秦野市曽屋の民家の2階に、関口妙子さん(71)・石井礼子さん(69)姉妹が営む「ばあば工房」がある。てきぱきと明るい女性たちが、収穫した夏ミカンやハッサクの砂糖漬け、トマトやキウイ等のジャム、大根の生漬け等を製造し、はだのじばさんず等へ卸している。
2006年、定年退職を機に2人を含めた同年代の4組の夫婦が集まり、新規就農に挑んだ。市が企画する「はだの市民農業塾」農産加工セミナーコースの修了生としての起業は第一号だったという。「旦那さんたちが畑をして、私たちが加工をして。泊まり込みで作業できるよう場所が必要ね」。2人の実家の物置を改装し、第二の人生の夢が詰まった工房を作った。関口さんは「あの頃はまだ主人たちが元気で流しや調理台を作ってくれたの」と懐かしむ。
12年が経ち、介護に追われたり、亡くなったりして、今は手伝いの人も含め4〜5人の女性のみで活動する。石井さんの夫の保さんは2014年に8年の闘病を経て他界。「主人が亡くなったあと、工房の皆が顔を見に来てくれて、本当に支えられた」。そう語る石井さんに、メンバーの鈴木えり子さん(68)は「いつも元気をもらうのはこっちよ」と微笑みかける。
2月25日、工房には慣れた手つきでハッサクの皮をむきながら、楽しそうに話に花を咲かせる女性たちの姿があった。同工房の「はっさくピール」は”ばあばたち”の人生のようにほろ苦く、甘い。「先々まで仲良く続けていけたら」と石井さんは笑顔で前を向く。
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