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川崎区・幸区 コラム社会

公開日:2025.03.28

KAWASAKI NOTE
卒業式の花はどこから?

  • 保管中の花を見せる息子の高橋希さん

 三寒四温のこの頃、さすがに3月に雪が降るとは誰も思わなかっただろうが、気づけば季節は進んで、まちには礼服に身を包んだお父さんお母さん、スーツや華やかな袴姿の大学生が目に付く。卒業の季節だ。

 証書、合唱、アルバムなど、卒業式を彩るものは数多くある。中でも花の存在は忘れてはいけないだろう。

 幸区小倉で45年続く花伊正は、市内の学校や大学に卒業式用の花を届けている。今年は小中高合わせて15校と大学1校に、演壇の上に飾る高さ1m×幅1mほどの演壇花を届けた。

 「卒業式は同じ時期に重なるので、毎年大忙し」と同店の高橋正さんは話す。作った演壇花は店に置けないほどの数になるので、隣の小倉神社の神楽殿で保管するのが常となっている。

 1つの演壇花を作るのにかかるのは20分ほど。バラやカーネーションなど、卒業式にふさわしいような明るくてきれいな花を選ぶ。黄色やピンク、白などの花が多いのは「体育館の後ろからでも見えるように」という高橋さんの配慮だ。見た目だけじゃなく、香りまで含めて品種を選ぶというから、花屋のこだわりには頭が下がる。中にはカットした茎ごとに色水を吸わせて、花びらが4〜5色になるレインボーカーネーションという花も。完成した演壇花は車に載せて、息子の希さんと親子2人で配送する。「広い市内に配るので大変だけど、子どもたちの新たな門出を祝うためには必要な苦労」と高橋さんは笑う。

 卒業式の裏には花屋の地道な努力があった。子どもたちには、花が届くことにも人のありがたさを感じて、新たな一歩を踏み出してほしい。

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