千村の傾斜地に広がる、約7200平方メートルの耕作放棄地を整備した小野薫さん(60・秦野市千村在住)。黙々と草を刈り木を運び、足掛け4年。頂上付近と麓の住宅地をつなぐ約350mの道を開通させた。
開拓を始めたのは4年前。当時は、頂上付近の道路から市街地を眺めることはできなかったという。「まるでジャングルでしたよ」と話す小野さんを動かす力の源は、里山保全と近隣住民やハイカーへの思いだ。
整備した場所は、頭高山のハイキングコースとしても利用されている峠に位置する。「私が小学生の頃の40年前は、まだ畑が広がっていました」と、記憶をたどる小野さん。地主の親が行っていたという畑作。その頃は麓の住宅地から繋がる農道があり、人々が峠の奥にある部落へ行き来していたという。
しかし、月日が経つにつれ畑作は減り、農道を含む周辺の畑は耕作放棄地へと姿を変えていった。
土地の荒廃が進むと、近隣地への病害虫や鳥獣害、ゴミの不法投棄などが懸念される。そこで小野さんは、「何とかしなければ」と整備に取り掛かった。日中は鈑金塗装業を営んでいるため、作業をするのは早朝と夜。草刈り機を手に自分の背丈、あるいはそれ以上の高さがある藪の中へ入り伐採。高さ15m直径80cmの木を、ワイヤーを駆使して自力で移動したこともあった。「道が無ければ人も来ないし、畑も作れない」と、かつての農道を遊歩道として開通させた。
今月2日、ついに全ての作業が終了。頂上付近は横幅40m程左右に開かれ渋沢駅方面が一望でき、訪れた人たちの新たな休憩・展望場所になった。開通した道は麓にある集会所「十王堂憩いの家」のそばに繋がっている。これまで徒歩で15分の道のりが、3分の1程に短縮できるようになった。
小野さんは「先祖からの土地を放置している所が多く残念に思う。開墾すれば鳥獣害も減り野菜も得られるので良い事ばかり」と里山整備の重要性を口にする。伐採した木は、薪ストーブを持つ住民にあげるなど有効に活用。先に整備を終えていた頂上付近では、現在小野さんがネギなどの野菜を栽培している。
近道となった遊歩道。小野さんは「大変な作業だったが、みんなに喜んでもらえたら嬉しい。どんどん利用してもえたら」と、散歩やハイキング、遠足などでの利用を勧めている。麓の集会所にはコミュニティタクシーの停留所があり、今後、上の通路口に時刻表を掲示したいと考えている。
「人生1回だから、悔いを残したくないんだ」。小野さんは笑った。
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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