等が困難に
湯河原や真鶴で発行する日刊紙「相豆新聞」が今月末で終了する。2町のスポーツ大会の結果からイベント情報、政治経済など様々な地元ネタを発信し続けて42年。地元紙の代名詞的な存在で、惜しむ声は多い。
同紙は宮下象二郎社長(70)の父、故・宮下隆寿氏が伊豆毎日新聞から独立し、昭和48年に湯河原で創刊したのが始まり。複数の記者が所属していた時期もあったが、現在は二代目の象二郎社長一人で取材に駆けまわっている。
紙面は原稿をフイルム化し、さらにアルミ板に写して印刷する「写植」方式。最近の印刷物はパソコンで作られる事がほとんどだが、かつては印刷の最先端だった。原稿の文字列を精密部品のように手作業で紙面に構成する。刷り上がった更紙(ざらし)の紙面は、どこか懐かしさもあり、温泉地湯河原によく似合う。
発刊終了の「社告」が載ったのは8月。創業以来受け継がれた技術は機器のメンテナンスが難しく、部品が手に入らない。設備更新には多額の費用が必要で、やむを得ない決断だった。今年になり妻・三千子さんが倒れ、他界した事も大きかった。30年以上も経理など事務方として発行を支えた、かけがえのない存在だった。同社にはその後、「なくなったら困る」「ありがとう」と、様々な声が寄せられているという。
「やっと(終了が)認識されてきたのか皆優しく言葉をかけてくれる。すみません、という事しか言えない。静かに終わりを迎えられたら」。宮下氏によると最終号も普段通りの紙面を作るという。
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