多摩区・麻生区版【10月25日(金)号】
自作の塗り絵を持つ生徒と玉置署長(後列右)、顧問の小野友三教諭(同左)

麻生警察署 特殊詐欺 塗り絵で防止 桐光学園の美術部が作画

 特殊詐欺被害を防ごうと麻生警察署は、啓発のための塗り絵を初めて配布する。作成に桐光学園(麻生区)美術部漫画研究班の生徒が協力した。1〜2千部が巡回連絡や地域包括支援センターなどで順次配られる予定。

 管内で例年より特殊詐欺被害が増加していることを受け、新たな啓発方法を模索していた同署。文字情報以外に芸術的な側面を取り入れることで、より感覚的に意識してほしいと、初めて塗り絵の作成を決定した。担当者は「高齢者の方は在宅時間も長い。楽しみながら気付きを得てほしい」と期待を寄せる。

 一方、同部の漫画研究班は全国の高校生を対象に開催される「まんが甲子園」に何度も出場している強豪校。このほど同署からのオファーを受け協力することになった。

「絵で役に立ちたい」

 色を塗りやすいよう、普段のイラストより輪郭を太くするなど工夫を凝らしながら、部員11人が1作品ずつ制作。増加している詐欺の手法などを調べ、おのおのが関心を抱いた題材を図案化したという。部員は「被害に遭うのは、自分たちの祖父母と同じ立場の方たち。やりがいを感じた」と真剣な表情を見せた。

 10月16日には同署で原画の贈呈式を実施。部長の山崎桃花さん(高校1年)は「これ以上、高齢者の方が被害に遭わないよう自分たちの塗り絵が役に立てば」と思いを語り、玉置敏也署長へイラストを手渡した。玉置署長は「高齢者がお孫さんたちと一緒に楽しめる機会にもつながる」と感謝を述べた。

 塗り絵は順次1〜2千部が、巡回連絡や地域包括支援センターなど高齢者向け施設への配架などで配られる。民間企業の協力により、宅配弁当の配達時に手渡されるケースもあるという。

牛乳パックで作ったカラフルなかごを見せる中田さん

多摩区栗谷中田さん 手作りかごで笑顔届け ハロウィーンの恒例に

 多摩区栗谷の錦ヶ丘こども文化センターで10月12日に行われた恒例行事「こ文deハロウィン」。集まった約100人の子どもたちは仮装姿で周辺を巡り菓子を集めた。受け取った菓子を入れるためのかごは、近隣に住む中田フミさん(88)が一つ一つ手作りしたものだった。

 中田さんは80歳まで都内で調理業務をして働いていた。仕事に区切りを付けると「時間が空いてしまって、なんだか物足りなくて」。同センターと同じ建物にある「老人いこいの家」にほぼ毎日通うようになった。手先の器用な近所の人から教わった折り紙。その後、牛乳パックを組み立て、折り紙を貼ったかごを手作りするように。「だんだんと作る数が多くなって。最初は周りの人に配っていた」と中田さん。ハロウィーン行事で使用されるようになったのは約5年前。毎年春頃から約100個を作った。「コツコツと一つずつ仕上げることが楽しくて。生きがいになった」

 作ったかごを持った子どもたちがわくわくした表情で菓子を受け取る姿を見たことも、続けてこられた理由だった。「手が痛いときもあったけど。笑顔を見るのが楽しみでね」。そんな中田さんも高齢であることを踏まえ、ハロウィーンのかご作りは今年で区切りをつける。「周りと協力しながら、少しは作ってもいいかな」と笑った。

秀でた技術で今年度の「刀剣研ぎ」日本一の座に就いた 倉田 竜太郎さん 高津区在住 48歳

「研鑽の日々」これからも

 ○…日本刀の研磨を生業としている「刀剣研ぎ師」として2020年4月、溝口の自宅一室を改装し「倉田日本刀研磨工房」を開業。全国の日本刀コレクターなどから寄せられる「研ぎの依頼」に応じ、文字通り「研鑽の日々」を過ごす。

 ○…その技術の特徴を端的に、と尋ねると「基本に忠実、ですかね」。一般的に日本刀を鑑賞する際のポイントとして「刃文(はもん)」の美しさが良く知られているが、それと同等に「全体の調和を意識した『研ぎ』」についても追求する。結果、先頃審査が行われた現代刀職展の刀剣研磨・鎬造の部において最高賞となる文部科学大臣賞を受賞。今年度「刀剣研ぎにおける日本一の技術者」として認められた。

