読書活動優秀実践団体として文部科学大臣表彰を受賞した「おはなしアリス」の代表を務める 高橋 弘子さん 本町在住 69歳
「ピュアな心」で年をかさね
○…本町幼稚園の図書委員会メンバーを母体に立ち上げ、以来約30年間、おはなし会などの活動を続けてきた。「9人と人数は少ないですが、結束は固いです」と話す。今は絵本の読み聞かせのほか、わらべ歌を中心としたおはなし会を新たに企画しているところだ。
○…活動を続けてきたきっかけは子育てだった。故郷の埼玉県から結婚を機に秦野へ。昔から翻訳文学が好きで、翻訳で使われる日本語の美しさに魅せられてきた。ある日、子どもと絵本を読み「これも文学の最初の形だ、と気づいたんです」。どんな絵本が良いのかを調べるうちに楽しくなり「この知識を一人でしまっているのはもったいない」と所属していた読み聞かせグループ「おはなしころりん」の中で仲間と共に勉強会を立ち上げたという。
○…今、普及に力を入れているのは児童文学。「優れた本には希望や光、そして人間がちゃんと描かれている。人生の誠実さを学ぶことができるんです」。児童文学講座の講師も務め、「面白さを広めていきたい」と口調に熱が入る。お勧めはいくつかあるが、中でもイギリスの川辺を舞台に動物たちの暮らしを描いた『たのしい川べ』は子どもの頃に何度も何度も「浴びるように」読んだ一冊。「大人になってイギリス旅行に行ったとき、まるで故郷のように感じました」と顔をほころばせる。
○…5年ほど前に夫を亡くし、残された広い自宅の庭。仲間に勧められるまま薔薇を育て始めたが、今では小さな庭園が出来上がるほどに。手をかければかけるほど美しく咲く花に幸せを感じる日々。孫に読み聞かせをしたり、仲間と一緒に児童文学のルーツを巡る旅に出かけることも。自身を指して「色んなことを良い方向にとらえる性格」と。それは母から教わった人生を楽しく生きるコツだ。多くの希望に満ちた本を読み、「年々ピュアになっているよう」と話す表情は晴れ晴れと輝いている。
|
|
|
|
|
|