白百合女子大学でイギリス文学の講師を務める相原雅子さん(秦野市菩提在住・36)が、12人の研究者らと執筆した、米英の代表的長寿作家の晩年に焦点を当てその人生を紹介する共著「晩年にみる英米作家の生き方 モーム、ミラー、アップダイクほか15人の歩んだ道」がこのほど、出版社港の人(鎌倉市)から発行された。
相原さんに執筆の提案があったのは、2010年の春。共著の編著者で、18世紀イギリス文学等を専門にする筑波大学の江藤秀一教授から、「団塊世代が定年退職を迎え、セカンドステージを有意義なものにするためのヒントが、長寿の英米作家の生涯や晩年から見出せるのではないか」と話があった。
自身より何十年も上の世代を想像しながらうまく文章をまとめられるか不安だったという相原さん。しかし、「セカンドステージを華々しく生きていくためのお手伝いをしたい」と、長年研究を続けてきた詩人トマス・スターンズ・エリオット(1888〜1965)について筆を走らせた。
エリオットは、「四月は残酷きわまる月だ」(『荒地』より)で日本でも馴染みのある詩人で、今なお各国で上演されているミュージカル『キャッツ』の原作者としても知られる。相原さんは、数々の挫折を乗り越え、夫婦愛と幸福な生活、栄光に包まれたエリオットの晩年に光を当て、20ページにまとめ上げた。
今までに数冊の研究書を執筆している相原さん。今回は初めての一般書ということで、いかに分かりやすい言葉で内容を読者に伝えられるかを重点に文章を構成したという。
多くの執筆者が関わっていたため発行まで4年以上の歳月を経て、完成品が相原さんの手元に届いたのは7月下旬。同じ頃、ふらっと立ち寄った書店でその本が平積みされているのを発見し、嬉しさのあまり店側に了解を得てその様子をカメラに収めた。「もう少し早く発行できれば、というのが本音ですが、とにかく嬉しかったです」と表紙を眺めながらほほ笑む。また、団塊世代はもちろん、学生には英米文学の入門書として手に取ってほしいとも話した。
幼少期の夢叶う
秦野市の市史編さん等に関わっていた祖父の影響で、幼い頃から漠然と「本を書きたい」という夢があったという。白百合女子大学の大学院生時代には、大井町の「ひょうたん娘」としてイベントPRを務めたこともある。当時受けた取材に「将来はイギリス文学を研究したい」と答えており、今回の出版で「夢がひとつ叶いました」とほほ笑んだ。
共著は、四六判のソフトカバーで、278ページ。定価2300円(税別)。市内の各書店で注文することができる。
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