秦野市立西小学校、西中学校出身で、現在は川崎市にある「株式会社丸紘」に勤務する塗装技能者・綾部淳さんが先頃、優れた技術や技能を持ち、後継者や若手の指導に熱心な現役の職人に贈る称号「かわさきマイスター」の今年度認定者に選出された。
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「かわさきマイスター」の認定は川崎市が1997年度から行っているもの。「市内最高峰の匠」として、さまざまな職人を選出しており、綾部さんは市の厳しい審査を見事にクリア。今年度、川崎市全体でもわずか5人という狭き門をくぐり抜け「塗装技能」の分野での認定となった。今年度は綾部さんのほかに「タイル・煉瓦工事」「写真師」「金型製作」「製缶・溶接・組立」の分野の職人が認定を受けている。
「綾部にしか頼めない」
現在48歳で伊勢原市在住の綾部さんは、幼少期を過ごした風光明媚な丹沢山地などで養った美的センスを武器に、22歳の時から本格的に建築塗装の仕事に従事。「テクスチャーペイント」と呼ばれる、様々な質感や情景を表現する技能を早くから身に付けると共に、ヨーロッパの塗装材料や技術を積極的に採用。当時、日本にはなかった特殊な塗装技術で頭角を現し数々の現場で活躍。個人事業主として独立後も、その優れた仕事ぶりが高い評価を受け、川崎市で古くから西洋左官等を手掛ける株式会社丸紘に入社した。現在は寺院やホテル、商業ビルなどの現場で持ち前の技術や発想力にさらに磨きをかけている。
綾部さんの仕事の特長は「施主や設計者が抱くイメージを材料や技法に対する柔軟な発想で再現できる」という点。例えば海外のクライアントから「こんな感じで」と、何の説明もなく無造作に送られてきたサンプルだけを頼りに、材質や手触り、風合いまでもまったく遜色なく再現するその技術は「丸紘の綾部にしか頼めない仕事」と言わしめる程。さらにこうした高い技術を広めるべく、若手技能者の指導役も務めるほか、小中学校の職業体験なども受け入れるなど業界発展の一翼も担っている。匠の認定に際しては「周囲のサポートの賜物。感謝しています」と喜びを話し「これからも多くの人に知ってもらえるよう、仕事の幅を拡げていければ」と、今後の抱負を語っている。
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