多摩版【2月20日(木)号】
キッチンカースペースなどが整備された河川敷

聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり 国交省から表彰 河川空間の活用が評価

 多摩川河川敷で川のある豊かな日常を演出しようと、聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり協議会、一般社団法人聖蹟桜ヶ丘エリアマネジメント、多摩市を中心に推進している「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり」の取り組みがこのほど、2024年度の「かわまち大賞」を受賞した。都内では2例目、多摩地域及び、多摩川流域では初の受賞となった。

 かわまち大賞は、河川空間の活用において他の模範となる先進的な取り組みを国土交通大臣が表彰する制度。2018年度に創設された賞で、これまで12カ所を選定している。今年度は聖蹟桜ヶ丘を含め、北海道や静岡県と3カ所が選ばれた。

 愛称「せいせきカワマチ」で親しまれている多摩川河川敷は関戸1丁目の芝生広場やキッチンカー停車場が整備されている。これまで市や地域の企業、商店街などが協力し、「川のある豊かな日常」を実感できるまちをめざして、さまざまな社会実験やイベントを実施。川を起点ににぎわい、持続可能なかわまちづくりをめざしてきた。

 評価のポイントとしては、市が「せいせきカワマチ」を整備した上で、商店会と民間事業者からなるエリアマネジメント団体が運用管理を担い、地域の関係者や団体と意見交換を重ねて河川空間の利活用ルールを充実させている点。河川敷だけではなく、川を起点にまち全体ににぎわいを創出していることも評価の理由となった。

 表彰式が2月6日、国土交通省国土交通大臣室で行われた。阿部裕行市長や聖蹟桜ヶ丘エリアマネジメント代表理事の三橋誠さんら関係者が出席し、表彰状と楯を受け取った。三橋さんは「国の支援のもと、行政と地域が同じ目線で議論を重ね、河川空間の整備と地域主体の取り組みが進捗し、新たなにぎわいが生まれている。今後も地域の皆さまとともに川のある豊かな日常づくりを進めていく」とコメント。阿部市長は「受賞は市だけではなく関係者の皆さまのおかげ。今後も河川敷空間のさらなるにぎわい創出のため努力していく」と感謝の気持ちを表した。

多摩市予算案 子ども・若者政策に重点 一般会計約685億円

 多摩市はこのほど、2025年度予算案を発表した。今年度に続き、子ども・若者支援に向けた政策や環境対策、健康推進に向けた取り組み、にぎわいの創出に重点を置いた予算編成となった。一般会計の総額は過去最大の685億5000万円。物価や人件費の上昇などの影響から、前年度と比べ10・9%増加した。

過去最大

 市は今回の予算編成を「変化の激しい時代でも歩みを止めず、前に進んでいく年度」として、各政策への取り組みは進めながらも、財源が必要になった場合は補正予算を組むなど柔軟に対応していく方針を示した。分野横断的に取り組むべき重点テーマとして、環境と共生に向けた取り組み、「健幸まちづくり」の推進に向けた取り組み、活力・にぎわいの創出に向けた取り組み、子ども・若者政策に向けた取り組みを推進していく予算編成としている。

 歳出では扶助費の増加、資材や人件費の高騰、物価高などの影響を受けたことによる物件費が大幅に増加したことにより、前年と比較して約67億円増額となった。

「こども誰でも」拡大

 昨年度から導入した「こども誰でも通園制度」に3億700万円を計上。昨年度は4園だった民間実施園を13園程度に拡大する。就労等の有無に関わらず幼稚園・保育所で預かりを行う制度。

 また、放課後子ども教室の新設に4千900万円を充てる。学童クラブ運営法人を実施主体とした週5日の放課後子ども教室を新たに東寺方小学校、南鶴牧小学校の2校で実施し、4校に拡大する。

 環境に向けた取り組みとして、総合体育館の第1スポーツホールの空調設置工事に2億7000万円を計上した。「健幸まちづくり」関連では、「多摩市みんなの笑顔が広がる歯と口の健康を推進する条例」の施行を受け、妊婦歯科健診を集団方式から個別方式に変更するとともに、都内26市では初となる健診の対象にパートナーも加えて実施する事業などに300万円を充てる。

