石を素材に秦野駅前の野外モニュメントなどを多数手掛ける彫刻家の西巻一彦さん(57)が、自身が患った悪性リンパ腫や、急性心筋梗塞などの闘病体験を綴った書籍を11月12日に発行した。
西巻さんが体調を崩したのが2011年。様々な検査の結果告げられたのは「悪性リンパ腫」。ガンだった。ステージ3で、すでにガンが自身の上半身、下半身に広がる中で治療が始まった。著書には病院に入院し、治療を行う過程の体の変化や当時の気持ちが詳細に書かれている。『家族で過ごしている時は、みんなの笑顔や心遣いなどで勇気付けられ、以前と変わらぬように生活を送っていた。しかし、一人、個になると同時に、頭の中は病に占領され、これから先のこと、仕事、家族のことを思うと、迷路に一人投げ出されたような精神状態であった』と当時の心境が綴られる。西巻さんは「当時の揺れ動く気持ちをいつか本にできればいいなと当時から考えていた」という。
急性心筋梗塞で心肺停止に
治療を続けて寛解状態となった西巻さんをさらなる病魔が襲った。今年5月9日の朝、急性心筋梗塞により、自宅で倒れた。朝から胸の痛みを夫人に訴えていたのだが、その記憶は今でもないという。応急・救急の知識があった息子が救急車が到着するまで心臓マッサージを続けたが、救急隊のAEDによる蘇生を2度試みるものの反応はなく、心肺停止の状態に陥った。その後人工心肺装置や人工呼吸器などにより一命を取り留めた。その後懸命なリハビリに取り組んで社会復帰を果たした。
11月12日には東海大学前駅の「ライブスタジオ ミッシェル」で、出版記念パーティが開催され、およそ90人の関係者が集まった。西巻さんは「2度にわたる病気などを点としたら、それを本という形で繋げていくという意味でタイトルを『紡ぐ』とした。これからは体調を考えながら、石と向き合い、見た人が温かい気持ちになれるようなやさしさのある作品を作り上げていきたい」と抱負を話した。本についての問い合わせは夢工房【電話】0463・82・7652へ。
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