川崎区・幸区版【3月28日(金)号】
完成した新小倉小学校

新小倉小学校 4月開校へ 学び舎完成 竣工式 地域交流の場にも期待

 新小倉小学校(幸区新小倉)の校舎が完成し、3月20日に竣工式と内覧会が行われた。4月から、市内115校目の小学校として開校し、約540人の児童が通う。

 校舎は鉄骨造の地上4階建て、敷地面積は約1万6750平方メートル、延べ床面積は1万7660平方メートルで総事業費は約99億円。

 アリーナ(体育館)には、空調設備を設置したほか、マンホールトイレなどの防災設備を整備する。校舎は普通教室、特別支援教室のほか、集会ができる学年コモンズなどを開設する。

 開校後は、川崎市立では初となる午前5時間授業制を導入。「かわさきGIGAスクール構想推進協力校」として、GIGA端末を有効活用する。

 竣工式で福田紀彦市長は「新川崎は量子技術やAI技術の集積地へと発展している。その隣にある小学校であることに大きな意味を持つ。次の世代をつくる子どもたちが生まれていくことを願う」と期待を示した。

 校章も発表され、市立川崎総合科学高校デザイン科を卒業したばかりの田中みのりさんが手掛けた作品が採用。校舎を見学した田中さんは「地域との和の温かさ感じた。そうした雰囲気に相応しい校章であり続けてほしい」と願った。

 地域関係者として出席したクレストプライムレジデンス自治会長の浅利航希さんは「東小倉や小倉小学校時代の子どもをはじめ、日吉地区全体の交流が図れる場にもなってもらいたい」と期待を込めた。

 市教育委員会によると、現時点での同校の児童数のピークは2030年に1200人超となると見込んでいる。

富士見公園での展示

富士見公園 緑化フェア「春」始まる 4月13日まで 体験型重視

 「第41回全国都市緑化かわさきフェア」の春開催が3月22日から始まった。コア会場の一つである富士見公園(川崎区富士見)では、オープニングイベントを実施。市は4月13日(日)までの期間中、同公園だけで約41万人の来場者数を見込む。

 市担当者によると、秋開催は緑を知ってもらうことに主眼を置いたが、今回は緑に触れる体験やワークショップに比重を置く。「市民に緑の価値を知ってもらい、それぞれの暮らしに役立ててもらいたい」と市担当者は期待を込める。

 オープニングイベントには約300人が参加。福田紀彦市長は「天候にも恵まれ、とても気持ちの良い初日を迎えることができた。市内に緑の場が増えてきたことを大変嬉しく思う」とあいさつ。ダンスチーム「KADOKAWA DREAMS」や昭和音楽大学、川崎市消防音楽隊がパフォーマンスを披露し、式典に花を添えた。市制100周年を契機に誕生した「midori―ba(ミドリバ)」によるアート、さまざまな業態のマルシェも出店し、来場者は会場を堪能している様子だった。

 富士見公園のテーマは「多様性」。メインガーデンとなる場所には、ラナンキュラスやポピー、キンギョソウなどで多様性を表現する約6万株の花々が植えられる。市担当者によるとビタミンをイメージした黄色を意識。「会場やまちが元気になってもらいたい」との思いを込めたという。緑化技術を駆使し、壁面に緑が植えられた垂直花壇や子どもたちが遊べる砂場など、親子でも訪れる場所となる。

 富士見公園のほか、等々力緑地(中原区)、生田緑地(多摩区)をコア会場に、フェア全体で約74万人の来場者数を見込んでいる。

市役所前にも緑の潤い

 川崎市役所本庁舎に隣接する「市役所広場」が完成し、祝賀イベントが3月22日に開催された。福田紀彦市長や青木功雄市議会議長、市立川崎高校生徒会長らがテープカットを実施。植樹セレモニーでは、川崎区の長十郎梨、幸区のハナミズキなど各区のシンボルツリーが植えられた一角に子どもたちがスコップで土をかけた。川崎市造園建設業協同組合による「センペルセコイア」の木が広場に贈呈されたことも紹介。センペルセコイアは常緑針葉樹で世界で最も大きくなるとされ「川崎市のさらなる発展を願う」と井上雅博同組合理事長は語った。

