町田版【2月20日(木)号】
予算案について説明する石阪丈一・町田市長(左)

町田市予算案 子どもの環境整備拡充 最大規模の1930億円

 町田市は先ごろ、2025年度の当初予算案を発表した。子どもの教育環境整備の事業や中心市街地、鶴川・相原駅周辺の開発などに力を入れた一般会計予算は前年度比137億9299万円増の1930億7541万円と過去最大の規模となった。市は「事業の見直しを行ったうえでのもの。民間活用やデジタル化などによる事業費の削減にも取り組んでいる」としている。

 子どもの教育環境や居場所づくり整備に重点が置かれた。待機児童の解消対策や未就園児預かり推進事業などの予算を拡充したほか、今年1月から開始した学校給食費の無償化に19億624万円。学校統合や校舎の建て替えに向けた設計・工事などを進める新たな学校づくり推進事業に12億7796万円を計上した。また、24年度に引き続き、街づくりにも力を入れる。町田駅周辺の中心市街地の開発・活性化を進め、鶴川駅周辺の街づくりに44億5318万円。相原駅周辺の開発には7億920万円をあて、公園や緑地の整備も予定する。

人間ドッグ補助なども

 25年度の新規事業としては、補聴器の購入費助成などを行う「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」(945万円)や、人間ドック受診費用の一部を補助する「人間ドック補助事業」(1062万円)を計画し、住まいの防犯対策に対する補助や、26年の4月から市内全域で開始する容器包装プラスチックの分別収集に向けた周知啓発にも新規事業として予算をあてた。

 一方、税収は前年度比35億8545万円増の726億7464万円。給与所得や新築物件の増加などの影響を受けているという。

 町田市議会の木目田英男議長は「市税収入は堅調に推移し、過去最高額となっているものの、物価高騰、人材不足による建築費の高騰や扶助費の増加による歳出が厳しい状況。令和7年第一回市議会では25年度予算として、議員一人ひとりの多様な声を踏まえてしっかりと審議していく」としている。

御刻印を掲げる室矢住職

バイク愛好者を呼び込み 浄運寺など 「革製の刻印」場に

 原町田の浄運寺などが革製のお守りに参拝の証として各地の神社仏閣の刻印(御刻印)を刻んでいく企画に参加し、バイク愛好者らを町田へ呼び込んでいる。浄運寺周辺の中心市街地は観光地化が進み始めている。

 この革製のお守りに各地の神社仏閣の刻印を刻んでいく企画は「疾風巡拝プロジェクト」と名づけられ、市内では浄運寺のほか、本町田の宏善寺が参加。2月15日現在、全国の80を超える神社仏閣が名を連ねている。

 主にツーリングを楽しむバイク愛好者らの立ち寄りスポットとなり、御刻印を得るにはプロジェクトに参加する神社仏閣で革製のお守りを購入し、各地の御刻印を収集していくのだという。

 バイクのツーリングを楽しむなか、このプロジェクトを知り、参加を決めたという浄運寺の室矢教恵住職は「日本の歴史文化を再発見するきっかけになるものと思い、参加することを決めた。開始して3年が過ぎたが、このプロジェクトによって当寺を訪れてくれる方が増えている。バイク愛好者以外の方も歓迎」と話す。

 御刻印は好みの神社仏閣のものを集め、「オリジナル品」をつくることができる点が魅力といい、室矢住職に声をかけられ、プロジェクトに参加したという本町田にある宏善寺の磯野祥柔住職は「御刻印と共に当寺の御朱印も求めてくれるようになっている」と笑顔。「寺院は敷居が高いと思われているようだが、気軽に立ち寄れる場所として認識してもらえるようになってきたと思う」

 一方、浄運寺に立ち寄った、御刻印の収集を始めたという市内に住む親子は「プロジェクトの存在を知り、各地をまわり始めた。近所にもあってうれしい」と手にした御刻印を見つめながら話す。

観光地化

 浄運寺のある市内中心市街地では観光地化が進んでいる。寺院に近い「原町田大通り」は来月、車道の一部が出店などを楽しむことができる歩道となり、通りには街のイベント情報などを発信する交流拠点がオープンする。また、町田市はJR町田駅南口側などの開発も計画し、「訪れて楽しめる街」づくりを進めていきたい考えという。このプロジェクトの詳細については御刻印のHPなどから。