市民生活に寄り添う

 また、にぎわい創出として公園整備事業に1億3300万円。大谷戸公園のトイレ洋式化・バリアフリー化や駐車場の拡張工事を実施するとともに、公園広場に誰もが楽しめる遊具を設置し、インクルーシブな公園として整備する。

 防災・防犯対策にも新規事業は含まれる。阿部裕行市長は「苦しい予算編成の中でも市民の生活を支え、安全安心に向けた取り組みを重視した当初予算案となった」などと話した。

多摩稲城防犯協会の会長を務める 奈良部 義彦さん 稲城市在住 70歳

犯罪ゼロのまち めざして

 ○…多摩市と稲城市の安全安心を見守るボランティア団体の会長として10年近く会の活動をけん引する。地域のパトロールはもちろん、功労者や作文の表彰、防犯イベントなど活動は多岐にわたる。今月には両市の中学生から募集した作文の表彰式を実施した。「素晴らしい作品ばかりでしたね。参加人数も増えている」と目を細める。

 ○…消防設備全体の設計や工事、メンテナンスを請け負う有限会社稲城防災設備の代表を務める。鉄鋼メーカーを早期退職した父と立ち上げた会社を軌道に乗せようと、若いころは仕事に明け暮れた日々だった。しかし、40歳を過ぎたころに大病を患った。病気が治った後、「救ってもらった命。少し地域のことに貢献してみたい」と地域活動に携わる。そこから、自治会長を務め、交通・消防関係などの活動に従事。現在は稲城市商工会の会長も務める。

 ○…仕事を始めたばかりの頃、青年会議所(JC)のメンバーに。当時から多摩市や日野市のJCとは親交があり、その時の仲間が地元経済界の中で成長し今も交流を続ける。忙しい中でも、息抜きは子どもが夢中になっているラグビーの応援だ。神奈川県にある小学校に通い、プロのラグビーチームのセレクションを受け成長したいという息子の背中を見守る。

 ○…新たに(公財)東京都防犯協会連合会の理事を務めることになり、多忙な日々は続く。それでも多摩稲城地域の治安を良くしたいという気持ちは衰えない。子どもたちの絆を深めることで犯罪に走らない「ボンド理論」を提唱し、子どもたちの教育に努める。「最近ではパトロールイベントに小さい子どもが参加してくれることもあり良い光景だね。家族を守るためにも犯罪ゼロのまちをめざしたい」

あいさつする小泉会長

多摩センター商店会 地域の活性化へ 賀詞交歓会で交流

 多摩センターエリアの企業や商店などからなる多摩センター商店会(小泉藤夫会長)の賀詞交歓会が1月30日、レストラン「桃里」で行われた。

 商店会会員のほか、来賓として阿部裕行多摩市長、三階道雄市議会議長ら合わせて約30人が出席した。

 冒頭、あいさつに立った小泉会長は昨年を振り返り、昨年4月に開かれた恒例の「桜まつり」が満開の中で行われたことに喜びを表し、乞田川沿いの桜の木に提灯を取り付け、桜イルミネーションとして雰囲気を作り「大変大勢の方に来ていただき、にぎわうことができた」と話した。

 また、「9月には落合自治連合会との共催事業である落合夏祭盆踊り大会を白山神社境内で開催することができた。特に夕方の盆踊りは盛り上がった」と恒例行事が盛大に行われたことに感謝の気持ちを表した。

 最後に、小泉会長は「今年度も会員のみなさまも地域も元気になれるように、一緒に地域活性化に取り組んでいきたい」と抱負を語った。

学長に就任する田原教授=同大学提供

国士舘大学 新学長に田原教授 初の女性 4月から

 多摩キャンパス(永山)などを有する国士舘大学はこのほど、新学長に田原淳子体育学部教授を選任したことを公表した。佐藤圭一現学長の任期満了(3月31日)に伴うもので、田原新学長の任期は2025年4月1日から28年3月31日までの3年間。

