逗子・葉山版【2月21日(金)号】
予算について説明する桐ケ谷市長

逗子市予算案 一般会計約247億円、過去最大 暮らしやすさ、教育重視

 逗子市は2月12日の定例記者会見で2025年度当初予算案を発表した。一般会計は過去最大246億9400万円で前年度比7・4%(17億1100万円)増。桐ケ谷覚市長は「逗子は住宅のまちという方向性を推進していく。住みたいと思ってもらうには暮らしやすさと教育が重要。教育に関しては最大限の準備をしていく」と力を込めた。

 歳入は全体の約4割を占める市税が定額減税の影響がなくなるなどして前年度比5・8%増の約97億3800万円。国庫支出金が約40億6600万円、地方交付税が約23億円と続く。

 記者会見で桐ケ谷市長は3つの事業について言及した。重要課題としてあげる教育については支援教育充実事業に約1億200万円を計上。市内小中学校全8校に設置する支援教室全てに専任指導員を配置する。23年・24年度はモデル校のみ実施だったが、児童生徒、保護者からも「学校に行きやすくなった」など好評なことから、25年度は全校に拡充していく。

 グランドデザインを策定した蘆花記念公園維持管理事業には約2000万円をあてる。長柄桜山古墳の整備完了を受け、ビジターセンターや公衆トイレの整備の必要が迫られていることから対応する。また、地域住民からは津波避難対策、災害時の備蓄倉庫としての機能も求められていることから、25年度は官民連携による事業資本の導入可能性の調査を行い、最短で28年の民間事業者との契約を目指す。

 交通不便地域の課題解決に向けた公共交通拡充支援事業には約1600万円を計上。地域公共交通活性化協議会を設置し、25年、26年にかけて協議会での議論を軸に逗子に最適な交通体制を模索していく。

葉山町予算案 教育・環境・福祉の3本柱に 一般会計 過去最大約133億円

 葉山町は2月4日、2025年度の当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・7%増の132億8300万円で4年連続過去最大を更新。山梨崇仁町長は「町の財政は概ね良い状況だ」とする一方で、学校をはじめとした公共施設の再編を控えており、将来的な財政状況を鑑み、「厳しい視点で予算編成を行った」と述べた。その中で教育・環境・福祉を3本柱に据えると強調した。

 歳入では46・2%を占める町税が景気回復を見込み、前年度比6・2%増の61億4100万円余。中でも町民税が約32億100万円で11・2%増と大きく伸びた。他は地方交付税13億8千万円、国庫支出金約16億3600万円が大きな割合を占める。

 一方、歳出では柱に掲げた教育費が13・8%増の約14億5700万円。新規事業として普通教室から離れて過ごすことのできる校内教育支援センターへの教員免許を持った相談員の配置(中学校)に約270万円を計上。各教室とオンラインでつなぎ授業を受けることができるようにする。また、フリースクールともつながりを強め、学校に来られない子どもも学習に接点を持てるような、町全体の包括的な教育システムを作る一手として踏み込む。

 環境分野では3月から始まる生ごみ分別収集の支援として、ごみ分別促進アプリの使用料として約26万円、また現在行われているリサイクル市の規模を拡大して実施する、町公式の環境フェスイベン関連経費として約82万円をあてる。

 福祉分野を含む民生費は11・4%増の約50億2200万円。高齢化が進む中、町内で一人暮らしの年配者、資産を持つ人に対し町が積極的に終活サポートを行う事業に約7万円。車椅子の人がストレスなく砂浜に行けるように町がマットを購入する、バリアフリービーチ推進事業補助金に200万円を計上した。

段ボールアーティストで、作品を市民交流センターに寄贈した 山口 豊さん(活動名:あいだっこ師匠) 逗子市在勤 56歳

オリジナルに拘る創作魂

 ○…銀座通りの貸しギャラリーの館長をしながら段ボールアーティストとして活動してきたが、この春独立。ギャラリーの閉鎖にともない、作品の置き場所を探す中、逗子文化プラザ市民交流センターに寄贈した。「処分せずに済んだことと、多くの人の目に触れることになり、ありがたい」と感謝する。

 ○…勤務先の貸しギャラリーのPRのために2020年から段ボールアートの制作を開始。第一号作品の背負える「天使の羽」が好評で、リアルなロボットや少女の仮面、変形する武器などが話題になり、メディアにも取り上げられるようになった。タレントのさまぁ〜ずのまち歩き番組で、「『間』を口癖で『あいだっこ』と言ったことがきっかけで『あいだっこ師匠』と命名され、それ以降、許可をもらって」名乗っている。

