ロータリークラブのポリオ撲滅・箱根応援キャンペーンの実行委員長を務めた 田代 恭子さん 箱根町湯本在住 61歳
夢中になったら止まらない
○…「会社帰りに天気が良い日は遠回りして芦ノ湖を見て帰るのよ」。地元を愛する生粋の箱根っ子だ。名門・函嶺白百合学園に通い、当時は登校前に入浴、帰宅後も寒ければ入浴という温泉好き。両親から様々な習い事を勧められ、とことん熱中した少女時代だった。スキー場では190cmの板を履きこなし、スケート靴は今でも5足以上持っている。「止められるまで夢中になっちゃう。もちろん今でも滑れますよ」。
○…和光大を卒業後、電子計算機関連の会社を立ち上げ、機器導入やソフト開発などを手がけた。現在は会計事務所の代表取締役を務めている。仕事の上でも師匠のような存在だったのが父・勝八郎さん。司法書など数々の資格をもち、多忙な人だった。愛車だったロールスロイスのハンドルを握ると、よくこう言った。「仕事は自分が食べるためだけじゃない。社会奉仕なんだ。わかるか」。7年前に勝八郎さんは他界。ある日父の知人にゴルフと食事会に誘われ、行ってみるとロータリークラブの例会だったという。顔ぶれは父の友人ばかりだった。
○…クラブの活動で初めてポリオの患者に会ったのは2年前。夏のインドは気温40度、息をするのも辛く、貧困の数々が目に飛び込んできた。あまりの光景に無力感に陥ったが、病棟でリハビリを続ける人々に出会い、考えが180度変わった。「誰もが手術後の痛みに耐えているのに、瞳が希望に満ちていて。逆に元気を分けてもらったのかな」。彼らに会うため、来月も仲間とインドに飛ぶ予定だ。
○…「日本の人にありがとう、と伝えて」―患者たちの伝言が、原動力になっている。クラブが箱根の玄関口でポリオ撲滅キャンペーンを繰り広げるのは今回が初。観光客の間を縫って仲間と募金を呼びかけた。30年以上同クラブが取り組む根絶の目標まであと少し。今がラストスパートなのか、寒風の中で立ち続けながら疲れを顔に見せなかった。
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