 木製コースターの絵付け体験やワークショップも開催。母親、弟と訪れた殿岡杏奈さんは「生け花体験会」に参加。「自分の花を選んで、飾りつけするのがとても楽しかった」と喜んだ。

 広場の面積は約1300平方メートル。平時は緑の憩いの場所だが、災害発生時には多目的防災スペースとして活用。100Vコンセントや水栓、公衆電話も設置されている。

白菜キムチの販売数でギネス世界記録を達成した「おつけもの慶」を運営する 渥美 和幸さん 川崎区港町在住 54歳

川崎キムチを世界に

 ○…川崎では恐らく、最も知られているキムチ店だが「全国ではまだまだ。まして、世界に行けば全く知られていない。川崎市だって海外ではバイクブランド『カワサキ』の印象が先行している」。自慢のキムチを、生まれ育った川崎をもっと多くの人に知ってもらうには、ギネス世界記録しかないと挑戦を決意。半年かけて準備をした。

 ○…設定されたのは、8時間で2500個を販売すること。想像もつかない数字だったが、それでも何とかなるだろうと楽観的に捉えていた。とはいえ、前日は不安でいっぱい。「お客様が誰も並んでいなかったらどうしよう」との思いが頭をよぎった。支えになったのは「常にポジティブ思考」という妻で、店では「祭事隊長」を務める朱美さんの存在だった。結果的には5661個の販売を記録。「皆様の協力の賜物。感謝しかありません」

 ○…21歳の時、亡き父親が経営する青果店で働き始めた。店舗は桜本商店街の一角。かつて買い物客で大賑わいを見せていた商店街だったが、人出が減っていることに危機感を募らせていた。新たな商売の柱に据えたのが、取り扱いで強みを持っていた白菜。コリアンタウンとしても発展していた同地域に活気を取り戻したい。そんな思いもあり、渡田新町に1号店を出店し、現在は7店舗にまで拡大させた。

 ○…ギネス世界記録イベントでは、人気音楽グループ・ケツメイシやファンキーモンキーベイビーズらを手がけてきた音楽プロデューサーのYANAGIMAN(ヤナギマン)さんの協力を得て盛り上げた。「音楽のまち かわさき」を盛り上げることが次の目標だ。「食と音楽が活発なところはコミュニティーも発達している」とその心を説く。

お花見でビールを楽しむ

 春の訪れを告げるイベント「富士見公園 お花見とビール祭」が4月4日(金)〜6日(日)、緑化フェアが行われている富士見公園芝生広場で開催。

 地元で人気の飲食店が出店し、お花見をしながらグルメやビールを楽しめる。4日(金)には「元祖ニュータンタンメン本舗」、5日(土)と6日(日)には焼き鳥の「IROTORIDORI」、クラフトビールの「ペコラビール」が出店予定。問い合わせは【電話】044・276・9133。

細かい箇所まで見応えのある作品

昭和の生活、目で味わう かわさき宿交流館で

 4月29日は「昭和の日」。今年が昭和誕生から100年を迎えることを記念して、川崎区本町にある東海道かわさき宿交流館で現在「懐かしき昭和の店先」が行われている。

 会場には手工芸作家の小嶋敏子さんが粘土で制作した風呂屋、履物屋、駄菓子屋、乾物屋など昭和初期の店先を再現した作品を展示。各テーブルにある懐中電灯を使って、細部まで見ることもできる。

 会場には、川崎大師の縁日や銀柳街、国鉄武蔵溝ノ口駅前、元住吉駅前商店街など市内の昭和時代の写真も飾られ、当時の街並みを楽しむことができる。

 担当者は「作品や写真を通し、昭和にタイムスリップしてみては」と来場を呼び掛けている。

 入場無料、月曜日休館、5月6日(火・振休)まで。問い合わせは【電話】044・280・7321。

市内の自然を守るために

 同館1階では、東住吉小5年により二ヶ領用水の汚染状況を調査したレポートも展示。同校の片山純子校長は「展示のお声掛けを頂き嬉しく思う。生徒らの環境への思いが広がる機会となって欲しい」と話した。