 ○…横須賀市出身。小学生のころ好きだったプラモデルはただ作るのではなく、どこか動くように独自の改良を加えた。そのオリジナリティを求める姿勢は今も続く。設計図はなくすべて頭の中で組み立て。「自分の想像で作ったものは世界で一つのもの。ワークショップなどに来た子どもにも、その楽しい体験をしてもらいたい」と熱く語る。段ボールアートの魅力は「何より材料がもらえるのでタダ。軽くて、カッターと木工用ボンドで簡単に加工できるところもいい」と強調。

 ○…若い頃はバイクや車の運転、ビリヤードなど多趣味だった。バイクは50ccしか乗らなかったが、エンジンを改造するなど、ここでもクリエイターの血が騒いだ。今やSNSのフォロワーが100万人を超える「師匠」。地域のイベントなどを通して、「モノづくりの奥深さ、楽しさを伝えていきたい」と使命感に燃える。

詩への思いを語るマスタカさん(右)

「溢れる言葉、届けたい」 ラップ教室で80歳男性

 日常で感じる生きづらさや社会に対する問題意識をラップで表現し、人とつながる場を作ろうと、逗子市在住のマイクラおかん(本名:下崎真世)さんが主催する「ココロラップコンテスト」。3月23日(日)に逗子文化プラザで行われる決勝大会を前に2月15日、初心者向けのラップ教室が開催され、中学生から80歳まで7人が参加した。

 鎌倉市から参加したマスタカさん(80)は、「最近、言葉が溢れるように浮かんできて書きためていた。新聞で子どもの自殺が増えているというニュースを見て、これはまずいと思う中で、下崎さんを新聞で知り、自分の年齢でもラップという表現なら、言葉を外に出せると思った」と参加の理由を語った。

 当日は自分の実体験などを基に作成した4編の詩を持参し、講師陣からは「これはやばい」と絶賛された。マスタカさんは「体力もなく、声も引っかかるので自分ではなく、誰かにこの詩を託したい」と話したが、講師からは「自分で歌った方が、(聞く人に)絶対に言葉が届きます」と説得され、コンテストへの参加を決意した。

 同企画は入場無料の大会の資金調達のためにクラウドファンディングにも挑んでいる。

 詳細は「ココロラップコンテスト」で検索。

主宰の小玉さん(左)と福原さん

ナポンダフ旗揚げ公演 葉山の”物体”の物語 堀内出身、小玉さんが主宰

 葉山町堀内出身の小玉珠成(みのり)さん(25)が主宰する、パフォーマンス団体「ナポンダフ」が2月22日(土)〜〜24日(月)、森山神社境内(一色)で旗揚げ公演を行う。「〇〇のぼやきvol・1in葉山」と題した舞台は、葉山の誰もが知る「物体=〇〇」が見ている景色や人、動物との関係を語りと踊りで表現する。

 同団体は日本大学芸術学部演劇学科出身の小玉さんと、同期の福原恵音(けいと)さん(25)が「また一緒に何かやろう」と、意気投合し2022年に立ち上げた。

 葉山町制100周年に合わせ、葉山での公演に向けて町を歩きながらアイデアを練り、ビーチサンダルの「げんべい」、名島の鳥居、森戸海岸の消波ブロックにスポットを当て、それぞれ15分ほどのショートストーリーに仕立てた。

 昨年9月には12人のメンバー全員で3日間の滞在制作を実施。実際の場所を見に行ったり、町民に話を聞いたりして町への理解を深めていった。

 舞台は主人公の「物体」の語りと、4人のパフォーマーの「踊り」で展開する。二人は「自然と調和する表現アプローチは故郷の魅力再発見につながると思う」と話す。

 時間は22日は午後4時から、23日・24日は1時からと4時から。無料(フリーカンパ制)、全席自由(野外)。

 地元飲食店や雑貨などの出店もあり。22日は100周年PR大使のミューシーも登場する

まちぐるみフェス 縁日と防災が融合 3月9日花の木公園

 葉山町内で活動するNPOやボランティア団体などで作る「まちぐるみフェスタ実行委員会」は3月9日(日)、花の木公園(町役場となり)で「まちぐるみfesta」を開催する。葉山町制100周年記念事業の一環。当日は、防災関係者が来場者にサバイバルノウハウを伝授する。

