鎌倉版【1月1日(水)号】
(上段左から)橋本玄さん、池田大和さん、松山亮翔さん(下段左から)荒井志穂さん、原澤幸希さん、浅川花和さん

「まちづくり」若者なに思う? 本紙企画 10〜20代座談会

 一人一人の個を尊重し、さまざまな価値観を共有する現代。多様性の時代が叫ばれる中、鎌倉の未来について若者たちはなにを思うのか。「まちづくり」をテーマに、市内在住の中学生、高校生、大学生の6人に集まってもらい、本紙企画の座談会(12月9日・御成町)を開いた。

 座談会の参加者たちは地域活動にも励む。学生の池田大和さん(20)と高校生の松山亮翔(あきと)さん(16)は、およそ130人が在籍する鎌倉の「学生団体ニューコロンブス」メンバー。若者と地域のつながりを醸成しようと、プロジェクトを立ち上げたり、イベントに参加したり。今回は、地域コミュニティーや観光を題材に挙げた。

 大学生・橋本玄(はるか)さん(19)は、中学生の頃に「防災普及学生団体Genkai(ゲンカイ)」を仲間と結成し、現在は60人規模で防災強化に力を注ぐ。1年半前、「高校生ミュージカルAqua(アクア)」を同級生と旗揚げした浅川花和(かより)さん(18)は、部活動のあり方について言及。

 中学生は2人。荒井志穂さん(15)は、市内二階堂で昨年11月にオープンした中高生の居場所「COCORUかまくら」の運営メンバーを務める。一方の原澤幸希さん(14)は、環境問題に思いを巡らす。原澤さんが小学生で提案したのを機に、学校給食の牛乳用ストローが、プラスチック製から環境負荷を抑える生分解性バイオポリマー製に。そのストローを使い、西鎌倉での土壌分解実験から発見された微生物は「ニシカマエンシス」と命名された。

 鎌倉がこうなればいいのに-。アイデアが飛び交った。

時には“不便さ”必要

 --給食のストローについては、原澤さんの問題提起によって社会が変わりました。

 原澤 鎌倉の給食では1日1万本のストローを毎日捨てていて、私が3年間かけて削減した本数と同じでした。「大人の力を貸してください」と発表すると、大学との研究につながり、小中学校のストローがプラスチック製から生分解性のものに変わりました。ただ、ストローが入っている袋に今もプラスチックが使われていて、そこも変えるとか、包装をなくすとかしてもいいのかなと思います。

 荒井 学校のことで言うと、講演会をしてほしいです。専門家など外部の方が来て、例えば睡眠や人生のこととか。前を向いて生きていけるようになると思います。あとは国際交流。国際って言うと英語圏を想像しがちですが、韓国や中国などいろんな国の人が来てくれたら、他の文化に親しめるのに。

 浅川 私は学生が活躍できる場がもっとあったらいいなと。働き方改革で教育現場が変わる中、部活の数や活動できる時間が減っています。そうなると、自分はこんな部活がしたいのに、もっと練習したいのにという意欲があっても可能性が失われてしまいます。それで私は、高校生ミュージカルの地域部活を立ち上げました。企業や地域の方に協力してもらっています。マイナーなものでも地域だと活動の幅が広がる。中高生が混じった地域部活というのも、新しい形で素敵だなと思う。

 橋本 中学生の時に防災団体を立ち上げて、それも地域部活の例。地域とのつながりは、災害時に欠かせません。能登の避難所を訪れた時、支援物資を配る地元の高校生が「〇〇さん、昨日なかった歯ブラシがあるよ」って渡していて。それって自分は鎌倉でできない。そもそも名前が分からず、何を求めているかはもっと分からない。能登は田舎で、家も離れている。不便ゆえに、普段から地域で助け合っているからこそあのように手渡せたのかなと。不便さが必要。回覧板なんかは無理やりデジタル化せず、残してほしい。顔の見える網を張ることが、災害対策になります。

 池田 地域コミュニティーを形成する上で、多世代交流できる場所があるといい。学生の居場所も兼ねた銭湯とか。お風呂は誰もが使うから、そこへ行くといろんな世代の人たちが話せるような。あと、同じ地域の小学生と中学生など学校の垣根を越えた交流プログラムがあったらと思います。登下校時など週に1回ぐらい同じ時間を過ごす。その子の家族の顔も見えたりして、非常時に求められる横のつながりが広がります。

 松山 僕は観光について考えています。鎌倉でよく聞くオーバーツーリズム(観光客増加により住民生活に影響を及ぼす観光公害)。バス通学をしているんですが、自宅のある浄明寺方面のバスが観光客でいっぱいで、次まで30分待つことも。市内には、道が混んでいて救急車両が通れない場所もある。問題を解決するために、午前鎌倉→午後江の島の観光ルートを逆回りにしたり、名所にイルミネーションを施して遅い時間に来てもらったりして観光客を分散できればいいと思います。

 --2025年、鎌倉では春に市議会議員選挙、秋に市長選挙が予定されます。被選挙権のない皆さんが求めることは?

