市民有志による「丹沢の地ビールプロジェクト」が、7月10日に秦野の水と落花生を使った地ビールの製造を行った。新たに地元の名物を創出し地域活性につなげることを目的にしたもので、初回生産分は8月11日のトレイルランニングイベント「ワイルドトレイル丹沢」でのお披露目を予定している。
同プロジェクトは、山屋食品工業(株)(山本哲史代表取締役)が中心となり行っている。登山客などを対象にしたカフェを営み自身もトレイルランで山を楽しむ山本さんが、客や仲間から「お土産がない」「山を下りた時にビールを飲めるところが欲しい」という声を聞いたのがきっかけだった。
市の調査によると、表丹沢の昨年の年間登山者数は推計約66万人。西の登山口である大倉側でも19万人近くが訪れている。山本さんが大倉登山口でアンケートを行ったところ同様の意見が多く寄せられ、友人の桴谷(いかたに)泰之さんと2人で「これだけの登山客を逃すのはもったいない。何かアウトドアに関する仕掛けができないか」と動き出した。
そこで、他県で人気だというクラフトビールの事例から、地ビール製造を3月頃から検討。過去に参加した企画でブルワリー(醸造所)を知っていた桴谷さんが、店とのつなぎ役を務めた。
8月11日お披露目
ビール造りを行ったのは、26K(ニーロクケー)ブルワリー(東京都武蔵野市/見木(けんもく)久夫代表取締役)。地域活性化という趣旨に賛同した見木さんが食材選定で秦野を訪れたほか、本来は全量買取りのオリジナルビールを予算に合わせ調整するなど協力している。
吟味の結果、材料は他のビールにないインパクトがある地元の落花生を選択。これには「特産品を使った秦野ならではの名物を生み出し、減少し続ける生産者を増やす起爆剤にしたい」という山本さんたちの思いもある。試作段階では、落花生のほのかな香りとビールの相性は良かったそうだ。
仕込みの日、山本さんと桴谷さんは秦野産落花生と竜神の泉で汲んだ水を同店に持ち込み、職人指導のもと自らの手でビール造りを行った。行程の中で秦野の水を投入し、砕いた乾煎り落花生を入れ香り付けをしている。
商品名は現在思案中で、完成は7月末を予定。初回は3樽分を作り、8月11日に丹沢で実施するワイルドトレイル丹沢参加者への販売を兼ねたお披露目が行われる。
イベントでの反応を見ながら配合などを微調整し、正式な販売日を検討する。今後は別フレーバーのビール製造も視野に入れている。
「軌道に乗れば訪れた人が広告塔になり、秦野の知名度向上に繋がる。ゆくゆくは各店舗独自のビール開発や障害者雇用創出など裾野が広がるかも。最終的には秦野にブルワリーを作りたい。まずは販売する協力店舗を募るところから」と、山本さんは展望を語った。
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