 イベントでは様々な防災体験ができる。例えば、日本防災士会神奈川県支部葉山による災害時に役立つロープの結び方、葉山町赤十字奉仕団による救護所の運営、葉山災害ボランティアネットワークによる土嚢・水嚢の作り方ワークショップなど。また、防災普及学生団体GENKAによる非常持ち出し袋のベストセット紹介、葉山町消防第5分団によるポンプ車披露、葉山町消防署による煙体験テント&消火器の使い方ワークショップ、葉山町福祉課による災害時に必要な手話教室、ボーイスカウト葉山第1団による紙芝居や防災ゲームなども行われる。その他、公園内仮設ステージでは、ライブパフォーマンスが催される。飲食店は約20店舗が出店、輪投げやわたあめ、駄菓子など昔ながらの縁日も楽しめる。

 実行委員会は「楽しみながら防災対策を学べるイベントです。ぜひ家族や友人と一緒に参加して」と呼びかける。

 問い合わせは葉山まちづくり協会【電話】046・876・0421。

事後現場に向かい黙とうする市関係者ら

安全なまち作り、決意新た 逗子斜面崩落から5年

 逗子市池子で2020年2月、マンション敷地の斜面が崩落し、通学途中の女子高校生(当時18)が巻き込まれ死亡した事故から2月5日でちょうど5年がたった。

 当日早朝、現場には桐ケ谷覚逗子市長、柏村淳副市長、行谷英雄消防長ら市関係者や地域住民らが追悼に訪れた。

 午前7時56分に桐ケ谷市長、ボランティア団体代表の中学生が献花をし、事故発生時刻の7時58分から関係者らは1分間の黙とうをささげた。

 桐ケ谷市長は「命が失われたことは痛恨の極み。二度とあってはならない。市として、予防の観点から市内の崖地の点検を行っている。死を無駄にしないように、安全なまち作りに今後も取り組んでいく」と決意を新たにした。

 亡くなった女子生徒は小学4年生の時、「被災地にとどけ隊」というボランティアグループの一員として、2012年夏に東日本大震災の被災地・陸前高田市を訪れ、地元小学校との交流事業に参加していた。当時は民間人の立場で桐ケ谷市長も同市に支援活動で訪れており、元気にソーラン節を踊る女子生徒を見たという。

 市長は「なにより遺族の方がここに(子どもが)いないということがつらいだろうと思う。生きていればもう社会人。当時、小学生だったが、元気ではつらつとした、可愛らしい子だった」と涙ぐみながらに思いを語った。

かながわ駅伝 逗子8位、最高成績を更新 葉山は15位

 神奈川県内の29市町村で競った「第79回市町村対抗かながわ駅伝競走大会」が2月9日、丹沢湖周回コース(全7区/42・236キロメートル)で行われた。

 逗子チームは目標の5位には届かなかったが、2時間14分43秒で過去最高成績の8位と健闘。5区(2・95キロメートル)の沼田実菜さん(白鵬女子高2年)は区間賞(10分2秒)だった。

 葉山チームは2時間17分48秒で町村の部2位、総合15位に終わった。

 優勝は横浜市(3大会連続43度目)、2位は相模原市、3位は小田原市だった。

それぞれのデザイン画を手に笑顔の入賞者

逗子市 指定ごみ袋デザイン表彰 佳作含め12人

 逗子市は2月15日、市制70周年を記念し募集した、指定ごみ袋デザインの採用作品と佳作入賞作品の作成者を表彰した。

 「燃やすごみ用・不燃ごみ用袋」に採用されたのは大久保建志(たけし)さん(51)の作品。「ごみをへらして住みよい街」という標語と合わせ、海上から街を見たデザイン。「ごみが減った時の逗子のまちをイメージした。浜から江の島や富士山を見る機会は多いが、逆に海から陸を見る目線は少ないと思って描いてみた」と作品の意図を語った。

 「生ごみ用3リットル袋」には横堀花菜さん(19)の作品を採用。地中に生ごみが埋まっていて、地表から植物の芽が出ているデザイン。「生ごみで豊かな大地に!」という標語の通り、「生ごみを分別すると、大地の栄養にもなる」ことを表現した。

 「生ごみ用10リットル袋」は沼間小4年生の石井結菜さんの作品。笑顔の地球の上に星が輝くデザインで「生ゴミはゴミじゃない」と書き添えた。「地球もキラキラするくらいきれいになればいいと思って描いた」と話した。

 佳作入賞者の名前は次の通り(敬称略)。▷池末藍▷岩崎海輝▷沖野天寧▷菊池一咲▷細目のどか▷植山千尋▷高瀬桜▷田宮はるか▷出村哲平▷森重湧太▷三浦ふみ▷ティノコ七海

