寺山に春めき桜を植樹した「中丸の里山を守る会」会長を務める 石井 貞男さん 寺山在住 60歳
「いつもずっと楽しいね」
○…寺山の中丸沢の川沿いに春めき桜を植樹して3年目を迎えた。その数は25本に達し、新名所となりつつある。「季節になるとカメラマンやハイカーも多く訪れます。今は片岸のみだけど、両岸に50本くらいは植えたいね」と夢を語る。
○…かつては不法投棄されたゴミが散乱していた。目に余る光景に、自身が主宰する「石庄そばの里づくりの会」のメンバーらとゴミを撤去。2010年、全国植樹祭が秦野で行われたことをきっかけに同会を発足し、中丸沢に桜を植樹した。昨年には寺山が里地里山保全等地域に選定され、県の協力も得られるようになった。22人の会員と共に、休耕田を活用した棚田づくり、ホタルの保全、桃の植栽などを行っている。「この寺山が故郷」と胸を張る。
○…「手打ちそば石庄庵」の店主でもある。生まれ育ちは堀川。高校卒業後、進路に迷い自衛隊へ。3年後、日本料理の道に入り、そこで出汁に興味を持った。親が製麺業を営んでいたこともあり「これはそばと合わせられないかな、と」。思い立ったら即行動、という実行力の高さを発揮し24歳で起業。国道246号線沿いの店では、地元産のそば粉にこだわり、完全自家製粉に切り替えた。「お陰様で忙しい毎日。これは恩返ししないと、と思ったね」。そば畑がある寺山に店を構えたのは7年前。市外からの来店者が多く「秦野の素晴らしさを伝えるにはどうしたらいいか」と考えた末の移転だった。店の外に広がる里山の自然。来店をきっかけに秦野に引っ越してきた人もいる。「嬉しいですよね」と目を細める。
○…商売を介して多くの出会いがあった。全盲のアコーディオン奏者・熊坂栄弥さんに発表の場を提供したり、秦野市出身の落語家・春風亭一左さんの後援会長を務めているのもその一つ。お客さんと店で酒を酌み交わすことも。「いつもずっと楽しかったね」。還暦を迎え、そう語る笑顔はいきいきと輝いている。
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