真鶴遠藤貝類博物館サポーターズの代表を務める 刀称(とね) 由美子さん 真鶴町岩在住 50歳
愛しいものを静かに磨く
○…遠藤貝類博物館はケープ真鶴の2階にあるせいか、通り過ぎてしまう観光客も多い。少々影の薄い博物館を応援するため、ワークショップや企画展を手伝ってきた。「子どもたちに真鶴の素晴らしさを伝える場。町の財産です」。キラリと揺れるペンダントは磨いた貝で、語らずとも博物館への愛情が伝わる。サポーターズは陸前高田市の博物館で浸水被害にあった収蔵品の洗浄ボランティア活動がルーツ。最近はゴミ拾いや観察会も開き、森や海の変化にアンテナを張る。メンバーの関わり方も人それぞれで「穏やかに繋がろう」と、力はこめない。
○…長野の御嶽山のふもと、人口約800人の王滝村出身。夜は北斗七星が分からなくなるほど星が輝く故郷だが、数年前まで心に封印してきた思い出もある。34年前の長野県西部地震。地元の29人が犠牲になり、自宅前が遺体安置所になった。涙を撮ろうと報道陣がやって来た。受け取った「支援物資」の箱に粗大ごみが詰め込まれていた。避難所生活も経験したからこそ「震災を忘れない」という人の気持ちがよく分かる。最近は昔の記憶も語れるようになった。「真鶴が被災しても数日はもちこたえなければ」と家の備えも万全だ。
○…神奈川の大学に進学するため長野を離れたものの、結婚後に豊かな自然を求めて、真鶴に移住。その後「町の役に立ちたい」とサポーターズに仲間入り。3人の子を育てながら代表も引き継いだ。今は町内の飲食店で接客もしている。高校の頃に陸上が得意だったせいか、立ち仕事が苦にならない。来店者と会話できるのも醍醐味だとか。「真鶴は空気がおいしい」「元気が出た」「また来るわ」。そんな町への賛辞が、自分の原動力になるそう。この町は貴重な助っ人に恵まれた。
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