横須賀・三浦版【3月28日(金)号】
運営スタッフを務める木村乃ゼミのメンバーら

関東学院大学 学生主導で多世代つなぐ 町内会の代替拠点に喫茶店

 地域に暮らす多世代の住民が気軽に集う拠点にしてもらおうと、関東学院大学(横浜市金沢区)の学生らが22日、横須賀市浦郷町にコミュニティーカフェ「関学珈琲館」をオープンさせた。高齢化により町内会の存続が厳しさを増す中、榎戸町内会(同町)が、同大の木村教授に相談を持ち掛け実現。運営にあたるのは主に「木村乃(だい)ゼミナール」の学生らで、世代間交流を後押しするべく店を盛り立てていく考えだ。

 住宅街の一角にある2階建ての戸建て。1階にある店がオープンすると早速数組の地元客が入店した。女性客の一人は数回目の来店といい、「若い人と話ができて新鮮。携帯の操作方法を気軽に相談できるのもありがたい」と笑顔を見せる。

 同店は昨年11月から試験的に営業を開始。元々は同町内会の工藤伸会長が所有する建物をコミュニティーハウスとして開放していたが、新型コロナ禍で休止して以来、使われなくなっていた。そこで、学生主導で多世代をつなぐカフェとして活用する案に行き着いた。

 約50平方メートルある店内にはテーブルやカウンター席を備え、学生が接客を担当する。現状メニューはコーヒー(100円)のみだが、営業よりも学生が来店者の話の聞き役になったり、地域との交流を促したりする「つなぎ役」となるのが主眼だ。

 同ゼミに在籍する高橋冴介(さすけ)さん(3年)は「積極的に地域に入っていき、活気を生み出せたら」と意気込む。現在は1日に10人ほどが利用しており、同日のお披露目会で上地克明市長は「地域の若者世代の空洞化を埋めてくれて大変ありがたい。新しい発想を大事に活動を続けてほしい」と期待を寄せた。

新たな形を模索

 少子高齢化や生活様式の変容を背景に自治会や町内気の担い手不足が全国的な課題となって久しい。市の自治会加入率は2022年4月時点で81・3%と県内自治体の中では高水準にあるが、年々減少傾向にある。

 同町内会も高齢化に直面しており、工藤会長によると役員5人中4人が80歳超え、世代交代が急務だ。ただ、新たな担い手の確保は容易ではなく、突破口として期待するのが同店を拠点とした新たな住民ネットワークの構築だ。「コミュニティーや災害時の共助、行政への要望などが担える新しい地域コミュニティーの形を打ち出せれば」と狙いを明かす。

 今後はスマートフォンの操作講座や親子向けイベント、音楽交流会などを通じて、子育て世代や町内会未加入者へも訴求を図るとしている。

 営業は不定期。開店日は同店公式LINEで発信しているほか、店頭に案内を貼り出している。
閉校式で校旗を新倉教育長に返還する走水小の児童(上)と田浦小で行われた関係者向けの校舎見学会

走水小田浦小 約150年の歴史に幕 閉校式で別れ惜しむ

 児童数の減少などにより3月末で明治から続く約150年の歴史に幕を下ろす横須賀市立走水小学校と田浦小学校で25日、閉校式が行われた。走水小学校では在校生や卒業生、地域住民ら約100人が参加し、歴史と伝統をかみしめながら、思い出の詰まった校舎に別れを告げた。4月1日に走水小は馬堀小と、田浦小は長浦小と統合する。

 「わが学び舎は 山の麓の海のそば――」。走水小の体育館で参加した在校生24人が親しんだ校歌を高らかに歌い上げた。

 同校は1873年に創立。3つの寺社の場所を借りた学び舎が前身で、1930年に東京湾を目の前に臨む現在の場所に校舎を新設した。

 地域住民も駆け付けた閉校式で新倉聡教育長は「『みんな大好き走水』を教育目標に掲げ、長きにわたり児童が立派に育っていったのは支援の賜物」とあいさつ。4月から新生活が始まる児童に向けては「友達をたくさん作って、走水のことを教えてあげてほしい」とエールを送った。