 1917年の同大学創立以来、女性学長の就任は初めて。

 学長就任にあたり、田原教授は「社会のニーズや時代の変化に適応した質の高い教育活動に加え、地域市民としての共通認識を育むための社会連携・国際交流の推進を軸に、次世代を見すえた近年の改革・改善の流れを着実に遂行する」と決意を表している。

 田原教授は、オリンピックの理念や歴史に関する研究と普及・教育活動に長年従事している。スポーツがもつ教育的価値を広め、友情やフェアプレー精神の育成といった世界平和に資する活動を行っている。ジェンダー平等なスポーツ文化の醸成に関する論文を発表するなど、当該分野への貢献が高く評価されているという。

 田原教授の専門は、スポーツ史・スポーツ倫理。2021年ヴィケラス賞(国際オリンピック史家協会)、22年度日本スポーツとジェンダー学会功労賞(日本スポーツとジェンダー学会)などを受賞している。

阿部市長(右)にクイーン位獲得を報告する矢島さん=市提供

競技かるたクイーン 矢島さんが市長を表敬 快挙祝い市内に横断幕

 小倉百人一首競技かるた第69期クイーン位を獲得した矢島聖蘭さんが2月10日、阿部裕行市長を表敬訪問した。クイーン位のカップ(第1期からの持ち回り)や69期クイーンのカップなどを持参し、市長にクイーン位獲得を報告した。

 矢島さんは「不安だらけだったが、負けても挑戦者だという気持ちで挑めたのが勝ちにつながった」と話し、今後については5期クイーンを務めるとなれる「永世クイーン」を目標にしているという。阿部市長はカップを手に「重量が重い。歴史と伝統の重みを感じる」とコメントした。

 市内在住の矢島さんは、私立緑ケ丘幼稚園、多摩第二小、和田中の出身で関東第一高校(江戸川区)に進学。高校生としては17年ぶりにクイーンになった。矢島さんは「かるたを普及させるためにも、かるたをする子どもたちが身近に感じられるクイーンになりたい」と展望を語った。

 現在、聖蹟桜ヶ丘駅前に横断幕が掲示されており、3月13日(木)からは多摩センター大通りに掲示される予定(31日まで)。

表彰式に出席した生徒と関係者

多摩・稲城中学生 「安全な街」テーマに防犯作文 中央警察署で表彰式

 多摩中央警察署(㓛刀正樹署長)と多摩稲城防犯協会(奈良部義彦会長=人物風土記で紹介)は12日、中学生防犯作文で入賞した20人の表彰式を同署で行った。

 多摩市と稲城市の中学1・2年生を対象にして、「安全で安心な街づくりのために中学生として出来る事?」をテーマにした作文を募集していた。応募総数は636編(多摩市258編・稲城市378編)で、選考の結果、各賞に選ばれた生徒が表彰式に出席した。

 㓛刀署長は「中学生のみなさんには自分でできること、安全で安心な街を作るためにどうしたらいいのかを真剣に考えていただきありがとうございます。みなさんの気持ちに応えるためにも私たち多摩中央警察署署員一同、全力でこのまちのために頑張っていく」と生徒に語りかけた。

 奈良部会長は「甲乙つけがたい素晴らしい作品ばかりでした。私はかねてから、みなさまにボンド理論を伝えています。アメリカのハーシー博士が目を付けたもので、罪を犯さない人は地域との関わり合い(ボンド)が深く、そのような子どもたちは罪を犯さない。不登校や自殺も減っていく。そのためにも子どもたちを巻き込んで活動することが重要だと訴えています」と話していた。