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選手からアドバイスを受ける児童

藤崎小 ラクロス選手と交流 5年生児童が体験教室

 ラクロスの面白さを知ってもらう体験授業が3月14日、市立藤崎小学校(川崎区藤崎/上野和美校長)で行われ、5年生の児童約100人が参加。米プロリーグ(PLL、WLL)の選抜メンバーと一緒に競技を楽しんだ。

 選手たちは富士通スタジアム川崎(同区富士見)で開催される国際親善試合出場にあわせて来日。地域貢献活動の一環として同校を訪問した。

 子どもたちは最初に、ラクロスのフィールドがサッカーコートと同程度の大きさであることや、10対10でプレーすることなどをクイズ形式で学習。体験会では先端にネットが付いた「クロス」と呼ばれるスティックを使い、ボールをすくったり、シュート練習などに励んだ。投げる際には「ステップを入れて一歩踏み出す」と言ったアドバイスが選手たちから送られた。この日は、障害物リレーや英語の体験も行われ、児童は楽しんでいた。

 参加した吉永桜世さんと吉澤良生さんは「フレンドリーに接してくれ、話しやすかった。楽しかった」と笑顔をみせた。浜田莉々果さん、鹿島莉杏さん、永井悠人さんは「面白かった。また、ラクロスをやってみたい」と語った。

 体験会を主催した世界クロス実行委員会によると、日本のラクロス競技人口は約2万人でそのうちの約7割が大学生という。「今回の来日メンバーには世界的プレーヤーもいる。今回の経験を大事にしていただければ」と話す。

受賞した子どもらと関係者

臨港地区 善行生徒児童を表彰 小中学生が人助け

 人助けなどの善行を行った小中学生を表彰する川崎臨港地区学校・警察連絡協議会主催の式典が、このほど行われた。

 表彰を受けた児童・生徒は【1】校外学習の際にバスでベビーカーを降ろすのに苦労していた女性を助けた【2】帰り道に路上で泣いている子どもを見つけ、交番に連れて行った【3】コンビニエンスストアの付近でうずくまっている高齢女性に声をかけ、自宅まで送り届けた。受賞者は以下の通り(敬称略)。

 ▽大島小学校/黒澤愛依、渡辺七海、郷間優愛、邱柯豪、カブスカミユ、宮崎ひかる、安達宝、本荘夢大、堀陽夏、高山翔成、池田鼓音、門井にこ、成田陽乃▽川中島中学校/笠原咲稀、矢野智輝▽南大師中学校/伊藤蓮、矢吹美莉弥、照屋勇我、川田芽依、小柴柚理、渡部峻気、堤陽聖、鈴木涼介、露木翔斗、小林雅史、冨士原竹琉、武田真典、南陽向

寄付を募る関係者ら(撮影:平舘平)

ミューザ川崎 「復興願い」コンサート チケット収入と募金、寄付

 ミューザ川崎シンフォニーホールは、3月11日に「被災地復興支援チャリティ・コンサート」を開催。チケット収入と募金で集まった約205万円を東日本大震災義援金、能登半島地震被災者支援等寄附金、大船渡市災害義援金に寄付した。

 2014年から始まり、今年で11回目を数える。この日は約1100人が来場し、地震の発生時刻には出演者、来場者全員で黙とうを捧げた。

 コンサートでは、パイプオルガン奏者の松居直美さん、ジャズピアノの宮本貴奈さん、ピアノ伴奏の鈴木慎崇さん、東京混声合唱団らが出演。全13曲を演奏して聴衆を魅了し、最後は出演者全員で菅野よう子さんの「花は咲く」を披露した。

 同ホールの担当者は「多くの方に来場頂き感謝している。これからも各被災地の皆様に心を寄せ、支援を行っていきたい」と語った。

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アートに触れる春の夜

 川崎区鋼菅通にある川崎ファクトリー(渡辺治建築都市設計事務所内)で3月29日(土)、シンガーソングライターのボンバードラミさんのオリジナル曲ライブが開催される。「虫いる土に種蒔いて。」がテーマ。アーティストのノリエモンさんのアートワークも楽しめる。午後6時開演(5時半開場)。料金は投げ銭。詳細・問い合わせは同所【電話】044・344・3640。

