年頭にあたり秦野商工会議所 佐野友保会頭(68)にインタビューを行った。3期9年間の副会頭を経て、昨年10月に新会頭に就任。「生まれ育ったふるさと秦野を、ふたたび元気な街にしたい」と意気込みを語った。
―新会頭としての抱負をお聞かせください。
「自分が生まれた時よりも、最期を迎えた時に少しでも街が良くなっていれば。そのために何ができるか、という思いで何事にも取り組んできました。会頭の仕事は、68年間育ててもらった故郷への最後の奉公ですね」
―昨年は「秦野・中井スーパー元気プレミアム商品券」を販売しました。
「過去最大となる総額7億2千万円分・6万冊の商品券はおかげさまで完売し、すでに7割以上が使用されています。最終的な経済効果は事業終了後の検証を待たなければなりませんが、市内の消費喚起に一定の効果があったと思います」
―秦野市の経済状況をどう見ていますか。
「一部の大都市では緩やかながら景気回復の傾向が見られますが、周辺の地域では経済が疲弊し、人口流出や人口減にも歯止めがかかっていません。秦野市も依然として厳しい状況が続いています。工業の一部では受注が増えていると聞いていますが単価は上がっていない。また労働者の賃金が上がってこない中で、小売店も引き続き厳しい環境にあります」
―現状打開への商工会議所の役割は。
「会議所の会員には、様々な業種の企業がいます。会頭の思いつきではなく、みんなで知恵を絞りグランドデザインを作成し、着実に実行していくことが求められます。経済とはつまり『消費』です。その消費は人口と密接に関連していますが、秦野市の人口は2010年の17万人をピークに徐々に減少しています。市内の経済が上向くためには、人口が増やせるかどうかが大きなポイントです。行政の政策に任せるだけでなく、私たち経済界も一体となって連携して取り組む必要があると考えています」
―取り組みの具体的なアイデアを教えてください。
「例えば、市外から転居してくる方には不動産会社が仲介手数料を軽減したり、金融機関が住宅ローンの金利を優遇したりする。それらの取り組みを行政に支援していただく。ほかにも転入者の近所の飲食店や美容室が割引クーポンをプレゼントするなど、業種をまたいでトータルなサービスが提供できればより効果的でしょう」
―見通しはいかがでしょうか。
「秦野は美味しい水があり豊かな緑にも囲まれた、まさに山紫水明の地。さらに東京や横浜には鉄道で1時間という利便性もある。セカンドライフのシニア世代、子育て世代の若者にも魅力が伝わると確信しています」
―最後にメッセージをお願いします。
「まず夢を持ちましょうと言いたい。人口も17万人といわず18万人を目指して、それが実現すればこういう良いことがありますと。今年1年間をかけて各分野で研究し、来年の正月には大々的に打ち出したいと考えています。秦野市の皆様や会議所の会員企業、秦野市をはじめとする関係機関にご協力をいただきながら、地域商工業の発展に努めてまいります。宜しくお願い申し上げます」
佐野友保氏/1947年生まれ。市内で薬局を経営する十全堂株式会社(本社/秦野市立野台)取締役会長。
秦野版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|