 ○…父親は、日本屈指のアクション俳優としてTVドラマ「Gメン75」などにも出演する倉田保昭氏。武道家としても名を馳せる父の背中を追うように自らも空手の世界に飛び込み、全空連の公認三段の力量を誇る。かつては都内で道場運営も手掛け、武道に興味関心を抱く中で、座った姿勢から素早く刀を抜いて敵をきり倒す「居合い」という技に魅せられたのが、日本刀と出逢う契機になったのだとか。その後、2013年からは刀研ぎ師の師匠に弟子入りして技術を磨き、独立への道を切り拓いてきた。今回の最高賞受賞は大きな転機になりつつあり「少しだけ仕事の依頼が増えましたね」と嬉しそうな笑顔で喜びを語る。

 ○…一見、順風満帆な歩みのようにも映るが、一時は父と同じ俳優を志したり、レコーディングの技術者の仕事に就いたりと紆余曲折のキャリアを重ねた経験も。日本一と評された研ぎの技術を支える「全体の調和」の裏側には、こうした稀有な人生模様が、多分に影響しているに違いない。

忍者姿で楽しい「修行」 児童30人が交流深め

 多摩区宿河原の川崎市緑化センターで10月14日、忍者姿で修行するイベントがあった。

 遊びを通じて、子どもの心と体を育てようと、枡形と長尾のこども文化センターが初めて企画。忍者のような黒い服装で集まった約30人の児童は「分身の術」と称して反復横跳びをしたり的に向かい手裏剣を投げたりと集中して鍛錬を重ねた=写真。おにぎりを食べた後はチームごとに分かれてゲームを行い、交流を深めた。参加した児童は「最初は緊張したけれど段々と仲良くなれた。楽しい修行ができた」と話した。長尾こ文の成田佳奈館長は「忍者になりきって、思い切り遊んでもらえた」と述べた。

昼夜逆転 食育で解決 向ヶ丘遊園駅至近で講座

 小学生から18歳の保護者向け「昼夜逆転生活の食育講座」が11月17日(日)、GINZA FOREST(多摩区登戸)で開かれる。午後1時から2時30分。受講費3千円。

 自身の子の不登校経験を機に、不登校家庭向けの食事講座や相談会を行っている現役栄養士の「めいめい」さんが講師を務め、子どもへの接し方や栄養、食事などのアドバイスを行う。申込みは11月15日(金)までに二次元コードから。(問)【メール】meymeymey1974@gmail.com

㊤視線を駆使して学ぶ朝比奈さん㊦成田さん

障害者の学び支える 「訪問カレッジ」文化祭

 重度障害者が特別支援学校などを卒業した後に途絶えがちな「学び」を支援する取り組みが、全国に広がっている。その取り組みの現状と学びの成果を披露する「学びの実り文化祭」が10月26日(土)と27日(日)に新百合トウェンティワンホール(麻生区)で開かれる。

 任意団体「重度障害者・生涯学習ネットワーク」が主催する第3回「訪問カレッジ 学びの実り文化祭」。26日には県立麻生支援学校高等部の卒業生による「アンサンブル麻生OBOG会」が演奏を披露するほか、県内で活動する障害者ダンスサークルのパフォーマンスなどがある。27日は文部科学省の障害者学習支援推進室長の基調講演などがある(要予約)。

 医療的なケアが必要なため通学が難しい障害者は、特別支援学校の訪問教育で学びをつないでいる。卒業後は社会との接点が希薄になりがちなため、退職教員らが訪問して学習を支援する「訪問カレッジ」活動を進めている。

もっと学びたい

 県内では麻生支援学校の元校長で、NPO法人「フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会」理事長の成田裕子さん(69)が中心となり、2019年に「訪問カレッジ enjoyかながわ」を始めた。現在、川崎市内の8人を含む計22人の「カレッジ生」が教育を受けている。

 発端は6年前、同校高等部に在校した朝比奈祐輔さん(24)の「学びたい」という思いだった。

 朝比奈さんは「脊髄性筋委縮症」という神経疾患のため、小学校低学年から麻生支援の訪問教育で学んだ。全身の筋力がないが、視線を動かし表情で意思表示をする。教師の話に特に興味を抱くと瞳をくるくる動かし「もっと」とアピールする。そんな朝比奈さんの探究心は、校内でも有名だった。