登壇者の報告に耳を傾ける参加者

最先端技術で環境改善 研究成果報告会

 川崎市環境局環境総合研究所は3月12日、市役所本庁舎で産学公民連携共同研究事業の研究成果報告会を行い、オンラインも含めた一般参加者と関係者、約50人が出席。

 川崎市の環境状況を改善しようと今回は5つの団体が登壇した。

 (株)富士通ゼネラルは、現場労働者の熱中症対策として首を冷やすことができる「ウェアラブルエアコン」の効果測定を紹介。また(株)サンオータスはCO2の削減を目指し、再生可能エネルギーを電力に活用したEVカーシェアの普及課題など、各団体が最新の技術で取り組んだ1年間の研究成果を発表した。

 市の担当者は「地域の皆様に実感して頂けるような共同研究の成果を出していきたい」と今後の意気込みを語った。

市民、警官連携で救助 幸消防署が感謝状授与

 幸消防署(幸区戸手/永岡敦司署長)は3月12日、路上で倒れた傷病者を救助した4人に感謝状を授与した。

 救助にあたったのは、工藤結夏さん、畠山優哉さん、大久保雄太さん、鈴木麻美さんの4人(鈴木さんは後日表彰)。通勤途中だった工藤さんは、鹿島田の路上で倒れている傷病者を発見し、すぐに119番通報をし、救急隊に現場の情報などを伝えた。ちょうどパトカーでそばを通りかかった幸警察署地域課の畠山さんと大久保さんも、事態を把握して合流。「駅には必ずある」と考えた畠山さんは、新川崎駅にAEDを取りに行き、大久保さんは脈を測った。傷病者の心肺は救急隊が到着する前に再開した。

 永岡消防署長は「勇気ある行動のおかげで、かけがえのない命が救われた。4人の活躍に感謝するとともに、今後救命講習の機会を増やしていきたい」と話した。

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三好諒氏

参院選 れいわ 三好氏擁立へ 39歳、消費税廃止訴える

 れいわ新選組は夏の参院選神奈川選挙区(改選定数4)に元外務省職員の三好諒氏(39)を擁立することを決めた。

 三好氏は2013年に外務省入省、21年退職。22年から山本太郎参議院議員の秘書を務め、24年の衆院選で神奈川2区から立候補していた。3月11日の会見で「しがらみのない政治で消費税廃止や社会保険料の減免などを訴えたい」と述べた。

2023年度の補助金交付実績

町内会・自治会を活性化 活動応援補助金を継続へ 3割未使用、市「活用を」

 川崎市の「町内会・自治会活動応援補助金」が、2025年度も継続される見通しとなった。25年度一般会計予算案が3月19日の市議会本会議で可決され、同補助金の予算も確保された。一方で利用率は頭打ちの傾向があり、市は活用を呼び掛けている。

 「町内会・自治会活動応援補助金」は、コロナ禍で活動を自粛せざるを得なかった町内会と自治会の活動を支援するため、21年7月に創設された。「社会福祉」「地域防災」「環境美化」など6項目の活動費用に対し、経費の半額か、「700円×加入世帯数」のいずれか低い金額を補助する仕組み。24年度からは補助金の対象が拡大され、会合などで配布する食品や、清掃用具などを保管する小規模な倉庫や物置などの購入経費も対象に加わった。活動の「事後申請」でも交付の対象とするなど、手続きの簡略化も進めている。

「3割」は休眠状態?

 徐々に利用率が伸びてきたものの、23年度の交付実績では計654団体のうち約7割にあたる457団体が交付を受けた一方で、約3割が「未使用」という状況だ。交付を受けた団体の加入世帯数でみると、市内の加入済み世帯約43万7000世帯の9割弱にあたる約38万8000世帯が、補助金の恩恵を受けた形になる。残りの3割の団体に1割の世帯が加入している計算になり、小規模な団体ほど補助金を活用できていないようだ。

 これまでに補助金の交付を受けていない団体に対して、各区からも利用を勧めているというが、市の担当者は「残りの3割は、活動自体できていない団体かもしれない」とみている。

