11日の真鶴町長選は4年前と同様、宇賀一章氏(64・現)と青木健氏(63・元)との一騎打ちとなり、宇賀氏が603票差で再選を果たした。18歳以上の有権者を加えた足柄下郡初の首長選で、投票率は前回同様の66%と、ほぼ横ばいだった。
選挙戦で宇賀氏は、国補助金獲得や町の貯金とも言える財調基金の積立(3億)について力説。中学給食実施などを掲げて戦う青木氏に対しては「なぜ自身の任期中にやらなかったのか」などと鋭く指摘した。同時に来年4月の新小中1年生への祝い金給付と、「子どもたちを町内施設で面倒を見て、母親たちの時間を作る」といった新公約も表明。街頭では地元県議の高橋延幸氏らが駆けつけ応援演説のマイクを握った。
万歳に沸く事務所には山口昇士箱根町長、冨田幸宏湯河原町長、加藤憲一小田原市長らが来訪。宇賀氏は取材に対し「4年前に戻るか未来に進むかが争点だった。人口減少を止めるため、子育てに力を入れたい」と語った。
景気倍増計画2期目も継続
4年前の選挙では「景気倍増」を掲げ329票差で勝利した宇賀氏。その指標としていた町観光消費額は15億円(24年)→13億円(25年)→11億円(26年)→14億円(27年)と伸び悩む。隣市町同様に、人口減少をくい止める特効薬はない状態だ。一方で国補助金を積極的に活用して岩ガキやアワビ養殖、オリーブ栽培など地元産業の拡大に着手し、港湾エリアの観光拠点「里海BASE」も整備した。主要観光資源のお林の保全活動には大手企業とタイアップするなど、役場内にもマンパワーや資金を「外から」呼び込む姿勢が目立つ。町の景気動向について「右肩上がりに進んでいる」と前向きに捉える宇賀氏。今回の選挙結果は、こうした施策への町民の評価を反映したとも言える。「荒れ地の開墾」とした1期目から、結実・収穫を目指す2期目が始まった。
「4年かけて町民の声を聞き取り、公約に凝縮した」青木氏だったが雪辱はならず。支持者たちは近所に響く万歳の声に立ちつくした。中学給食実施などを掲げ、駅頭でのPRには連日子育て世代も連なった。青木氏は「結果は結果として受け止めないと。公約と町を思う気持ちは負けないと思っていた。若い方々に政治に関心を持ってもらえたのではないか」とあいさつ。周囲に拍手が起こった。