秦野警察署(石井孝署長)地域課に勤務する沼田公徳巡査(30)が、東日本大震災で被災した宮城県警に先月から特別出向している。仮設住宅を巡回中、1人暮らしをするおばあさんから心温まる「ありがとう」の詩を手渡された。
1年前の3月11日、非番だった沼田巡査は寮で待機態勢を整えた。頭に浮かんだのは故郷宮城県柴田郡に住む家族や友人の安否。幸い皆無事が確認できたが、遠く離れた神奈川県から「何ができるか」日々考えていたという。
そんな時に「特別出向」の話が警察庁からあった。「地元の復興に微力ながらも力になりたい」と迷わず手を挙げた。
勤務先は宮城県岩沼警察署地域課。仮設住宅への巡回連絡や夜間の警戒・警ら業務、被災者との触れ合いなどを主に活動している。
「遠いところからありがとう」「おまわりさん、お茶でも飲んでいきな」とたくさんの温かい声をもらっている沼田巡査。ここで出会った1人暮らしのおばあさんから「毎日パトロールをしてくれるおかげで安心して生活しています。復興に携わってくれた全国の皆さんに詩を作りました。受け取って」と詩を手渡されたという。A4サイズの紙2枚に書かれた詩には「ありがとう」と名前が付けられ、感謝の気持ちがつづられていた。
沼田巡査は「新しい任務は微力な自分にとって重責ですが、被災者のため、地元宮城県復興のため、自分のできることを1年間精一杯やりぬいていきたい」と決意を新たにした。出向期間は来年3月末まで。
神奈川県警からは岩手、宮城、福島の3県警に65人が出向している。
ありがとう
作者 宮城県名取市の女性
鳥のように空を飛んで ありがとうを届けたい。
太陽のような笑顔になって ありがとうを届けたい。
風になって みんなの耳元にありがとうを届けたい。
ありがとう ありがとう 言い尽くせぬありがとう
ありがとうの「あ」は、あたたかい心 あたたかい食べ物
あたたかい衣類をありがとう。
ありがとうの「り」は、りっぱに復旧、復興するために助けてくださった
皆さんにありがとう。
ありがとうの「が」は、「がんばって」と声をかけてくれてありがとう。
ありがとうの「と」は、とつぜん 何もかもなくなったけど
世界の人が支援してくれてありがとう。
ありがとうの「う」は、うれしかったよ。
歌が歌える気持ちが少しずつ出てきたこと
「化粧でもしてみようかなあ」という気分になれたこと。
みんなの支えがあったから ありがとう。
いつか恩返しが出来るかな。
「元気でいる事が恩返しなんだよ」と言ってくれた。
(風)やさしい風が あなたの頬をなでたなら
ありがとうの気持ちを受け取ってください。
(鳥)小鳥のさえずりがやさしく聞こえたなら
ありがとうの気持ちを感じてください。
(虹)雨あがりにきれいな虹が出たら
皆様のおかげで希望を胸に 前に向かって進んでいる
私達の事を思い浮かべてください。
ありがとう ありがとう 言い尽くせぬありがとう。
(光)太陽が朝もやを照らしたら 光と共に
笑顔になっている私達の事を。
暗闇から徐々に朝やけになるように
私達の心も少しずつ明るくなってきたのを。
雲よ ぽっかり浮かぶ雲よ 鏡になって 風よ光よ届けてほしい。
言い尽くせぬ ありがとうを。
雨あがりの虹よ 届けてほしい 世界のみんなにありがとうを。
鳥よ 雲よ 届けてほしい みんなの応援で 前向きになれたことを。
月よ 星よ 届けてほしい
みんなの願いが届いて 笑顔が戻ったことを。
秦野版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|