 町内会・自治会の加入者自体が減少し、22年度の調査では6割未満だった。担当者は「町内会や自治会の存続は、防災や防犯など地域の取り組みに欠かせないもの。今後も補助金の活用を推進していく」と話している。問い合わせは市の市民活動推進課(【電話】044・200・2479)か、各区の地域振興課。

森大介さん

若手農家が次々参入 川崎イチゴをブランドに 連携する「研究会」も発足

 川崎市内でイチゴ栽培に力を入れる農家が増えている。多くが世代交代を視野に入れた「農業後継者」たちで、有志の研究会も立ち上げ、川崎産イチゴのブランド化を目指している。

 里山と住宅地が混在する高津区の丘陵地帯に、イチゴ農園「Strawberry farm SUN」はある。この地で19代続く農家の森大介さん(47)が、計約1000平方メートルのハウス内で高さ約1・3mの栽培ベッドを設置する「高設栽培」の手法でイチゴを生産している。

 市の「認定農業者」でもある森さんは露地栽培で約40種類の野菜を作ってきたが、近年の酷暑などの影響で「従来型の農業はきついと感じていた」という。先駆的に高設栽培方式でイチゴを手掛けていた市内の農家に触発され、2023年からイチゴ栽培に着手。現在、定番の「紅ほっぺ」や神奈川県独自の品種「かなこまち」などを育て、施設内の直売やイチゴ狩りなどで販売している。「まだ試行錯誤中だが、手ごたえは感じている」という。

「農業後継者」の挑戦

 21年2月に10軒だった市内のイチゴ農家は、今年2月の時点で15軒まで増えた。背景には高設栽培システムの存在がある。ハウス内で温度や湿度を自動制御できるうえ、栽培ベッドでの作業は露地より負担が少ない。市内の収穫量は約22・81トン(22年度実態調査)と小規模ではあるが、首都圏に近い地の利を生かした農産物として定着しつつある。

 イチゴ栽培を始めた農家の多くが、30代から40代の「農業後継者」たちだ。昨年6月には13軒の農家が連携して「Kawasaki craft strawberry(かわさきいちご研究会)」を発足。栽培技術の共有や販路拡大に向けた活動を始めた。

 「研究会」に伴走するJAセレサ川崎の担当者はこう語る。「もともとイチゴは農産物の中でも付加価値をつけやすい上に、首都圏に隣接する川崎産は、完熟イチゴを新鮮な状態で食べて頂ける。様々な意味で、川崎の農業の価値を高めるポテンシャルが高い」

 20年から麻生区でイチゴ農園「Slow Farm」を営む安藤圭太さん(38)は、就農する際、ファミリー層が多い都市に囲まれた好条件を生かせる農業を考え、イチゴに決めたという。22年からはパティシエを雇用してイチゴを使ったスイーツも販売。簡易の喫茶スペースも併設した結果、イチゴの直売とカフェ利用をセットで楽しむリピーターが定着した。

 安藤さんには、農家として抱く夢があるそうだ。「日々の暮らしで農業を感じてもらえることは、その土地の魅力に直結する。イチゴづくりを通して『農のある街』としての川崎の魅力向上に、貢献したい」

川崎市役所

人権オンブズパーソン 市教委に是正を勧告 教員の体罰「対応に不備」

 川崎市人権オンブズパーソンは3月12日、市立学校で教員による体罰および不適切な指導が疑われる事案を調査した件で「市教育委員会の対応に課題がある」として市教委への勧告を行った。人権オンブズパーソンによる勧告は7年ぶり。

 市は市民の人権救済機関として、「川崎市人権オンブズパーソン条例」に基づき人権オンブズパーソンを設置している。子どもたちや男女平等に関わる人権侵害があった場合に救済申し立てを受け、助言や支援、当事者の調査などを行い、市の当該機関に是正勧告を提出できる。勧告を受け、市側は検討内容を公表する義務がある。

 今回は2023年度から24年度にかけて、市立学校で教員による子どもへの体罰や不適切な指導が疑われる事案があったとして人権オンブズパーソンが調査をしたもの。その結果、市教委の対応に「課題がある」として、改善を求める勧告を提出した。