車いすモデルとして活動し3月、市内で講演を行う 玉置 陽葵さん 町田市在住 19歳

誰もが選択できる社会に

 ○…生まれつき筋肉が弱っていく難病「ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー」の当事者である一方、車いすモデルとしてSNSやファッションショーなど活動の場を広げる。これまで患者会などを通して自身の思いや経験を発信してきたが来月、市内で初めて単独講演を行うことになった。「障害当事者やその家族の方々が不安を抱えている中で、『1人じゃない』と伝えられる場にしたいと思っています」

 ○…「誰かの力になりたい」と高校生のときに始めたSNS発信がきっかけだった。周囲との壁を感じ、素を出せずにいた幼少期。「みんなと同じようにできないことが多く、病気のことも隠しがちだった」と振り返る。しかしモデルとして表に立つ覚悟が決まるなかで、病気の受け入れ方にも変化が現れた。応援してくれる人の存在や他の障害当事者らとの出会いが、発信者としての活動を後押ししてくれた。

 ○…活動の傍ら、大学に通い社会福祉を学ぶ。「自分はどうしても当事者目線になってしまうけど、いろんな人の考えを聞き、話し合えることがうれしい」と刺激を受ける日々だ。休日は、幼いころから推しているサッカー選手を応援するためにスタジアムへ足を運ぶこともしばしば。「友人と一緒に外出したり、旅行できることもすごく楽しいです」と笑顔を見せる。

 ○…活動の中で目指すのは、誰もが一つでも多くの選択肢をもてる社会の実現。趣味や勉強、仕事--どんな面においても「やりたいこと」ではなく「できること」から選ばざるを得ない障害当事者の現状に課題を感じる。「障害がある人も、みんなと何も変わらない存在であると伝えたい。どんな人も『やりたいこと』で輝ける社会になってほしいです」

学生対象の防犯MTG 3月9日 原町田で

 若い世代の防犯意識を高めてもらうための催し「学生防犯ミーティングイン町田」が3月9日(日)、原町田の町田市文化交流センター6階ホールで開催される。

 対象は高校生や大学生、専門学生で、市民防犯を専門とする武田信彦氏による講演のほか、町田市市民生活安全課職員による防犯講話、グループディスカッションなどが予定されている。

先着120人

 時間は午後1時30分から4時まで(受付は正午から)。参加無料で先着120人。

きっかけに

 主催する町田市は「意識を高め、防犯活動を始めてもらうきっかけになればと考えている」としている。申し込みは3月3日(月)までに市のイベント申込システム「イベシス」から。詳細は市のHPなどで。

谷原さん(左)と榛葉さん

開催日本最高峰のプリマ町田初登場 谷原めぐみ&榛葉樹人デュオコンサート

 毎週BS日本テレビ夜8時放映の「こころの歌」にフォレスタのメンバーとして出演している人気ソプラノ・谷原めぐみさんとテノール・榛葉樹人さんによるデュオコンサートが3月11日(火)、町田市民フォーラム3階ホールで開催される。

 谷原さんは町田初登場。東京藝術大学及び大学院修了でイタリア声楽コンコルソ金賞受賞、難関藤沢オペラコンクール第1位、奏楽堂日本歌曲コンクール第1位と輝かしい受賞歴を持つ二期会を代表するプリマ。二期会本公演オペラ「椿姫」の主役ヴィオレッタで絶賛を浴びたのは記憶に新しい。

 榛葉さんは昨年から間隙を縫って町田の舞台に出演する二期会会員の実力派テノール。オペラ公演、コンサート等で東奔西走するオペラ界の王子様と称される。美声もさることながらその歌声も定評がある。日本の歌、オペラアリア、二重唱等をたっぷりとお届け。ピアニストは近年活躍を見せる南雲彩さんが務める。「こんなに凄いメンバーが町田初共演となれば聞き逃す訳には行きません。この貴重な機会をお聴き逃しなく。残券僅少です。お早めのお電話を」と主催者。

 午後2時開演(1時30分開場)でチケット3千円(全席自由)。予約は柴田さん【携帯電話】090・1734・8116。

相談を受ける神山社長

「聞こえ」の重要性とは 市内 補聴器販売店に聞く

 人生を楽しく豊かに送るために重要なものともなるのが「耳の聞こえ」。聞くことは会話やコミュニケーションの手段として欠かせないものであり、耳は人間の五感のなかでも特に重要な一つとされている。町田駅前で「認定補聴器専門店」としても認定を受けるリオネットセンター町田の社長・神山重晴さんに話を聞いた。

--認知症にも影響する?