 荒井 大和市のシリウス(文化創造拠点)のような施設があるといいです。大きな図書館で、勉強したり、交流したり世代関係なく過ごせる場所。鎌倉は歴史があるから、高齢者の方との関わりも深め、授業では聞けないようなことを体験談も含めて聞きたいです。

 松山 「知る」場所や機会がもっとあるといい。僕は高校生になるまで鎌倉の良さを感じられていなかった。映画館もないし(笑)。でも、先輩を通じて学生団体に入り活動することで、鎌倉を好きになれました。そういうきっかけが、もっと作れたらいいのかなと思います。

 浅川 家、学校に次ぐサードプレイス(第3の居場所)がほしい。孤独を感じる時とかに行けて、そこには仲間もいて。あとは行政のオープン化。若者の希望や要望と、行政を結合する仕組みがあるといい。今は市役所職員や議員にはなれないけれど、若者ならではの視点を伝えることはできます。

 原澤 今の若者は古い物をレトロと捉えるように、マイナスイメージを、SNSを通じて一気にプラスのものにして広めます。環境や防災の問題も、楽しさやかっこ良さ、簡単に触れ合えるものという風に伝えていく。地域のこともみんなで考えられればいいなって思います。

 橋本 選挙公約に子育て支援はよく出てくるけれど、僕ら世代に向けた内容は出てこない。学生が意思表明できる場があるといい。意思表明するために、このまちがどんなまちかを知ることにもつながっていきます。

 池田 市の職員や議員の方たちと、公民館とかでご飯を食べながらざっくばらんに話せるといいですね。地元の人が集まる場があり、つながりもあってみんな仲がいい。そんなまちになってほしいです。

インタビューに応じる松尾市長

鎌倉の魅力、再発見の1年に 新春市長インタビュー

 2025年の年頭企画として、本紙では松尾崇市長にインタビューを行った。鎌倉市内では今年4月から、燃やすごみを家の前で収集する戸別収集を一部地区でスタート。松尾市長は、「家の前にごみを出すことで分別意識をより高め、さらなる減量・資源化につなげていきたい」と話す。

 --戸別収集はどのように進めていきますか。

 「地域のクリーンステーションで生じているさまざまな課題の解決とごみを減量することが目的で、今年4月から市内の一部地区、来年4月から市内全地域で始めます。収集員による事前収集シミュレーションを行い、円滑な戸別収集の開始に備えています」

 --新しい収集方法なので、戸惑いや混乱が生じることもあるのでは。

 「戸別収集が始まった後も、実施上の課題を整理し、柔軟に対応しながら進めていきたいと考えています。丁寧に対応する体制で臨んでいますので、不安な方は市役所へ気軽にご連絡ください」

 --鎌倉市は今年、東アジア文化都市に選定されています。

 「日本、中国、韓国の3カ国から文化芸術による発展を目指す都市が選定され、日本からは鎌倉市が選ばれました。5月の開幕式を機に、お互いの都市で交流を深めながら、東アジアの多様な文化を世界に発信することを目指します。鎌倉市では、次の世代に継承すべき生活文化に光を当てながら魅力を発信していきます」

 --市民にもたらされる効果は?

 「市民の皆さんには、鎌倉の魅力や価値に今一度気付いてもらえるような1年にしたいと思っています。鎌倉には魅力的な祭りや伝統芸能がたくさんあるので、多くの行事やイベントに参加して触れてほしいです」

=1月10日号に続く

元日から 江ノ電の干支入場券

 江ノ島電鉄(株)は1月1日に干支入場券を午前7時から鎌倉駅と江ノ島駅で、11時から藤沢駅で発売。千セット限定。3枚組550円。通販あり。

フラセンで新春企画

 大船フラワーセンターは1月4日(土)から開園し、予約不要の新春イベントを開催する。

 4日と5日は午前9時から無料のくじ引き(数量限定)、5日午前11時と午後2時からは和太鼓などの演奏、6日9時からはカレンダー配布(先着50人)、7日9時30分からは七草がゆを配布(先着50食)。盆栽展や干支の植物展も。(問)【電話】0467・46・2188

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6日 山崎で出初式

 鎌倉市消防出初式が1月6日(月)、山崎浄化センタースポーツ等広場で開催される。午前10時開式。一斉放水やはしご乗り、消防車展示等あり。

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