 各賞の受賞者は以下のとおり(敬称略)。多摩中央警察署署長賞/中野蒼梨(稲城第二中2年)、多摩稲城防犯協会会長賞/菊地姫梨(青陵中2年)、同会優秀賞/松田絢奈(落合中1年)/神谷怜奈(同1年)/岸大河(青陵中2年)/大野結菜(和田中1年)/倉本莉緒(同)/小林修太(同)/小俣凌我(稲城第二中2年)/江上瑠奈(同)/江副楓歩(稲城第三中1年)/小澤優樹(稲城第四中1年)/稲垣瑛太(稲城第五中1年)/柳川理香(同)/石野匠馬(同)/川上心結(同)/渡部朝陽(同)/小林瑛太(同)/橋本眞歩(同)/桃野歩実(稲城第六中1年)

多くの観客が来場(上)、かるがもシスターズのメンバーと岩佐さん(前列右から二人目)

紙芝居研究会 KPKA かるがもシスターズ出演 ワークショップ受講者で構成

 大人のためのわくわく紙芝居シアターが2月1日、大栗川かるがも館で行われた。日本発祥の芸術文化・紙芝居を広めようと、和田・東寺方コミュニティセンター運営協議会文化部が主催して行われたワークショップの受講者が練習の成果を披露した。

 監修、講師は恵泉女学園大学(南野)客員教授で、平和紙芝居研究会KPKAの顧問を務める岩佐玲子さん(レイチェル)が務めた。

 2回にわたる紙芝居ワークショップは9人の女性を対象に行ってきたが、この日出演したのは7人の受講生で構成される「KPKAかるがもシスターズ」。オープニングの手遊び歌で会場を温めると、それぞれが順番に紙芝居を披露していった。

 観客は市内のほかにも、都心や横浜市などから約30人が訪れた。手拍子したり、涙したり、爆笑したりとさまざまなジャンルの紙芝居を楽しんでいた。

 出演者がそれぞれの特技を生かしながら高齢者向けの楽しい紙芝居、平和紙芝居、関西弁の落語的な要素のある紙芝居などを披露すると、観客からは「こんなにたくさんのジャンルがあるとは初めて知った。とても楽しめた」「自分の地域でも紙芝居シアターを開催してほしい」などの声が上がった。最後は出演者のリードで「幸せなら手をたたこう」を会場にいる全員で歌い、にぎやかな催しとなった。

活動の幅広がる

 同大学の平和紙芝居研究会KPKAはもともと、現役の学生が平和の大切さを伝えるために始まったサークル。活動を続けていくうちに小中学生や学校関係者、阿部裕行多摩市長、千葉正法教育長らが参加するようになり出演者の幅は広がっていった。

 今回は地域住民が参加した。岩佐さんは「この方々がいずれ学校で平和授業を行ったり、高齢者施設や紙芝居師として活躍できるよう、指導者養成講座の開催もめざしたい」と話していた。

多摩センター 映像のアートに歓声 プロジェクションマッピング

 多摩センターのパルテノン大通りにあるクスノキと大通り十字路をスクリーンに見たてた、「多摩センタープロジェクションマッピング」が今月行われた=写真。

 多摩市がナイトタイムの賑わい創出に向けた社会実験として行われたもので、市とまちづくり推進に関する包括連携協定を締結しているUR都市機構、新都市センター開発株式会社と協力して実施したもの。

 平日のナイトタイムに若者などの誘客に向けて、非日常空間を作り出した。暗くなりだしたころ、大きな音響とともに、映像と光のアートが描かれると鑑賞していた人たちからは歓声が上がった。

 上映時間は約6分ほど。多摩ニュータウン開発前の自然豊かな多摩地域を想起させるような「自然」と生命の息吹がテーマとなっている。多摩市と友好関係を築いているアイスランドの世界観が表現されており、生き物の迫力ある姿がクスノに映し出された。

松が谷高校和太鼓部の部員ら

和太鼓部 八王子の都立2校 全国へ 松が谷、南多摩 1・2位通過

 都教育委員会と都高等学校文化連盟が主催する「東京都高等学校文化祭 郷土芸能部門」の第33回中央大会発表会が昨年12月15日に日野市で行われ、八王子市内の都立松が谷高等学校の和太鼓部と都立南多摩中等教育学校の太鼓部が全国大会(総文祭)への切符を手に入れた。

