JR東日本が3月15日から南武線の「ワンマン運転」を実施する。今後は運転士が車掌を兼務し、これまで車掌が行っていた駅側からの「発車メロディー」のボタン操作ができなくなることから、稲田堤駅など市内7つの駅で親しまれている「ご当地メロディー」が聞けなくなるという。
南武線はこれまで、車両の先頭に運転士、最後尾に車掌が乗務する「ツーマン運転」を行ってきた。だがJR東日本では近年の人手不足などを背景に、より効率的な輸送を図るため、運転士がドアの開閉や発車メロディーの操作、車内放送など全てを担当する「ワンマン運転」を導入。今後も首都圏の主要な線区で順次、採り入れる方針を打ち出している。
これに伴い南武線では車両最後尾のホームドア内側に備え付けられた駅側からの発車メロディーの放送ボタンを操作できなくなる。ワンマン運転開始後は車両側面にあるスピーカーから乗車を促す同一のメロディーを全駅で流す予定だという。
地域ゆかりの曲
川崎市内の南武線沿線には、発車メロディーに地域ゆかりの曲を採用している駅が7つあり、それぞれ地元の魅力発信の一翼を担ってきた。
稲田堤駅では、作曲家の古賀政男が稲田堤の多摩川河川敷を訪れた際に着想を得て作られたという楽曲『丘を越えて』が使用されている。この曲の採用をめぐっては、同駅駅舎の橋上化にあたり地元の菅町会と稲田堤振興会、そして市がJR東日本に要望し、2023年8月6日の供用開始と合わせてメロディー変更が実現した経緯がある。
その音源には多摩高校ギターアンサンブル部の生演奏を収録したものが使われており、菅町会役員が感謝状を届けに同校を訪れるなど地域の交流も生み出していた。菅町会の濃沼健夫会長は「電車を乗り降りされる多くの皆さまの気持ちを和ませていただいたが、1年半という短期間で終了してしまうことに悲しい気持ちで一杯」と廃止を惜しみ、「JR東日本の方針なので仕方ないが、デジタル化の時代で運転士の無線ボタン操作一つで駅メロは流せるのに時代逆行の感じがしないでもない」と心中を明かす。このほか多摩区内では、「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」が近隣にある登戸駅で『ドラえもんのうた』『きてよパーマン』『ぼくドラえもん』、宿河原駅で『夢をかなえてドラえもん』『すいみん不足』と、藤子・F・不二雄氏の作品の曲が使われている。
JR東日本の広報担当者は「(今後)沿線地域の活性化につながるようなさまざまな取り組みを行っていければ」と話し、利用客や関係者らに理解を求めた。
ほか市内でご当地メロディーが使われているのは川崎駅(川崎市歌)、武蔵小杉駅(ナンバーワン野郎!)、武蔵中原駅(川崎フロンターレ応援歌2曲)、武蔵溝ノ口駅(Jupiter)。
![]() 菅町会役員らに演奏を披露する多摩高生(2023年9月)
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