 各作品は市のウェブサイトで見ることができる(「逗子市ごみ袋デザイン」で検索)。

海藻と地球の未来考える 2月23日、かんきょう講演会

 逗子市とずしし環境会議は2月23日(日)、逗子文化プラザ市民交流センター(逗子市逗子)で環境講演会「海藻はいきもののゆりかご〜逗子海岸 これまでとこれからに向けてのちょっといいお話〜」を開催する。

 講師は海藻研究歴50年、相模湾海藻調査会主宰で、ホンダワラ類の気泡内髄糸を発見した逗子市在住の高橋昭善さん。海藻と逗子海岸の環境について分かりやすく解説する。

 主催者は「海藻は食べるだけでなく、海の環境を支える重要な役割を担っています。地球の未来を考える講演会に、ぜひ参加してください」と呼びかける。

 会場は同センター2階会議室。時間は午後2時から4時。先着60人、入場無料、事前申し込み不要。

 (問)逗子市環境都市課【電話】046・873・1111(内線456)/同会議【メール】machi73zusi@gmail.com

記録証を手に笑顔の松尾さん高校時代は陸上選手だった

葉山にこにこ保育園・松尾園長 100歳までは走りたい W70クラス日本記録保持者

 健康維持のためにはいつまでも自分の足で歩きたいもの。

 陸上100メートルW70(女子70〜74歳)クラスで15秒44の日本記録を持つ、葉山町長柄で保育園を運営する松尾真弓さん(72)は元気の源は「食事・睡眠・適度な運動」と話す。

 松尾さんは食事はたんぱく質を摂取するために肉・魚をきちんと食べ、野菜もしっかりとる。午後10時から11時には寝て朝は6時に起床。毎朝、ラジオ体操、体幹トレーニング、腿上げなどの陸上トレーニングを15分ほど実施。そして週2回、ジョギングからはじめ100メートル、60メートル走を5本ずつくらいなど約1時間のトレーニングを行うという。「やりすぎないことが大切。楽しく面白くやるから効果が出る」と続けられる秘訣を話す。

 マスターズ陸上は5歳ごとにカテゴリーが分かれる。松尾さんは「100歳まで、すべてのカテゴリーで日本記録を出したい」と意気込む。

 保育園では月1回、「かけっこ教室」を行っており、松尾さんも園児と一緒に走っている。「子どもたちから力をもらっている。走ることは全てのスポーツの基本。将来、園児の中からオリンピアンが生まれてくれたらうれしい」と夢を見る。

 いつか「大人のかけっこ教室」もやってみたいという。

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葉山夏みかん、未来へつなぐ 3月2日、福文でイベント

 葉山の夏みかんを多くの人に知ってもらうことを目的に「葉山夏みかん収穫祭2025」が、葉山町制100周年記念事業の一環で、3月2日(日)に葉山町福祉文化会館で開催される。町内飲食店など17店舗が夏みかんを使った特別メニューや商品を販売する。

 葉山と夏みかんのつながりは、1959年に現上皇・上皇后御成婚の際に記念樹として町内に2000株の苗木が配布されたことに由来する。以来、葉山には夏みかんの木が多く点在し、秋から冬にかけては黄色の果実がたわわに実る風景が町の風物詩となっている。しかし、近年では収穫されずに放置されるケースも増えているという。

 同イベントは、葉山の夏みかんを未来へつなぐ活動をしている「葉山夏みかんプロジェクト」が葉山町と共催で実施。同プロジェクトは21年から活動を開始し、夏みかんレシピコンテストの実施や町内飲食店とのコラボ、夏みかんの収穫&譲渡活動などを行っている。また、収穫した夏みかんを葉山町立小中学校の給食メニューに提供したり、森戸神社で夏みかんお清め塩として活用したりするなど、多方面に展開している。

 開催時間は午前11時〜午後3時。入場無料。

 (問)同プロジェクト【メール】hayama.summerorange@gmail.com

逗子で消防・防災フェア 3月2日、第一運動公園

 春季全国火災予防運動(3月1日(土)〜7日(金))に合わせ、逗子市は3月2日(日)、第一運動公園自由運動広場(逗子市池子)で火災予防イベントを開催する。

 はしご車搭乗(午前9時45分〜55分に抽選券配布)、ロープ渡り、放水、消防・警察ユニフォーム着装などの体験ができるほか、住宅用火災警報器啓発ブース、危険物安全協会啓発ブースなでど防災について学ぶこともできる。また、よしもと芸人によるお笑いライブなどもあり、子どもから大人まで一緒に楽しめる。