 18日に卒業式を終えた6年生5人は、紙粘土などを使って統合後の学校をイメージしたモニュメントを制作。地域に伝わる「弟橘媛(おとたちばなひめ)」の伝説なども盛り込み、パーツごとに「より良い学校になるように」との思いを込めたことを説明した。

 式典終了後のセレモニーでは防衛大学校儀仗隊のドリル演奏が行われ、児童らの旅立ちに花を添えた。同校卒業生で町内会関係者として参加した渡邉吉明さん(74)は「海が目の前にある素晴らしい環境はほかにない。大学生のときにもアルバイトで関わったのも良い思い出」と当時を懐かしむ。5年生の三谷知大(ちひろ)さん(11)は統合後の学校生活について「統合は悲しいけど、少人数だとできなかった遊びをたくさんして楽しく過ごしたい」と前を向いた。

校舎巡りに640人

 田浦小は1874年に創立。閉校式に先立つ20日には卒業生や地域関係者らに向けた「感謝の会」が行われ、校舎や校庭を開放した「懐かしの校舎めぐり」には643人が訪れ、同校との別れを惜しんだ。

 校内には児童が作成した工作や同校の歴史が記されたパネルなどが展示され、来校者からは「懐かしい」「昔はこうだった」といった声が挙がった。同校で19年間、児童への読み聞かせをしてきた小山美由紀さん(66)は「閉校は時代の流れで仕方ないが、思い入れも強く寂しい気持ちが強い」と感慨深げに語る。

 体育館では関係者らによる式典が行われ、岡部厚子校長は「少人数ならではの柔軟で一人ひとりに寄り添った教育が実践できた学校だった。統合後も、引き続き地域から支援をいただけたら」と話した。同校の閉校式は教職員と市教委関係者のみで行った。

近代化遺産を地盤工学の視点から調査・保全を続ける 正垣(しょうがき) 孝晴さん 横須賀市本町在住 71歳

歴史的価値を見つめ直す

 ○…国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内委員会が、文化遺産の保存や研究で優れた業績をあげた者を表彰する2024年度「日本イコモス賞」にこのほど選定された。東京湾の第三海堡などを含む日本の近代化遺産を地盤工学の視点から調査・保全を続けてきた一連の活動が評価された。「受賞内容だけでなく、研究に取り組む姿勢そのものを評価されたこともうれしかった」

 ○…名古屋大大学院を修了後、イリノイ大学での客員研究員、防衛大学校の教授などを務めてきた。近代化遺産などに焦点を当てた研究を始めたのは防衛大時代の10年ほど前。日本の防衛の要となり、果ては産業発展の礎となった軍事遺跡が今も多く残る横須賀に目を向けたことがきっかけだった。以来、国内外約60施設を巡り構造物の土台となる地盤の調査を実施。歴史的位置づけ、保存に向けた提言を行ってきた。

 ○…「消滅は時間の問題だ」。かつて首都防衛を目的に明治から大正期にかけて建造された東京湾海堡。中でも千葉県富津市沖にある第一海堡は波風などの影響で滑動や沈下が進み、近い将来、崩壊は免れない。「いまの状態を当時の技術者が見れば涙するだろう。技術史、学術的に見ても重要な文化財。対策を施し、後世に残していくことが私の責務」。信念があふれ出る。

 ○…19年に防衛大を停年退官してからは自身の知見を基にした講演活動から社会貢献活動、論文の執筆などを行う。4月から始動する第一海堡の保護推進を主眼に置いた日本イコモス内の委員会では舵取り役として参画。修復・保全に向けた行政への働きかけや市民への周知など東奔西走していく。