 「難聴は認知症のリスクを高める可能性があると指摘されています。難聴になると、周囲の音や会話の情報が脳に届きにくくなり、脳の刺激が減ってしまいます。その結果、脳の認知機能が低下しやすくなると考えられています。また、難聴が進むと会話が困難になり、家族や友人とのコミュニケーションが減少しがちです。これが孤独を招き、認知症のリスクが高まることにつながるとされています」

--補聴器の役割は

 「補聴器を使うことで、会話をスムーズに楽しめたり、音が聞こえることで安心して外出を楽しむことができます。着用し初めのころはめんどくさいと感じてしまうこともあると思いますが、長く着用しトレーニングしていくことで、使い続けられるようになります。難聴になるとテレビの音量などで家族と揉めてしまうという事例はよく耳にしますが、補聴器を着用した方からは、その解消にもつながったという話をいただくことも多いです」

--聞こえに不安を感じたら?

 「聞こえが悪いと感じたら、まずは耳鼻科医に相談するのが大切になります。難聴が進行する前に、早期に対応することで認知症の予防にもつながります。補聴器に関しては同店で相談も受け付けています」

 補聴器についての相談は同店【電話】042・727・3311へ。

出演する児玉氏

本格シャンソン堪能できる 3月27日 府中市でフェス

 本格的なシャンソンを堪能できるTOKYOシャンソンフェスティバルが3月27日(木)、京王線・府中駅すぐの府中市市民活動センタープラッツ内バルトホールで開かれる。

 12時30分開演の「昼の部」と午後5時30分から開かれる「夜の部」に分かれ開催されるもので双方共、プロ活動をするシャンソン歌手の歌声を堪能できるほか、ドラマ形式の「シャンソンドラマ」も楽しめる内容になっている。

 昼夜共に各回30分前に開場し、チケットはいずれも3500円で全席自由。夜の部にはタレント、アーティストなどとして活躍しているピーター(池畑慎之介)さんや町田市在住の児玉正浩氏らが出演する。

26日も

 前日26日(水)には、入場無料(要整理券)の催しも同じ会場であるという。問い合わせは(株)ベネフレックス【電話】042・722・3861。または、メールgroup@alllife.co.jpまで。

チェロの魅力存分に  2月24日 秦野市でコンサート

 人の声に近いといわれる楽器「チェロ」。その演奏で多くの人を魅了するチェリスト・玉川克さん=写真=が2月24日(月・祝)、秦野市・東海大学前のタウンニュースホール(小田急線東海大学前駅南口徒歩1分)でコンサートを行う。

 玉川さんは、国内の主要オーケストラから客演首席奏者として招聘されるほかクラシック、ポップスなどジャンルを問わずレコーディングへの参加も多数。スーパー・チェロ・アンサンブル・トウキョウ、「硬派弦楽アンサンブル石田組」のメンバーとしても定期的に演奏を行う実力派。

予約制

 当日の演奏予定曲目は「無伴奏チェロ組曲第1番」(バッハ)、「セレナーデ」「トッカータ」(カサド)、「シチリアーノ」「夢の後に」「エレジー」(フォーレ)、「チェロソナタ第1番」(ブラームス)。奥深いチェロの音色に存分に浸れる。ピアノは宮㟢琴音さん。

 午後2時開演(1時30分開場)、3時30分終演予定。入場料2000円(予約制・自由席・未就園児入場不可)。予約は公演事務局【電話】0463・81・1211へ。

以前の様子

フラ「魅せる」 3月1・2日 町田駅近くで催し

 400人を超えるフラダンサーらのパフォーマンスを楽しめる催し「アロハ!ピュアハワイ」が3月1日(土)・2日(日)、JR町田駅に直結する町田市文化交流センター(プラザ町田内6F)で開かれる。入場料は大人100円(全額募金へ)で子どもは無料。1日は午前9時30分から午後7時。2日は9時30分から始まり5時まで。両日共にハワイアンウエアの販売あり(1日は6時、2日は5時まで)。

