箱根・湯河原・真鶴版
公開:2016年9月9日
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箱根の寄木細工職人・本間昇さん(84)の寄木細工作品が63回日本工芸展新人賞に選ばれた。
「神代桂菱紋重糸目筋箱」の特長は格子ごしにしたように菱形の寄木が透けて見える加工。ヒントになったのは本間さんの少年時代に母・イチさんが作ってくれた「日の丸弁当」だった。「あの頃は食糧難の時代。弁当箱を開けると海苔が敷いてあって、その下に梅干しが隠れてた。同じように、菱形の寄木細工の上に黒い神代桂の板を重ねて、V字の刃物で等間隔の溝を彫ってみたんです」。80歳を過ぎての新人賞だが、伝統工芸士でもあり寄木業界では重鎮とも言える存在。取材中も作業の手を動かし続け「これからも挑戦し続けたい」と話していた。作品は今月21日から日本橋の三越で展示される。