同校屋上から花火を見上げる児童ら

閉校の剣崎小 夜空に惜別の一千発 有志ら400万円寄付

 南下浦小学校との統合で、今年度を持って閉校する剣崎小学校では20日夜、児童や地域に思い出を残そうと、保護者や教職員、地域関係者らによる花火大会が実施された。開催へ向け、実行委員会は昨年9月から寄付を募り、最終的には目標の倍以上の約403万円が寄せられた。

 花火は午後7時から15分間、同校の前に広がる江奈湾の間口漁港から計1080発が打ち上がり、来校者は校舎や屋上から夜空を見上げた。

 終了後、同校卒業生の木村日南(ひより)さん(南下浦中2年)は「これまで見た花火の中で一番きれいだった」と感無量の様子だった。

東浦賀にある石蔵付きの商家「幸保邸」

東浦賀「幸保邸」 大正時代の商家と石蔵  国登録有形文化財へ

 国の文化審議会は3月21日、東浦賀にある大正時代の商家と併設の石蔵を国登録有形文化財として登録するよう文部科学大臣に答申した。近く登録される見通し。

 江戸時代に創業した米穀商の幸保(こうぼ)家が所有する建物で、浦賀湾東側の街路沿いにある。住居と店舗を兼ねた2階建ての主屋は1925(大正14)年の建設。屋根は寄棟造(よせむねづくり)の桟瓦葺(さんかわらぶき)で正面に下屋があり、2階部分の窓に手摺が付いているのが特徴だ。

 主屋に連なる石蔵は、外壁全面に房州石を積み上げた木骨石造建築で1915(大正4)年に建てられたもの。関東大震災にも耐えて長らく私財を守ってきた。主に米の貯蔵に使われていたという。主屋と石蔵は港町として栄えた浦賀の往時の風情と歴史を伝えている。

 持ち主の幸保節子さんは、地域交流の新たな拠点として活用していく意向を持っており、自家製味噌の製造・販売を行う店舗を開設する計画。6月のオープンに向けて準備を進めている。

<PR>
日本で一番早い「横須賀オクトーバーフェスト」が4月11日(金)~20日(日)@ヴェルニー公園!
日本で一番早い「横須賀オクトーバーフェスト」が4月11日(金)~20日(日)@ヴェルニー公園!
今年は居酒屋を巡る「横須賀 SAKE FESTiBAR」も同時開催!
毎年大人気のビール祭り「横須賀オクトーバーフェスト2025 in spring」が4月11日(金)から 20日(日)まで、横須賀市汐入横浜赤レンガ倉庫イベント広... (続きを読む)

保護犬譲渡会

 保護犬の譲渡会が3月30日(日)、京急線三浦海岸駅近くの「チェルSeaみうら」で行われる。午前11時から午後2時。

 「こどもフリマ」やワークショップ、キッチンカーの出店もある。

『レイの失踪』に取り組む生徒ら(上)と実際のプレイ画面(右)

「闇バイト」危険性学ぶ 追浜中で特別授業

 犯罪行為によって報酬を得る「闇バイト」の危険性を啓発するため、追浜中学校は19日、ブラウザゲーム『レイの失踪』を用いた特別授業を2年生184人を対象に実施した。

 『レイの失踪』とは、インターネット上でプレイできる体験型教育プログラム。動画配信者「レイ」が闇バイトに関わったことで消息を絶ち、友人役であるプレーヤーがSNS分析などを通して実態に迫る。生徒にとって身近なSNSを模したツールを扱っており、体験後は「どうやって闇バイトに巻き込まれるのか分かった」「個人情報を出さないよう、SNSの使い方を見直したい」という声が聞かれた。

大学生が開発

 同プログラムは、慶応大生らによるスタートアップ企業「クラスルーム・アドベンチャー」(東京都)が開発した。生徒の体験後に講演を行った同社の古堅陽向取締役(23)は、闇バイトに巻き込まれないために「【1】狙われない【2】騙されない【3】ハマらない」の3要素が重要だと解説。「インターネットリテラシーを高め、何かあった時は誰かに相談すること」と力を込めた。

