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ロマンスカーLSE 7月10日(火)定期運行終了

経済

公開:2018年7月6日

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震災後、箱根に観光客を運んだ第1便だった
震災後、箱根に観光客を運んだ第1便だった

「ごくろうさん、ありがとう」設計に携わった一人・草門隆さん

 草門隆さん(71・松田町在住)はかつて小田急の「車両課」の一人として、LSEの設計に関わったひとり。工業高校を卒業後、10代で入社。車両検査業務で車両の知識を積み、弱冠24歳で新車両をつくる部署に配属された。11人ほどのチームだが、様々な職場の経験者がいた。留守中のスタッフに電話がかかってきても「担当の○○はいません」ではなく「探してきます」が基本。「知りません」ではなく「やってみます」という気風だった。

 草門さんにとってロマンスカーの設計はこのLSEが初めてだった。先輩からは、安藤楢六会長(当時)の「男っぽい車両を作れ」という言葉を伝え聞いていた。ただ、新車両は課内で創るものではない。運転手や車掌、整備担当や駅員、そして大勢の利用者の声などを吸い上げて取りまとめ、何が必要なのか「思想」をつむぎ出す。関連会社とのキャッチボールを繰り返し、設計が具体化していった。外観は画期的な2階運転席の先代「NSE」を踏襲しつつ、シャープに。LSEは「Luxury (高級・豪華などの意味)」に由来する。通路にはじゅうたんが敷かれ、車内をより静かにするため仕切り扉をもうけ、ダウンライトなどを採用して豪華さを演出。人気の展望席は先代の10席から14席へと増えた。これ以外にも多くの技術が盛り込まれている。車両デビュー後には、乗客として乗ったものの「不具合はないか、走行音はどうか」と構えてしまった。

 2011年の東日本大震災の時には箱根の観光客が激減した。計画停電への対応でロマンスカーは走れなくなったが、運転再開の第一便で観光客を運んできた車両も、このLSEだった。

 草門さんはその後、現場〜本社〜再び現場、と異動、大野工場(相模原市)の工場長も務め、ロマンスカーの生みの親と育ての親を両方経験した。LSEの姿は自宅近くの線路でいつも走っていたが、もうすぐ見られなくなる。地元の緑に映える姿が最高だった。「さびしい。ごくろうさん、ありがとう、と言いたい」。その感謝はLSEだけでなく、この車両を無事故で走らせてきた人達にも向けられている。

小田急ロマンスカーのLSE7000形の定期運行が7月10日に終わる。1980年(昭和55年)にデビューして38年にわたり箱根に観光客を運び続けた。新型ロマンスカーにバトンタッチする形で、今後は臨時列車として使われ、年度内にも引退する構想だ。箱根湯本駅を10日午後5時25分に出発する便ではセレモニーも行われる。

上が先代ロマンスカーNSE、中央がLSE
上が先代ロマンスカーNSE、中央がLSE

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