子宮頸がんの予防ワクチン接種後に持続的な痛みやしびれ等の症状に苦しむ人に対し、神奈川県は医療費等の給付を決定。8月3日から受け付けを開始した。これを受け秦野市は、これまでワクチンを接種し県の給付対象者となっている約3000人の健康状態の追跡調査を実施する。調査開始は9月以降。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスというウイルスの感染が原因のがん。予防効果が期待されるとして、ワクチン接種は2010年から全国的に普及した。秦野市でも2011年から任意での接種が可能となり、2013年には法改正による努力義務化が決まり定期予防接種となった。
しかし、頭痛やしびれ、脱力感などの健康被害を訴えるケースが全国的に相次ぎ、厚生労働省は同年6月から接種の積極的な勧奨を中止。秦野市も同様の対応をした。
都道府県初の医療費給付
ワクチンと各症状の因果関係は解明されておらず、症状や発症時期などの定義はない。ワクチン接種後の相談は、県で十数人、秦野市でも数人から(ともに2015年7月31日現在)寄せられている。
神奈川県は接種後に何らかの症状を訴える人への支援として、都道府県として初めて医療費および医療手当の給付を実施する。
対象者は次の3項目全てに該当する人。【1】県内市町村が実施する予防接種を受けた人【2】接種後に原因が明らかとならない持続的な症状があり日常生活に支障を生じている人【3】接種後の症状について2015年8月3日以降に県に相談した人。
給付額は、「医療費」の自己負担分(上限なし)と、「医療手当」として通院や入院に応じて月額3万4千円〜3万6千円。給付対象は、厚生労働省のHPに掲載されている医療機関での医療に限られている。
給付対象期間は、接種後の症状に対する医療を受けた日から2016年3月31日まで。
秦野市の対応
これまで秦野市では相談者への対応として、接種した医療機関への相談を勧めてきた。その上で症状が同ワクチンの影響を受けた可能性があると考えられた場合、厚生労働省に報告。しかし市健康づくり課によると、子宮頸がんにおける同省の方針が定まっていないために、報告後は保留の状態であったという。
市内の給付対象者は2011年以降に接種した約3000人。市は9月以降、対象者の健康状態を把握するため、追跡調査を実施する。同課によると、県内で追跡調査をする市町村は少ないという。同調査を通じて給付の周知を図り、ワクチンの影響による可能性がある症状を訴える人がいた場合は県に報告する。
調査方法は、健康に関する質問用紙を郵送。ワクチンの影響による症状が考えられる回答者には、市から個別に連絡を取る場合もあるという。
同課は「数カ月後に症状が現れることもある。その場合も市の窓口へ相談を」と呼びかける。
来年度以降も同調査を実施するかは未定。同課は「厚生労働省と県の動きを見ながら対応していきたい」と話している。
問い合わせは秦野市健康づくり課親子健康担当【電話】0463・82・9604へ。
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