 参加した31校のうち、第1位の成績を収めたのは、松が谷高等学校和太鼓部。優勝の瞬間を「頭が真っ白になるくらいびっくりした」と振り返るのは、部長を務める菊地月乃さん(17)。

 同部は現在、男子8人・女子37人の計45人が所属。3年前からプロの和太鼓奏者に指導を仰ぎ、『新しい和太鼓』への挑戦を続けている。そのためか、これまで出場した大会では審査員の評価が割れることもあり、「(ドラなどの)金物の音が大きすぎる」「(太鼓の)フチ打ちが激しすぎる。太鼓がかわいそう」など、酷評されたこともあるという。

 副部長の渡邉ののかさん(16)は「とても悔しかったけど、練習でやろうとしたことは伝わったのでは」と前向きに捉え、同じく副部長の中島萌衣さん(17)は「新しいことは最初は評価されにくい。次は圧倒的な優勝を目指そうと、すごく燃えました」と中央発表会への闘志に変えた。

 進化を目指しつつ、楽しく和太鼓を演奏することを目標に取り組む同部。「これが松が谷だ!という演奏で全国制覇をめざしたい」と菊地さんは話している。

2位に南多摩

 南多摩中等教育学校の太鼓部(橋口幹太部長)は、第2位に。副部長の小林蒼さん(17)は本番直後の手応えを「自分たちが表現したいものがあったので、いい演奏ができてうれしかった」と振り返る。

 同部は、11年前の創部時から伊豆諸島・八丈島の郷土芸能である「八丈太鼓」を元にした演目に取り組んでいる。

 八丈太鼓とは江戸時代に幕府の流刑地だった八丈島で、流人が刀をバチに持ち替えて叩いたのが始まりという説がある。1つの太鼓を2人で叩くのが特徴の1つで、昨年8月には、コロナ禍で中止していた八丈島での合宿も再開した。

 副部長の金子想さん(17)は「島の空気や風、海のにおいを感じながら本場の方と一緒に演奏できたのはよかった。本番では八丈太鼓の奥深さや情熱を伝えたかった」と話す。「リズムが合った時に手応えを感じる。皆の気持ちが一つになった時が楽しい」と金子さん。

 2校は香川県で7月に行われる第49回全国高等学校総合文化祭(かがわ総文祭2025)で、郷土芸能部門へ出場する。

自己流の墨絵。楽しむが基本スタンス

俳優の石丸さん「ネバー・トゥー・レイト」の精神 好奇心に駆られるままに

 ウインドサーフィン、登山、スキー、自転車、ピアノ、墨絵...と多趣味で知られる俳優の石丸謙二郎さん。中にはプロ並みの腕前を誇るものもあり、多才ぶりに驚かされる。そんな石丸さんを突き動かすのは好奇心。「興味が湧いたらまずやってみる」のスタンスが人生をより豊かに、楽しくしてくれるのだとか。"石丸流"の人生100年時代を生きるヒントを聞いた。

 ――熱中できる楽しみをたくさんお持ちです。

 「ベースとなるのは『海と山』。風が吹いたらウインドサーフィンを楽しんでいるが、毎回コンディションが整うとは限らない。のんびり風待ちをして過ごす人もいるが、性格的にぼーっとできないのでそんな時は自転車を漕いだり、山に出向いてクライミングをしたり。欲張ってあれもこれも楽しんでいる。よく動いて、よく食べて、よく寝る。遊びが心身の健康維持に欠かせない」

 ――37歳まで趣味を封印していたそうですね。

 「役者という仕事柄、怪我をすることができない。日焼けもご法度。自分の立ち位置を確立しなければならないという思いもあり、あえて遠ざけていた。余裕を持てるようになって、一人で楽しめるものはと考えてウインドサーフィンにチャレンジしたが、簡単にはいかない。その悔しさがのめり込むきっかけとなった。上達の早道は実戦だと教えられ、レースにも参加。10年でアマチュアのトップレベルになり、61歳の時に73・71Kmという当時の日本第2位のスピード記録を出すことができた」

 ――スキーも60歳になってからです。

 「スノーシューを履いて雪山を歩いていた時、スキーならもっと楽に動けることに気付いて。これも夢中になって練習して1日にリフト80本乗った日もあった。上達すると世界が広がって、もっと楽しくなる。今シーズンはスノーボードにも初挑戦する。5年周期くらいで自分を突き動かす何かとの出会いがある。いつも心を開いているからこそ、新たな価値観を受け入れられる」

 ――ピアノもその一つですか?

