手作りかるたでルーツ伝え 漢字、方言のオリジナル
正月休み、家族でかるた遊びをする人もいるのでは。それぞれの思いを胸に、秦野でかるたを手作りしている人を紹介する。
「漢字を学ぶ喜び感じて」
東海大学前駅近くの線路沿いにある学習塾「樹の会」の塾長・小林直樹さん(60代・秦野市南矢名)は、10年ほど前から小学生の漢字学習のために、独自の漢字かるたを作っている。
この漢字かるたの大きな特徴は、取り札の表に現在使われている漢字が書いていないこと。子どもたちは札に書かれた甲骨文字などを見て、読み手の指示した字を探し出す。1枚の札には、古代の文字が時代を追って書かれており、1つの漢字の成り立ちを辿ることができる。感覚的に漢字のルーツと意味を理解できるため、子どもたちからは「漢字を覚えやすい」と好評だ。
小林さんは、「かるた遊びは学びの原点。曖昧な物の中から1つの答えを見つける喜びを子どもたちに感じて欲しい」と笑顔で語った。
故郷への誇りを込め
秦野で暮らす福島県出身者の集い、福島県人会(鈴木金作会長・50人)は2014年、設立5周年を記念して方言かるたを作った。方言を話す機会が減る中、「故郷を思い出すきっかけになれば」というのが目的だ。
1枚の札に福島の方言と標準語が裏表に印刷されている。たとえば「あがらんしょ」の裏は「中へお入りください」。福島には様々な方言があるが、会津藩の武家の精神を受け継いだ、相手を敬う表現が豊富だと鈴木会長は語る。
「上京当初は、方言をからかわれ嫌な思いもしたが、今となっては、田舎の言葉は財産です」と鈴木会長。会員らが孫とかるたで遊ぶ時間の中で、「福島を知らない家族にも、故郷を知ってもらえたら」と話す。
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