大塚隆一郎さん(67)と満津子さん(75)夫妻=秦野市南矢名在住=がこのほど『中世修道院の小さな庭から 修道士ストラボが育てたハーブ』を出版した。9世紀初頭の修道士・詩人のヴァラフリド・ストラボが綴ったハーブ詩『Hortulus(ホルチュルス/小さな庭)』を初めて監訳したものとなっている。
「ずっとこの詩を訳してみたいと思っていたんです」と満津子さんは話す。もともとハーブに興味があり、教室などにも通っていた満津子さん。1997年に上智大学の聴講生として授業を受けていた時にストラボの詩を知り、2年かかって原著を手に入れた。原著はラテン語を英訳したもので、英語に長けていた隆一郎さんの手を借りて詩の翻訳を開始。そうして関わるうちに隆一郎さんも園芸療法に興味を持ち、隆一郎さんの50歳を機に、2人でアメリカに渡って語学や西洋薬草学などを学んだという。
満津子さんは詩を訳す上で、ストラボの歴史背景を知るため、ドイツへ単独取材にも出かけた。「原著が英訳のものなので、元の意味を知るためにラテン語も勉強した。ストラボに対する理解がまだまだ足りないとは思いますが、一つの区切りとして」と2008年に日本へ戻り、本格的に執筆を開始。23篇の詩のほか、16世紀の本から取ったハーブのイラストや、ストラボが晩年を過ごした修道院の解説などを第1部としてまとめた。また、第2部では隆一郎さんが薬草治療の歴史や効用比較表を執筆。ストラボの時代と現代では薬草名が違うものもあり、検証に苦労したという。
「ストラボの詩訳をライフワークにしたい」と満津子さん。隆一郎さんは「ハーブの他の翻訳もしたい」と今後の抱負を話す。同書は全国書店で取扱中。B5判110ページ、新潮社図書編集室(定価1200円税別)。
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