シンガーソングライターkoume 「光」見い出し再始動 2ndアルバムリリース
秦野市出身のシンガーソングライターkoumeが全詞を書いた2ndミニアルバム「プリズム」が9月3日(水)にリリースされる。今回のアルバムには自らの思い悩んだ時期や二度と会うことの出来ない友人への思いなどをつづった全5曲を収録。
市立東中学校出身のkoumeは厚木東高校時代にバンド活動を開始。大学卒業後の2005年にインディーズで「ひこうきぐも」を発表。2008年に「私の代表曲」という同曲を録り直しメジャーデビューを果たす。2009年には1stアルバムをリリースし、順風満帆かと思われた。
しかし、1stアルバム後に残ったのは満足感と喪失感。「描こうと思っても全く描けなくなった。このままやっても音楽を嫌いになる」と活動休止を宣言。好きで詞曲を作っていたはずなのに、いつの間にか「どうすれば売れるか」と商業的思考が先行していた。
人と作品に触れ取り戻した感覚
音楽と離れ、派遣社員をしながら自分と向き合う日々が始まった。当初あった「何かを作らなきゃ」という焦りを悟られまいと人付き合いも希薄になった。
音楽に耳を塞いだ時期もあったが、あるとき星野源の楽曲を聴き「気張らなくていいんだ」と思えたという。また、劇団新感線の舞台で目の当たりにしたプロの演者は、気張ることなく、その瞬間を楽しんでいることに刺激を受けたという。同時に「私もあちら(演者)側にいたかったはず。忘れていたの?」という自分との対話。気持ちに余裕が出てきた頃から友人との食事も徐々に増え、時間と作品と友人によって凝り固まったものがほぐれたという。そして再び「ライブしたいな」との思いが去来した。
2012年に行われた再始動ライブは30分程だったが観客の意識が自分に向くのを感じるのを心地よく思い、「すごく楽しく、ホッとしていた」と話す。駆けつけた昔のファンから「待ってたよ」との言葉にも感動。そして、昨秋からアルバムの制作に取りかかった。
「伝えたいこと」は気丈な言葉の裏に
「ただ待ち続けてても何も変わらないんだ」という活動休止期のなんとかしたい、このままじゃないはずとの心境が切々とつづられた『光海(ヒカリウミ)』は詞とは裏腹に爽やかな曲調。『シンデレラ』は痛い程ストレートな焦燥感や劣等感を「何かが何かわからず迷ってるだけ」と率直に表現。ギターを筆頭にロックサウンドが加速させる。2曲とも最後には見い出した救いの光を描いた。
自ら命を絶った友人への思いを描いた『君がいないことなど、何も。』は当初、動揺、悲しみ、怒り、後悔の感情が短い言葉でボロボロと出てきたが、すぐには詞としてまとまらなかった。詞曲を散々入れ替え、やっと形になっても「友の死を売り物にして歌っていいのか」とためらったが、ある友人から「歌ってよ。歌うことであの子がいたことを忘れないでいられる」と背中を押され「吹っ切れた」。
二度と会えない友へは気丈な言葉を歌う。しかし、そこから察する本来の感情は計り知れない。それでも「どんなに暗く寒い夜も必ず明けて涙が花を咲かせる」と、アルバムタイトル「プリズム」に込めた一閃の光を最後に描く。「あんなにも不幸なことはなく、もう経験したくないし、誰にも体験して欲しくない。歌にして伝わるものがあるかもしれない」と真っ直ぐ瞳をわずかに潤ませながら語った。
「5曲並べて直感的に浮かんだのがプリズム。必ずどこかに光が、助けがあるからということを伝えたい。売れる売れないはどうでもいい。伝えたいことが沢山あって、色んな人に聞いて欲しい」と思いを語る。
9月3日はTSUTAYA O-nest(渋谷)で発売ライブも予定。(問)03・3462・4420
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