 退職から数年後。成田さんのもとに、後輩教員から「朝比奈さんが卒業後も教育を受けたがっている。力になってもらえないか」と相談が寄せられた。入学直後から朝比奈さんを見守った成田さんの心が動いた。「彼の学びを絶やしてはならない」。卒業後の学びを支える活動が始まった。

 「文化祭」は、同様の活動を各地で続ける17の団体で連携し、学習発表と情報交換の場として22年に始めた。過去2回は横浜市で開催したが、3回目の今回は麻生支援学校の地元・川崎市で初めての開催となった。

 成田さんは「気楽に参加して頂き、障害者の『学び』への切実な思いと、支援活動について知ってもらえたらうれしい」と話している。

 問い合わせはフュージョンコムかながわ【電話】045・311・8742、【メール】jimukyoku@kenshikyou.jp。

本堂で記念撮影

飯室松寿会 半世紀の節目を祝う 多摩区の安立寺で式典

 多摩区老人クラブ連合会に加盟する「飯室松寿会」(井上文雄会長)の創立50周年を祝して、記念式典が10月1日に多摩区東生田にある安立寺で行われた。

 当日は会員や関係者ら約50人が参加。冒頭、あいさつに立った井上会長は、発足からこの日に至るまで同会に携わってきた先人たち、日ごろから会員らの活動を支えている同寺や来賓者、115人からなる会の運営に尽力している役員らに対し感謝の言葉を贈った。

 多摩区老連の楠静子会長、飯室谷町会の加藤寛之会長、安立寺の木田隆正住職が祝辞を述べた後、会に17人いる90歳以上の長寿会員のうち、この日の式典に参加した10人に対し、井上会長から一人一人の紹介を添えて感謝の花束が贈られた。同会のコーラスグループ「緑陰コーラス」は節目を祝う歌唱を披露した。

 同会は、1974年に会員20人で発足。コロナ禍には室外へ活動の分野を広げるなど工夫を凝らして、会員の増強につなげてきた。

藍染めのエプロンを身に着ける多摩SDCのメンバー

緑化フェア開幕 民家園テントでお出迎え 多摩SDCが協力

 市制100周年を象徴する事業として位置づけられている「全国都市緑化かわさきフェア」が10月19日、開幕した。

 生田緑地は市内3つのコア会場の一つに選ばれ、11月17日(日)まで各種体験、展示、ステージなどが行われている。

 「会場への最初のおもてなし」ポイントとして、一般社団法人多摩区ソーシャルデザインセンター(多摩SDC)は、向ヶ丘遊園駅南口にフェアの周知や案内を行うインフォメーションブースを設置した。特徴的なのは、緑地内にある日本民家園を模した外観のテント。「生田緑地らしさを伝えられるようこだわった」と、多摩SDCの学生副代表を務め、企画を主導した原島実来さん(大学4年)は語る。期間中は午前9時30分から午後3時までスタッフが常駐。パンフレットと一緒に、フェアのために作られた「ばらサイダー」やかわさき名産品にも選ばれた「TAROの夢最中」などを無料配布する。

 同フェアは緑豊かな都市づくりの普及啓発事業として国交省が提唱している花と緑の祭典。1983年から毎年各地で開催され、41回目。春会期は来年3月22日(土)から4月13日(日)に行われる。

登戸を知って盛り上げる 10月27日にイベント

 「ハロウィンだよ!登栄会×登戸まちなか遊縁地」と銘打ったイベントが10月27日(日)に開催される。川崎市市制100周年記念事業の一つ。午前11時から午後5時。小雨決行、荒天中止。

 登戸駅と向ヶ丘遊園駅周辺の区役所通り登栄会商店街と登戸2号線で、多様な企画が行われる。「知りたいな、登戸のまち」をテーマに、地域を巡るスタンプラリーも。問い合わせは登戸区画整理事務所【メール】50nobori@city.kawasaki.jp。