 このイベントは2015年から町田を拠点に各地で開かれているもので、3月20日(祝)から23日(日)まで、川崎市の商業施設での特別開催もあるという。

 主催するピュアハワイ事務局の渡邉賢治さんは「ハワイに魅了され、その魅力を地元町田でも伝えたいと企画した催し。老若男女が楽しめるイベント。ご来場いただければ」と話している。

 問い合わせは同事務局・渡邉さん【電話】050・3188・1801(【メール】p8011@outlook.jp)まで。

薬師池公園で きょうから梅まつり

 野津田町の町田薬師池公園内できょう20日から、梅まつりが開催される。白梅や紅梅など、およそ250本を楽しめるもので、3月16日(日)の期間中は和太鼓や三線などの演奏、キッチンカーでの限定メニューの販売などがあるという。

 場所は四季彩の杜 薬師池で詳細は町田市観光コンベンション協会のHPなどで。

公開講座の告知

市薬剤師会 3月8日に公開講座 「災害時の薬」考える

 町田市薬剤師会は3月8日(土)、原町田の健康福祉会館4階の講習室で市民公開講座「災害時のお薬」を開く。災害時の薬について同会理事の森永ゆかり氏による講演が行われるほか、災害用備蓄食品を配布予定という。

 手話通訳もあるといい、時間は午後2時30分から午後4時まで(受付は午後2時から)。参加無料で先着100人。同会は「公共交通機関を利用のうえ、来場を」と呼びかけている。

 申し込みは3月5日(水)までに、町田市のイベントダイヤル【電話】042・724・5656(午前7時から午後7時)などから。詳細は同会HPで。

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能登半島の会員ら手づくりの小物など

シルバー交流まつり あす 森野で開催

 町田市シルバー人材センター主催の「シルバー交流まつり」があす21日(金)、わくわくプラザ町田(森野)で行われる。午前は、アルコールパッチテストの体験もできるセミナー「お酒と仲間と自分を知ろう」、午後には「チョコレートの世界」をテーマにしたセミナーが開かれる。参加には事前申込みが必要。当日は昨年の震災で被害を受けた能登半島の応援を目的に、輪島市・珠洲市・能登町のシルバー人材センターと連携し、現地の会員が手作りした品などが販売される。催しは午前10時から午後3時まで。問合せ・申込みは同センター【電話】042・723・2147へ。

自宅でくつろぐ笑江さん(上)、農薬や化学肥料を使わずに育てられたみかん

「100年時代」のけん引者 つくし野在住の中村さん

 「人生100年時代」を走ってきたのが、今年の6月に100歳を迎えるつくし野在住の中村笑江さん。東急田園都市線つくし野駅が開設した頃、駅前にクラブハウス、駐車場を備えた2千坪の会員制テニスクラブを夫と共にオープン。町田にテニス文化を広める役割を果たす一方、つくし野でみかんづくりにも挑戦し、現在は息子の匡秀さんが「みかん狩り」できるスポットとして地域に開放した畑を見守る毎日を送っている。

 「自然の摂理にもとづいて土壌を健康にすることを念頭に育ててきました。皆さんに喜んでいただけるようになりうれしいです」と笑江さん。みかんと同時期に始めたブルーベリーと共に栽培は農薬や化学肥料を一切使わない安心安全なものとして地域に安価で提供。多くの人に喜ばれている。

「奇跡の人」

 そんな笑江さんを周囲は「奇跡の人」と呼んでいるという。つくし野の活気を生んできたことに加えて、年を重ね、大病に見舞われてもくじけずに回復してきたところからそう呼ばれるようになった。80代で脳梗塞に――。そして、農作業中に何度も骨折してしまっても何事もなかったように毎回復活してきたのだという。

 匡秀さんは「最近も救急搬送が続いていますが、無事に乗り切っています。懸命に生きてきた母を例える言葉は『粉骨砕身』。身を砕くほど力の限りを惜しまずに努力してきました。自慢の母です」と笑顔をみせる。笑江さんは6月29日(日)に100歳を迎える。

3月に講演を行う玉置さん

市内在住車いすモデル 玉置陽葵さん 講演会 3月1日 原町田で

 町田市出身で現在、車いすモデルとして活躍中の玉置陽葵さん=人物風土記で紹介=が3月1日(土)、町田市民フォーラム3階ホール(原町田)で講演会を実施する。

 幼い頃、生まれつき筋肉が徐々に弱っていく難病・ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーと診断された玉置さん。現在は大学生活を送りながらSNSでの発信や、障害者専門芸能事務所に所属し、ファッションショーなどの場でモデルとして活躍している。近年ではトークショーなどを通しても自身の経験を発信してきた。

