きっかけは自宅ベランダのスズメ
秦野市南が丘在住の大川内潔さん(73)が、全国の山や海を訪ね撮影した野鳥の写真が500種類に到達した。
佐賀県出身の大川内さん。高校卒業後上京し、夜学に通いながら勉強を続け、日鍛バルブで主に船舶のエンジンのバルブの設計などに携わってきた。関連会社の社長などを経て、63歳の時に退職し現役を引退。しばらくは悠々自適にゴルフに親しみ、暮らしていたという。そんな日々の中、ふと目にしたベランダのスズメ。「すごく綺麗に感じて。それが野鳥を追いかけ始めたきっかけ」と、カメラに目覚めたときの心境を思い起こして話す。
3年がかりで撮影に成功した野鳥も
近隣の撮影スポットなら、ほぼ毎日撮影に。さらに行ける場所ならどこまででも愛車のハンドルを握り、ドライブしていく。撮影のため鳥取まで一人で出向いて、日帰りで帰ってきたことまであるという。「写真は時間がかかる。でもそれがいい」と笑う大川内さん。
北は北海道から、本土から1000Kmも離れ、丸一日以上船に揺られ到着する小笠原まで、一瞬を切り取るその情熱は、尽きない。
真冬の北海道では、目当ての野鳥が現れるまで車中で待ったとも。「エンジンを掛けっぱなしにはできないので止めていると、ウインドウの内側に霜が降りてくるほどの寒さになる」という。
相手が自然なので、天候などの条件にも左右される。オジロワシの写真はカメラに収めるまで3年もかかったという。
そのほかにも小笠原では、滅多に見ることのできない「シロガシラカツオドリ」の撮影に成功したり、10年以上の歳月をかけて500種もの写真を積み重ねてきた。
「体が動くうちは撮り続けたい」
そんな写真ライフを満喫している大川内さん。撮影に出向く際にはカメラや大型の望遠レンズ、三脚など、機材の重量は20kgにも及ぶという。
そのため足腰が弱らぬようにと、毎日のウオーキングを欠かさない。それでも昨年暮れには撮影地に向かう途中の草で滑って転倒、なんと肋骨と腕を骨折してしまう。
現在はすっかり良くなり再び撮影の日々。「体が動くうちは撮影を続けたい」と、愛用のカメラを手に笑顔。「写真は飽きがこない。次は何があるか、何に出会えるか、そうしたことがとても楽しみ。簡単に撮れないのが野鳥撮影の魅力です」と話した。
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