ごみを拾い集める会員

「美しい新百合ヶ丘に」 麻生RCが清掃活動

 川崎麻生ロータリークラブ(RC)は10月11日、社会奉仕活動の一環で、恒例の新百合ヶ丘駅周辺の清掃を行った。当日は同クラブ会員9人が参加。たばこの吸い殻や缶などを拾い集めた。

 同RC社会奉仕委員長の志村幸男さんは「美しい新百合ヶ丘のまちを継続できるよう、貢献していきたい」と語った。

麻生区の魅力絵画で表現 29作品が受賞

 麻生区と新百合ヶ丘エリアマネジメントコンソーシアムが主催した「麻生区の『推し!』絵画展」の表彰式が10月12日、新百合トウェンティワンホールで行われた。

 川崎市市制100周年事業の一環として、区内の好きなところを描いた作品を募集した。区内で活動する29の団体や企業が協力し団体名を冠した賞を設定。133点が集まり29作品が受賞作品に選ばれた。

 13日に行われたあさお区民まつり前日のプレイベント内で行われた表彰式では、山本奈保美麻生区長が「麻生区を知って、関わって、好きになるような企画。どの作品も麻生区の魅力が伝わってきて選ぶのが大変だった。幅広い年齢の方が独自の目線で描いてくれた」と総評。黒川谷ツ公園の自然やしんゆりフェスティバル・マルシェの様子など多様な「推し」ポイントが描かれたそれぞれの作品が大きくモニターに映し出され、作者のコメントや選定理由が読み上げられた=写真。賞状と共に各団体の特色がある副賞が手渡されると、会場に集まった人たちから拍手が送られた。

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福祉考え楽しむ一日 登戸でフェス

 「のぼりと福祉フェス」が11月3日(日)、多摩区の丸山幼稚園(登戸)で開催される。午前10時から午後3時。登戸地区社会福祉協議会が「地域でみんなで福祉を考えよう」という思いで企画する。

 バザーやフリーマーケットのほか、車椅子や白杖の体験など、企画が目白押し。午前10時30分ごろから正午には、津軽三味線や尺八、太鼓演奏などもある。(問)多摩区社会福祉協議会【電話】044・935・5500

返礼品として出品中のバス

ふるさと納税 返礼品に「市バス」 市交通局「目玉商品に」

 川崎市はふるさと納税の返礼品に、多摩区内を運航していた「バス小型車」2台や、行先を表示する「LED方向幕」などの市バスの付随品などを出品している。

 バス小型車は寄付金額1300万円の返礼に1台を贈呈する。車両年式はいずれも2011年度で、全長約7m、車幅約2m、高さ約3m。運転手1人、乗客35人が乗ることができる小型バスだ。11年9月に開館した「藤子・F・不二雄ミュージアム」(多摩区)の来館者を登戸駅から運ぶ直行バスとして導入されたが、ミュージアム人気の高まりとともに、より大型のバスが必要となり、役目を終えた。走行距離は9万1500Kmと10万800Km。大型自動車第一種免許があれば一般ドライバーでも運転は可能だが、「旅客」を運ぶ場合は大型二種免許が必要になる。

 車両以外にも、70万円の寄付に対する返礼品として、バスの行先を知らせる「LED方向幕」を、行先のデータや電源変換機などとセットで出品。廃車となったバスの部品や、実物のバス停標識も出品する。

 考案した市交通局の担当者は「全庁的な取り組みが続く市のふるさと納税の『目玉商品』を考えるうえで、交通局としても話題になるものを考えた」という。

 返礼品として出品するには、総務省が定める「地場産品基準」に適合する必要があるが、市は「基準5」の「広報目的で生産されたキャラクターグッズやオリジナルグッズ」に類するものに当たると判断。総務省の担当者によれば「バス車両を返礼品に出品するのは珍しい」という。詳細はふるさと納税の各ポータルサイトを参照。

30回目のしんゆり映画祭 10月26日開幕 全20作品

 NPO法人KAWASAKIアーツが主催する「KAWASAKIしんゆり映画祭」が川崎市アートセンターで開催される。期間は10月26日(土)、27日(日)、10月31日(木)〜11月4日(月・祝)。

 今年で30回目を迎える同祭では20作品を上映する。全席指定。前売り券は各作品上映日の2日前までセブンチケット、同センター窓口で販売。完売作品以外は当日券の販売もあり。詳細は同祭ウェブサイトを参照。(問)同法人映画祭事務局【電話】044・953・7652