 玉置さんは日常生活を車いすで送る中で、入れる店や行ける場所が限られていることを痛感してきたという。「社会の受け入れ態勢が整っていくことで障害がある人の生活のしやすさも上がっていくのではと思っています」としたうえで、「講演を通して障害がある人も社会にいるのが当たり前だということを伝えたい。身近な存在として見てもらいたいです」と話している。

23日申込締切

 講演は町田市の地域公開講座として行われるもので、玉置さんの経験に基づいた話題が展開される。「不安を抱えている障害当事者やその家族の皆さんもいると思います。一人じゃないということを伝えられる場にしたいです」と玉置さんは意気込んでいる。

 時間は午後2時から3時30分までで参加は無料。車いす席、親子室あり。申込みは2月23日(日)までにイベントダイヤル【電話】042・724・5656またはイベシス(イベントコード:250110A)を利用のうえ。

自己流の墨絵。楽しむが基本スタンス

俳優の石丸さん「ネバー・トゥー・レイト」の精神 好奇心に駆られるままに

 ウインドサーフィン、登山、スキー、自転車、ピアノ、墨絵…と多趣味で知られる俳優の石丸謙二郎さん。中にはプロ並みの腕前を誇るものもあり、多才ぶりに驚かされる。そんな石丸さんを突き動かすのは好奇心。「興味が湧いたらまずやってみる」のスタンスが人生をより豊かに、楽しくしてくれるのだとか。”石丸流”の人生100年時代を生きるヒントを聞いた。

 ――熱中できる楽しみをたくさんお持ちです。

 「ベースとなるのは『海と山』。風が吹いたらウインドサーフィンを楽しんでいるが、毎回コンディションが整うとは限らない。のんびり風待ちをして過ごす人もいるが、性格的にぼーっとできないのでそんな時は自転車を漕いだり、山に出向いてクライミングをしたり。欲張ってあれもこれも楽しんでいる。よく動いて、よく食べて、よく寝る。遊びが心身の健康維持に欠かせない」

 ――37歳まで趣味を封印していたそうですね。

 「役者という仕事柄、怪我をすることができない。日焼けもご法度。自分の立ち位置を確立しなければならないという思いもあり、あえて遠ざけていた。余裕を持てるようになって、一人で楽しめるものはと考えてウインドサーフィンにチャレンジしたが、簡単にはいかない。その悔しさがのめり込むきっかけとなった。上達の早道は実戦だと教えられ、レースにも参加。10年でアマチュアのトップレベルになり、61歳の時に73・71Kmという当時の日本第2位のスピード記録を出すことができた」

 ――スキーも60歳になってからです。

 「スノーシューを履いて雪山を歩いていた時、スキーならもっと楽に動けることに気付いて。これも夢中になって練習して1日にリフト80本乗った日もあった。上達すると世界が広がって、もっと楽しくなる。今シーズンはスノーボードにも初挑戦する。5年周期くらいで自分を突き動かす何かとの出会いがある。いつも心を開いているからこそ、新たな価値観を受け入れられる」

 ――ピアノもその一つですか?

 「ウインド仲間にジャズピアニストがいて、教えてもらった。1曲だけに絞って練習を重ね、駅にあるストリートピアノをこっそり弾いたことも。指先を通して身体と音が一体化する感覚が新鮮で、ピアノの魅力を理解できた。自分とは無縁の世界だと思っていたが、やってみることが大切。年齢は関係ない。『ネバー・トゥー・レイト』の言葉通りだ」

 ――登山家なら誰もが憧れるマッターホルン登(とう)攀(はん)に成功しました。

 「成功率は五分五分と言われていて、体力的にも厳しいものがあったが、挑戦してよかった。実は登山から派生した趣味に墨絵がある。訪れた先で感じたことを揮毫する野筆セットをアウトドアメーカーから渡されたが使い方を勘違いし、スケッチブックを山に持ち込んで絵を描いていた。恥ずかしい思いをしたが、それが今では個展を開くまでに。うん、これはこれで楽しい」

《石丸謙二郎(71)/俳優でナレーター。登山をテーマにしたラジオ番組『山カフェ』が人気》