 警察では、闇バイトをはじめとする犯罪に関する相談を#9110で受け付けている。

地震後の火災を想定した迷路。身をかがめて移動してもらう狙いで児童が手作りした

小原台小 防災意識、自分ごとに 体験やクイズ 児童が企画

 大規模地震や風水害などの災害が発生した際の対応を自分ごととして捉えてもらおうと横須賀市の小原台小学校で19日、防災イベントが開かれた。5年生の児童自らが、防災に関するクイズや体験会を企画。2〜4年の約50人が楽しみながら避難行動や備蓄の大切さについて学んだ。

 「水の入ったペットボトルの底にライトを当ててみてください」。案内役の児童の言う通りに懐中電灯を当てると容器全体が淡く光った。光が水の中で乱反射する仕組みを応用した「ペットボトルライト」の完成だ。

 同校5年生は今年度、総合的な学習で「防災」をテーマに設定。市の危機管理担当や消防署員らを講師に招いた講義や遠足で都内の防災体験学習施設に赴くなど、1年間学びを深めてきた。

 この日は非常食や災害時にも使える便利グッズの紹介、ペットとの同伴避難などが出題されるクイズ、液状化現象が体験できるコーナーなど全13ブースが出展。新聞紙を使ってコップを作るワークショップを開いたグループの樫村星凪(せな)さんと小越唯乃さんは「災害時にいつもあるものが手元にあるか分からない。自分が知っていれば家族や周りの人と共有できる」と意義を説明する。小林樹生さんは地震後の火災を想定した迷路を新聞紙を使ってクラスメイトと自作した。「災害を自分ごとにしてほしい。いざというとき自分の身を守ることにつながるから」と防災の心構えを説いていた。

<PR>
『Amazonギフト券1,000円分』など読者プレゼントはこちら
『Amazonギフト券1,000円分』など読者プレゼントはこちら
メール版タウンニュース、タウンニュース for LINEの読者それぞれ毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼントします。ギフト券の進... (続きを読む)

里山ボランティア講習会 非日常の自然体験を楽しむ

 横須賀市自然環境・河川課では、里山的環境保全・活用事業のモデル地区になっている長坂緑地「沢山池の里山」を維持管理するボランティア養成の講習会を開く。

 通年のカリキュラムで田植えや稲刈りなどの「田んぼ作り」と樹木管理、植樹などの「樹林地管理」を学ぶ。講習会修了後にボランティア団体に入会し、里山ボランティアとして整備活動に参加する。

 講習会の実施日は5月から7月、9月から1月の土曜日のうち全12回。参加費無料。対象は市内在住、在勤、在学の15歳以上(中学生不可)。定員20人。横須賀市ホームページ(「横須賀市の里山」検索)から申し込みを行う。募集期間は4月4日(金)から23日(水)。

 問い合わせは同課【電話】046・822・9832。

完成した冊子と当時の日記帳を手にする小川さん

森崎在住小川さん 走水小の記録 後世に 75年前の日記を書籍化

 森崎在住の小川胖(ゆたか)さん(86)が今月、75年前に走水小学校で書いていた絵日記をまとめた書籍「僕の絵日記 太平洋戦争直後を生き抜いた僕たち」(青山ライフ出版)を上梓した。同校の閉校を契機に出版したもので、当時の様子が一人の少年の目線で等身大に描かれている。

 小川さんは横浜市出身で第2次世界大戦終戦間近の1945年4月に満州の小学校に入学。戦後、引き上げ船で帰国し親戚を頼って横須賀に移住した。

 絵日記は、小川さんが走水小へ転校した1949年9月から卒業する51年3月までのもの。「放課後に大津へバスで買い物に向かった」「(走水の)桟橋で父親と釣りをした」などのエピソードがつづられ、当時の生活や学校の様子が伺える。

