第101代小田原警察署長に就任した 兼子 栄司さん 小田原市荻窪在住 58歳
優しく厳しく誠実に
○…「その街に合った対応で、住民の悩みを解決することに徹する」。第101代小田原警察署長に就任した。「地域の人に評価されるような警察署に」。そのためにも、「住民の声を拾い上げること」を最大限に重視していくつもりだ。「小田原と箱根は特に観光客が多い。ここは外国人向けの犯罪抑止にも気を配らないといけないな」。より一層、鋭い視線を向けていく。
○…横浜市旭区で生まれ育った剣道少年。幼いころから稽古をつけてもらった「身近な存在」だった警察官の姿に自然と魅かれていた。地元の旭高校に在学していたときまで剣道に勤しみ、大学受験を控え、浪人中のことだった。「そうだ、警察官になろう」。ふと頭を巡った。大学合格から目標を変え、警察官採用試験に挑戦。見事に一発で合格した。これまで交通機動隊や横須賀の田浦警察署長、県警本部で教養課長や警務課長などを経験した。逮捕術特別訓練員として、全国大会に出場したこともある。「警察官は仕事に誠実であってほしい。気力と体力がないと。そこで負けたら治安は守れない」ときっぱり。
○…自宅は東京都町田市で小田原市へは単身赴任。休日は管轄の小田原市内や箱根方面に電車に揺られ、ぶらり一人旅をすることもしばしば。「暖かい街だね。住みやすいよ。楽しむところがいっぱいあってさ」。街に向ける眼差しと言葉には勤務中には抑えている優しさがにじむ。
○…豊かな自然に囲まれた城下町の街並み。そこには、県内平均値を上回る高齢者が関連する交通事故、孤独死の問題、今年の振り込め詐欺の被害額が9月末までに1億7千万を超え、県内ワーストを記録するなど課題が山積みだ。「我々の力だけではどうしても限界がある」と話す一方で、「この地域の方々は協力心がとても強くて頼もしい」。9月の就任から1カ月で得た確かな実感をこの街の「安心、安全」につなげる。
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