2021年12月の中学校完全給食実施をめざす秦野市は5月28日、旧水道局庁舎跡地(曽屋)に建設予定の学校給食センター整備を、設計から建設、20年間の運営を民間事業者グループに一括発注する「公民連携方式」とする方針を発表した。3日開会の市議会定例会に関連予算案を提出した。
中学校の完全給食実施は高橋昌和市長の看板政策のひとつ。今年2月に秦野市立中学校給食基本計画案を示し、市民に意見を求めたうえで基本計画を策定し、4月には学校教育課に中学校給食担当を新設した。
2月から3月にかけて実施した意見公募では、安全な給食を求める意見や自校方式や親子方式への変更を求める声や民間委託への懸念のほか「今までどおり手作り弁当の方がいい」とする意見など34件が寄せられた。
15分の壁
主食と副食、牛乳を提供する完全給食で市は、小学校と同じ全員喫食と食器・食缶方式を採用。市の栄養士が献立作成と材料選びを担い、調理方法も管理指導するため「直営に近い学校給食が提供できる」としている。
今後は食物アレルギーへの対応や食育、日課、給食費の徴収方法など運営面の検討も進めるが、配膳と下膳を含む給食時間の確保が大きな課題となる。学習時間を確保しながら現行15分の食事時間をどう確保するかは今後、学校長らを中心に議論されることになる。
民間が資金調達
給食センターの整備の流れは、更地にした旧水道局庁舎跡地を市が事業グループに定期借地権付きで貸し付け、グループが建設した施設を市が借り受け、調理と施設の維持・管理業務を20年契約で委託する。学校給食事業でこれらを一括発注する手法は県内初という。
この手法では建設資金を民間が一時的に調達するため、市が単年度で多額の負担をしなくて済む。久保田貴学校教育課長は「20年間の割賦で建設費を支払うため市の支出が平準化できる。従来の分割発注よりも工期が短縮でき、運営を見据えた柔軟な設計と建設が可能となる」と話す。
公募に向けて5月29日に市が開いた現地説明会には21社が参加。上條秀香中学校給食担当課長は「想像以上の関心を頂いた」と好感触を得ていた。
10日に審査
市は6月補正で、41年度までの事業費の上限を69億円とする債務負担行為と、既設の本町中を除く全8校に順次、給食搬入用エレベーターを設置するための第1期設計費2千万円を盛り込んだ補正予算案を議会に提出した。高橋市長は「実質的な事業費の上限は60億円で9億円は経営リスクへの対応分」と説明した。
関連議案は6月10日午前9時30分からの文教福祉常任委員会と、その後の予算決算常任委員会分科会で付託審査され、21日の本会議で採決される。
市は関連予算案が議決されれば7月下旬にも受注者の募集を始め、年内の契約と整備着手をめざすことにしている。
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