 きっかけは今年の始め、自宅に訪れていた孫(12)が本棚の奥から年季が入った日記帳を発見して。ページをめくると小学生だった当時の記憶がありありと頭に浮かんだ。「命からがら帰ってきて日々の生活も大変だったが、海が近くにあって遊ぶのが楽しかった」。75年ぶりの思い出との再会に喜びと懐かしさを覚えた一方、走水小は今月末で統合に伴う閉校が決まっていた。「それなら記録を残したら」という孫の提案で書籍化を決意。出版社に連絡を取り、閉校に間に合わせるため2月までに膨大な原稿を書き上げた。

海に親しんだ2年間

 小川さんが特に気に入っているのは、51年1月10日の節。日課だった海水温の計測に向かう際、岩に張り付いた海藻に滑って転倒したことを描いた絵で「転ぶ衝撃が良く伝わる」と目を細める。同校では当時、目の前に広がる海で水球の授業を行っていたといい、小川さんも夏休みは馬堀海岸で遊泳を楽しんだ。「走水小の子どもたちは海洋環境に恵まれていた」と振り返り、母校の閉校を惜しんだ。

 A5判、205頁。書店で取り寄せ可能。定価2200円。

児童に走り方のコツを指導する村川さん

元ベイ 村川さん 野球教室で「地域に恩返し」

 昨年まで横浜DeNAベイスターズに外野手として所属していた村川凪さん(26)が20日、逸見小学校グラウンドで児童を対象にした「運動教室」を実施し、約40人が参加した。今後は横須賀市内を拠点に野球教室を定期的に開くとしている。

 現役時代は走塁に定評のあった村川さん。「走り方教室」ではなく「運動教室」と銘打ったのは「速く走るのに必要な身体の使い方を実際に動く中で会得してほしいから」。家庭での指導役となる保護者にもチェックポイントを解説した。

 広島県出身の村川さんは独立リーグを経て2021年の育成ドラフト1位でDeNAに入団。3年間で一軍出場は叶わなかったが、23年にはイースタン・リーグで盗塁王を獲得した。「横須賀スタジアムではいつも温かい声援を送ってもらった。児童に野球を教えることで地域へ恩返しをできたら」と愛着のある横須賀での再スタートを切った。

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)
場内に咲くオオシマザクラ(2022年撮影)

千代ケ崎で春の宴 砲台跡で桜祭り

 横須賀市西浦賀の史跡・千代ケ崎砲台跡では、市主催の「さくらまつり」が開催されており、期間内最後の週末となる3月29日(土)からの2日間は、キッチンカーの出店や児童向けワークショップが開かれる。29日午前10時からは、横須賀総合高校箏曲部が演奏を行う(雨天中止)。

 同砲台跡は、明治〜昭和期に首都防衛の役割を担った東京湾要塞のひとつで、国の史跡に指定されている。現在はオオシマザクラの名所として知られ、歴史と自然が織りなす景観が魅力となっている。

 京急バス「燈明堂入口」下車、徒歩約15分。入場無料。開場は午前9時30分から午後4時30分。

ヨコスカアートセンター「高校生展」 表現への挑戦

 横須賀市の上町商店街にある私設ギャラリー「ヨコスカアートセンター」で3人の高校生アーティストによる作品展「トリニティ 脈動の解放」が開かれている。4月6日(日)まで。

 高校時代に身に着けていた制服のスカートを用いた百さん(横浜市在住)の作品は、裾から糸をほどいて解体していく様を次のステージに向かう自分と重ね合わせた。植物の葉脈をモチーフにした100号キャンパスの大作も持ち込んだ。

 切り絵を得意とする井堀木茉子(横浜市在住)さんは、線の持つ繊細な美しさを作品化。針金を用いたワイヤーアートもその一つで型にはまらない自由な表現の手法を模索している。

 彩度の高いポップな図柄のアクリル絵画を飾る理崎志穂さん(埼玉県在住)は、春からの新生活への希望と不安を作品に込めた。等高線のようなピンクの点描は近づくと認識できる仕掛け。「見えるものと見えないもの」の狭間を伝えている。