 「ウインド仲間にジャズピアニストがいて、教えてもらった。1曲だけに絞って練習を重ね、駅にあるストリートピアノをこっそり弾いたことも。指先を通して身体と音が一体化する感覚が新鮮で、ピアノの魅力を理解できた。自分とは無縁の世界だと思っていたが、やってみることが大切。年齢は関係ない。『ネバー・トゥー・レイト』の言葉通りだ」

 ――登山家なら誰もが憧れるマッターホルン登攀(とうはん)に成功しました。

 「成功率は五分五分と言われていて、体力的にも厳しいものがあったが、挑戦してよかった。実は登山から派生した趣味に墨絵がある。訪れた先で感じたことを揮毫する野筆セットをアウトドアメーカーから渡されたが使い方を勘違いし、スケッチブックを山に持ち込んで絵を描いていた。恥ずかしい思いをしたが、それが今では個展を開くまでに。うん、これはこれで楽しい」

《石丸謙二郎(71)/俳優でナレーター。登山をテーマにしたラジオ番組『山カフェ』が人気》
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人生100年講座 一緒に考える「ACP」 3月22日、あいクリニック

 人生100年講座「もしもの時の医療と介護 早めに、一緒に考えませんか」が3月22日(土)、あいクリニック(2階デイケア/貝取1431の3)で開催される。午後2時から4時まで(1時30分開場)。企画は河北医療財団多摩事業部ACP委員会。

人生会議とは

 人生の最期を幸せに迎えるために準備しておきたいACP(人生会議)をテーマにした講座。講師は、あいクリニック地域連携科長で医学博士の栗林泰子さんが務める。【1】医師の話「在宅医療と人生会議」【2】もしバナゲームで模擬体験。余命数カ月、あなたの大切なことは?といった内容となる。

 ACPとは、突然の病気や加齢などの変化に備え自分が望む医療やケアについて、前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みのこと。

 参加費は無料。定員は25人で予約制。

 申込みは同財団多摩広報課【電話】042・310・0323(平日9時〜17時)か下記申込みフォームから。

講師の寺沢史さん

講演会 旧落合村の歴史語る 3月1日、パルテノン多摩

 多摩センター商店会・落合自治連合会共催講演会「多摩市旧落合村地域の歴史」が3月1日(土)、パルテノン多摩小ホールで開催される。

 講師は多摩市文化財保護審議会委員の経験がある市内愛宕在住の寺沢史さんが務める。寺沢さんは1935年、当時の東京府南多摩郡多摩村生まれる。古くから「落合」の伝統行事、風習から当時の暮らしぶりなどを熟知しており、多摩ニュータウン開発においては多大な貢献をしたという。

 講演会を企画した同商店会や同連合会は「かつては農業中心であった多摩村落合が多摩ニュータウンの開発とともに、裏山は団地に、田や畑は住宅、道路、鉄道、河川に整備され日本を代表するニュータウンと変貌を遂げた。旧落合村の移り変わりと、これからの世代に伝え残したい古き良き行事・風習を語っていただく」としている。

 現在、参加者を募集中。入場料無料。名前・連絡先電話番号、所属を記入のうえ、【FAX】042・371・1359か(【メール】terasawa@toshinoju.co.jp)へ(2月24日(月)締切)。下記二次元コードからの応募は、きょう20日(木)まで。

 問合せは同商店会事務局(都市農住事業内)寺澤利男さん【電話】090・1451・6454。