 時間は午前10時から午後1時。荒天中止。

 詳細は逗子市HPや消防本部Xで確認。

寄贈した作品の前でポーズを決める、あいだっこ師匠

あいだっこ師匠 段ボール作品を寄贈 市民交流センターに

 逗子市内のギャラリーを拠点に活動してきた段ボールアーティストの「あいだっこ師匠」(本名:山口豊さん)=人物風土記で紹介=が、このほど自身の作品5点を逗子文化プラザ市民交流センター(逗子市逗子)に寄贈した。

 これまで勤務する市内企業の貸しギャラリーのPRを兼ねた活動をしてきたが2月いっぱいで独立。ギャラリーの閉鎖もあり、これまで制作した約50点の作品の処分も危ぶまれたが、同センターをはじめ全作品の引き取り先が決まった。

 同センターにはライブ配信の時に使っていた撮影用ブース、天空の秘境と名付けられた城、背負える羽・2個、バイクの5作品を寄贈。1階ギャラリーで企画がない時に常設されるという。

 あいだっこ師匠の作品の特徴は色を塗らないこと。色の変化をさせるときは瞬間接着剤を染み込ませたり、木工用ボンドを薄く塗り光沢を出したりするという。リアルさを追求しながらも段ボールの質感を生かして制作されている。

自己流の墨絵。楽しむが基本スタンス

俳優の石丸さん「ネバー・トゥー・レイト」の精神 好奇心に駆られるままに

 ウインドサーフィン、登山、スキー、自転車、ピアノ、墨絵...と多趣味で知られる俳優の石丸謙二郎さん。中にはプロ並みの腕前を誇るものもあり、多才ぶりに驚かされる。そんな石丸さんを突き動かすのは好奇心。「興味が湧いたらまずやってみる」のスタンスが人生をより豊かに、楽しくしてくれるのだとか。"石丸流"の人生100年時代を生きるヒントを聞いた。

 ――熱中できる楽しみをたくさんお持ちです。

 「ベースとなるのは『海と山』。風が吹いたらウインドサーフィンを楽しんでいるが、毎回コンディションが整うとは限らない。のんびり風待ちをして過ごす人もいるが、性格的にぼーっとできないのでそんな時は自転車を漕いだり、山に出向いてクライミングをしたり。欲張ってあれもこれも楽しんでいる。よく動いて、よく食べて、よく寝る。遊びが心身の健康維持に欠かせない」

 ――37歳まで趣味を封印していたそうですね。

 「役者という仕事柄、怪我をすることができない。日焼けもご法度。自分の立ち位置を確立しなければならないという思いもあり、あえて遠ざけていた。余裕を持てるようになって、一人で楽しめるものはと考えてウインドサーフィンにチャレンジしたが、簡単にはいかない。その悔しさがのめり込むきっかけとなった。上達の早道は実戦だと教えられ、レースにも参加。10年でアマチュアのトップレベルになり、61歳の時に73・71Kmという当時の日本第2位のスピード記録を出すことができた」

 ――スキーも60歳になってからです。

 「スノーシューを履いて雪山を歩いていた時、スキーならもっと楽に動けることに気付いて。これも夢中になって練習して1日にリフト80本乗った日もあった。上達すると世界が広がって、もっと楽しくなる。今シーズンはスノーボードにも初挑戦する。5年周期くらいで自分を突き動かす何かとの出会いがある。いつも心を開いているからこそ、新たな価値観を受け入れられる」

 ――ピアノもその一つですか?

 「ウインド仲間にジャズピアニストがいて、教えてもらった。1曲だけに絞って練習を重ね、駅にあるストリートピアノをこっそり弾いたことも。指先を通して身体と音が一体化する感覚が新鮮で、ピアノの魅力を理解できた。自分とは無縁の世界だと思っていたが、やってみることが大切。年齢は関係ない。『ネバー・トゥー・レイト』の言葉通りだ」

 ――登山家なら誰もが憧れるマッターホルン登攀(とうはん)に成功しました。

 「成功率は五分五分と言われていて、体力的にも厳しいものがあったが、挑戦してよかった。実は登山から派生した趣味に墨絵がある。訪れた先で感じたことを揮毫する野筆セットをアウトドアメーカーから渡されたが使い方を勘違いし、スケッチブックを山に持ち込んで絵を描いていた。恥ずかしい思いをしたが、それが今では個展を開くまでに。うん、これはこれで楽しい」

《石丸謙二郎(71)/俳優でナレーター。登山をテーマにしたラジオ番組『山カフェ』が人気》