 同センターのHP(https://www.yokosuka-ac.jp/)で3人による音声解説を配信。

約100種類のドイツビールが楽しめる

「横須賀オクトーバーフェスト」 ビールの祭典 日本一早く 4月11日からヴェルニー公園

 横須賀市汐入町のヴェルニー公園で4月11日(金)から本格的なドイツビールが味わえる「横須賀オクトーバーフェスト」が開かれる。20(日)まで。

 同実行委の主催で3回目。今年は全国で最も早い開催で、日本初登場の「カンバ」をはじめ、約100種類のドイツビールや約200種類のグルメがそろい踏み。ステージでは、ドイツ楽団や米海軍第7艦隊音楽隊が演奏で会場を最高潮に盛り上げる。

 会場内には、来場者が手ぶらで楽しめるBBQゾーン(要予約・有料席)を設置。平日限定で千円(税込)でビール(350ミリリットル)とおつまみ1品がセットになった「ハッピーアワークーポン」も販売する。イベントに関する詳細は公式ホームページへ。

 また今年は市内の居酒屋をお得に巡る「横須賀 SAKE FESTiBAR(サケ フェスティバル)」も同時開催。能登復興の応援として500円を寄付すると4月11日から1カ月間、50店舗以上の参加店でお得にお酒が楽しめる「居酒屋定期券」を進呈する。詳細は横須賀市観光情報ホームページへ。

衣 笠商店街 歌うま自慢集まれ

 衣笠商店街は4月13日(日)に開催する「第2回衣笠商店街のど自慢大会」の出演者を募っている。

 アーケード内の一角(ふくなが青果店前広場)に設けたステージで自分の持ち味を活かした歌を披露してもらう。演歌、ポップス、ラップなどジャンルは問わない。 優勝賞品として、同商商店街の買い物券3万円分を用意している。 

 希望者は、応募用紙に同商店街加盟店の買い物レシート2千円分(合算可)を貼って同商店街サービスセンターに提出する。 

 詳細は同事務局【電話】046・851・2310。

横須賀湾(軍港めぐりから)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第40回 横須賀編【6】文・写真 藤野浩章

「では、横須賀湾に乾杯」(第五章)

     ◇

 貉ヶ谷(むじながや)湾を後にし、順動丸は箱崎半島を回り込んでいく。現在は「新井掘割(ほりわり)水路」を通れば一気に行けるが、この近道ができたのは明治22年のことだ。

「奥深く入り込んだ湾を抱くようにつき出した二つの岬が、子に手を差しのべる母の懐を思わせる」と作者の大島が表現した横須賀湾。それを見たフランス人たちの目が、にわかに輝きだしたようだ。「フランスのツーロンによく似ている」というのだ。

 仏南東部にあり、地中海に面したトゥーロン港。15世紀末に造船所が置かれてから現在に至るまで仏海軍の要衝として知られ、フランス革命時は若きナポレオンが名を上げるなど、たびたび歴史にその名が登場する。海上物流の要でもあり、地中海クルーズの拠点。温暖なリゾートエリアのど真ん中にある、フランス随一の港湾都市だ。

 港のすぐ北にあるファロン山の展望台から撮った写真を見ると、横須賀港に実に良く似ている事に驚く。しかし考えてみれば、これは現在の姿。今から160年ほど前に「漁師の家が点在」するだけの場所にトゥーロン港を重ねたのは、フランス人のDNAの成せる技だったのかもしれない。

 小栗の目にも良港に見えた横須賀湾。後に日本側で陸と海を詳細に測量すると、それは実証されることになった。専門家の話を良く聞き、データに基づいて「実(じつ)」を選ぶ仕事。彼が責任者だったことが、ここでも功を奏したのだ。

 ついに建設地が決まったが、まだ最大の「壁」が立ちはだかっていた。莫大な建設費だ。