 勧告理由としては、市立学校の教員に関し、怒りに任せて子どもの腕をつかむ▽怒りに任せて子どもの足元の床に物をたたきつける▽子どもの人格を否定する内容の声掛けをしたり、意に沿わないあだ名をつけ呼んだりする、といった不適切な行動が確認された。

 市教委や学校に関しては、不適切な行為の件で市教委から再々指導を受けた教員を、新たな学級の担任に任命した▽校内の情報共有が不十分だったため、当該教員が被害を受けた子どもに接し、子どもが授業を受けられなくなった、などの対応の不備が確認された。

 以上のことから、市の子どもたちに対する人権侵害行為が認められたとして、子どもたちの安全を確保する十分な対応を取るなど、市教委に是正を求めている。

 勧告書によれば、調査の過程で多くの子どもが当該教員の不適切な行為を「受けた」「見た」と回答し、調査に協力した子どもたちは泣きながら被害を訴えたという。このとき教育委員会の関係者も同席していたといい、その上で当該教員に再度担任を命じたことは「到底看過できるものではない」としている。

 小田嶋満教育長は「教員の指導に課題が認められた場合、事案に応じて真摯に対応してきた。(勧告の)内容を精査し、対応を検討する」とのコメントを発表した。

グッズ購入やカフェ利用でもらえるワルンタフィギュア

GO!GO!!フロンターレ

ワルンタと湘南戦を盛り上げよう!

 川崎フロンターレオフィシャルグッズショップAZZURRO NEROが、3月28日(金)から30日(日)まで「ワルナイトカーニバル前前前夜祭」を開催する。

 4月2日(水)にU等々力で行われる湘南ベルマーレ戦のイベント「ワルナイトカーニバル」を盛り上げるための企画。同店でフロンターレグッズを4000円(税込)以上購入、または併設のFRO CAFEで1回3000円(税込)以上の会計をすると、クラブ公式マスコット・ワルンタのフィギュアがもらえる。

 30日(日)の午後5時〜7時には、サポーターの前にめったに現れないことで有名なワルンタが同店に登場予定。ワルンタから勝手に宣伝係に任命されることもあるとか?

 FRO CAFEでは、イクミママのどうぶつドーナツにワルンタが初登場。合成着色料・防腐剤不使用のため、誰でも安心して食べることができる。おすすめのドリンクとのセット(1000円=税込)で、買い物の疲れを癒そう。詳細は同ショップ【電話】044・767・6111。

画像はいずれも川崎フロンターレ

保管中の花を見せる息子の高橋希さん

KAWASAKI NOTE 卒業式の花はどこから?

 三寒四温のこの頃、さすがに3月に雪が降るとは誰も思わなかっただろうが、気づけば季節は進んで、まちには礼服に身を包んだお父さんお母さん、スーツや華やかな袴姿の大学生が目に付く。卒業の季節だ。

 証書、合唱、アルバムなど、卒業式を彩るものは数多くある。中でも花の存在は忘れてはいけないだろう。

 幸区小倉で45年続く花伊正は、市内の学校や大学に卒業式用の花を届けている。今年は小中高合わせて15校と大学1校に、演壇の上に飾る高さ1m×幅1mほどの演壇花を届けた。

 「卒業式は同じ時期に重なるので、毎年大忙し」と同店の高橋正さんは話す。作った演壇花は店に置けないほどの数になるので、隣の小倉神社の神楽殿で保管するのが常となっている。

 1つの演壇花を作るのにかかるのは20分ほど。バラやカーネーションなど、卒業式にふさわしいような明るくてきれいな花を選ぶ。黄色やピンク、白などの花が多いのは「体育館の後ろからでも見えるように」という高橋さんの配慮だ。見た目だけじゃなく、香りまで含めて品種を選ぶというから、花屋のこだわりには頭が下がる。中にはカットした茎ごとに色水を吸わせて、花びらが4〜5色になるレインボーカーネーションという花も。完成した演壇花は車に載せて、息子の希さんと親子2人で配送する。「広い市内に配るので大変だけど、子どもたちの新たな門出を祝うためには必要な苦労」と高橋さんは笑う。

 卒業式の裏には花屋の地道な努力があった。子どもたちには、花が届くことにも人のありがたさを感じて、新たな一歩を踏み出してほしい。